ニュース 2017.12.22. 18:00

怪我を怖がらずに投げた伊藤智仁さんの言葉

無断転載禁止

伊藤さんと館山投手の言葉


「たぶん怪我を怖がってない。怪我を恐れて打たれるくらいなら、怪我をしても抑える。怪我をするのは良くないけれど、ピッチャーとしては全力を出す方を選ぶ」

「怪我をしたくてしている人はいない。でも安全運転で勝負できるかと言ったら、この世界勝負できないから、リスクを背負ってでも、壊れる覚悟でも、全力で行かなきゃいけないから、ピッチャーは自ら怪我をしていることしかないんです。抑えたいから、最大限の力を発揮したい」

 最初の言葉は、先日、文教堂書店浜松町店で行われた、本「幸運な男-伊藤智仁 悲運のエースの幸福な人生」の発売記念トークショーで、怪我やリハビリ後の登板について話が及んだ時に、伊藤智仁さんが発した言葉。

 そして次の言葉は、館山昌平投手に今年10月末、9度目の手術を終えて一か月経つ頃にインタビューした時、彼が発した言葉。

 実は、この日の発売記念トークショーのゲストは、館山昌平投手だった。怪我とリハビリを経験し、多くのものを乗り越えた投手二人の言葉は、まさに同じだった。

 10月に館山投手からこの言葉を聞いた時、不覚にも涙が出そうだった。一球に喜び、一球に悔しがりながら、応援するチームの試合を毎日楽しませてもらう野球ファンの一人として、プロ野球選手が、そして投手が背負うものの大きさ、重さをずしんと実感したから。

 そしてその覚悟で、我々を熱狂させてくれていることに、ただただ、感謝の気持ちが溢れた。

 その2か月後、まさかほぼ同じ言葉を、館山投手のいる場所で、館山投手の大先輩から聞くとは思っていなかった。本を読んで、壮絶なリハビリや経験をされていることを知ることができていただけに、また涙が出そうだった。プロの選手の尊さを目の当たりにした。



館山投手と伊藤さんの出会い


 伊藤智仁さん(と書くのはなんだかまだ違和感があって、どうしてもコーチ、と書きたくなってしまうのだが…)と、館山昌平投手の出会いは2003年。伊藤さんは戦力外通告を受けた翌年、その通告が撤回されての猶予の1年、館山投手は入団1年目、大学時代に手術を受けていたので、リハビリでの一年目のことだった。

 その頃のことを、館山投手はこう語る。

「智さんは、テレビゲームの中の世界の人で、そんな特別な存在の人が間近にいて苦しんでいる姿も見て、正直距離感をつかむのが難しくて、話しかけにくかったし、あまり接点もなかった。でも、ウエイトルームでの孤独なトレーニングで、ストイックに追い込んでいる姿が印象的。そんな智さんの姿をみられたことは良かった」。

 怪我と付き合うことになるプロ野球人生の中で、偉大な先輩が、どうリハビリや怪我と戦い、モチベーションを保っているのか、その姿を見られたことは、ものすごく貴重な経験になったと。


2人に救われた由規


 現役のスワローズ投手でいえば由規もまた、怪我と戦い、言葉では言い表せない経験をした選手の一人。彼は、伊藤さんはもちろんのこと、館山投手の姿勢や知識に救われたと、本書でも語られている。

 それに対し、「自分が見てきた智さんの世界から学んだこともあるし、自分ができるアドバイスなどを話すことにより、自分も同じような状況がきた時に役立つのではないかとも思うし、非常に勉強になるんです」と館山投手はトークショーで謙虚に話していた。


伊藤さんも驚いた館山投手の知識量


 そんな館山投手に関して、伊藤さんは「知識などは、他の野球選手と比べるとすごいので、(手術をしても、怪我をしても)必ず帰ってきてくれると思っていたし、待っている。ほかの選手はトレーナーやほかの人が言うことをそのまま聞くんだけど、彼は、ドクターやトレーナーと常に相談し、起きていることを書き留めたり、辞書で調べたり、すごいんですよ!館(たて)ペディアと言われるくらい知識もすごいですから!」と、投手としての技術や長年投げ続けていることなどだけでなく、知識量もべた褒め。


エース・石川を称賛


 伊藤さんはスワローズ投手陣最年長の石川投手のことも、この日、同じくたくさん称えていた。「大きな怪我なく毎年何十イニングも投げられる。今年は頼りないと思われた方もいるかもしれないけど、あれだけ顔色一つ変えず投げられるというのは我々にとってありがたいしすごいこと。今季は23試合先発で、打線の援護もなくて乗り切れなかったかと思う。人一倍責任感が強くて、本人ももがいたかなと思う」と。



来季に向けて


 来季に向けて、石川投手、館山投手、そして由規投手にも大活躍してもらいたいし、私たちスワローズファンは応援している。

 その来季に向けての意気込みを、「長年チームの軸として存在してもらった智さんがコーチとしていなくなってしまう、そういう風にコーチがいなくなってしまうということには、僕たち選手に原因があって申し訳ない。だから僕らがしっかりしなければ(若い)選手たちが不安になるのでは?とも思っているので、来年にかける思いは今年以上にある」と館山投手。

 それに対し伊藤さんは、「僕は選手のせいだとは思ってない。選手は頑張ってくれた。(館山投手が思ってくれるように)そう思って発奮し、頑張ってくれるなら嬉しいけど。館山に関してはあと10年やってくれると思っている!まだ若いよ!!!」とエールを送った。


伊藤さんは富山へ


 伊藤さんは、来季から独立リーグ富山GRNサンダーバーズの監督に就任する。「富山に行くし、5時半から、テレビの前でビール片手に応援するよ!」とも。

 大きな努力、そして苦しみや経験は、同じ分野の人々に勇気や力を与えるだけでなく、我々、分野外の人間にも、大きな影響を与える。そしてその影響力が、また別の場所で花開く。

「幸運な男-伊藤智仁 悲運のエースの幸福な人生」(長谷川晶一さん著、出版:インプレス)」には、そんな影響力が詰まっている。

 館山投手が「本を読んで、まるで自分が、傍で智さんの言葉を聞いているかのような、傍にいるかのような感覚に陥った」とも感想を語ったこの本。

 是非あなたにも読んでみてほしい。
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(この日は、サイン会も開催され、私もファンに戻りサインをいただきました!幸せです…)







(取材・文=ニッポン放送アナウンサー新保友映)

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