未だ去就が決まっていない村田修一

◆ いまだオファーなく…

 巨人から自由契約になった村田修一の去就がいまだに見えない。

 この冬は寒さが一層身にしみているに違いない。しかし、村田はこのままプロ野球界を去らせるにはあまりに惜しい選手だ。

 村田といえば、広角に本塁打を放つことができる技術とパワーを兼ね備えた長距離砲。なにより調子のムラが少なく、安定して長打を期待できる打者だ。その特徴がはっきり表れている成績がある。下記は、今季まで現役の選手のシーズン20本塁打を記録した回数のランキングである。

【シーズン20本塁打を記録した回数】※今季まで現役の選手
1位 11回 村田修一(前・巨人)
2位 10回 中村剛也(西武)
3位 9回 阿部慎之助(巨人)
4位 6回 バレンティン(ヤクルト)
5位 5回 福留孝介(阪神)
5位 5回 井口資仁(ロッテ)※今季限りで現役引退
5位 5回 松田宣浩(ソフトバンク)
5位 5回 中田 翔(日本ハム)

 11回で堂々のトップに立つのが、他ならぬ村田である。プロ1年目の2003年にいきなり25本塁打を放つと、2005年~2011年まで7年連続で20本塁打をマーク。今季までのプロ15シーズンのうち、20本塁打に到達しなかったのはわずかに4シーズンだけだ。

 ちなみに、その4シーズンというのもいずれも2ケタ本塁打はクリア。コンスタントに本塁打を量産する能力を示している。

◆ 屈指の和製大砲の来季

 今季のセ・リーグで20本塁打に到達したのは10人。1チームにふたりいるかどうかという結果であり、20本塁打は打者にとって高いハードルだといえる。なお、巨人はセ・リーグで唯一20本塁打以上の選手がいなかったチームだ(最高はマギーの18本)。

 そんな長距離打者にとってのひとつの壁を安定してクリアしてきたのが村田である。しかも、2014年から今季まで4シーズン連続で未到達に終わった阿部慎之助(巨人)とは異なり、村田は2014年、2016年にも20本塁打に到達。肉体的な衰え、長打力の低下は年齢でも上の阿部のほうが顕著だと言えるだろう。

 今季の村田は14本塁打に終わったが、それは出場機会が限られたことにもよる。1本塁打に必要とする打数である本塁打率(打数÷本塁打数)で見れば、今季の村田の本塁打率は20本塁打だった2011年の26.50と大差のない27.21であった。打数さえ例年通りなら、今季も20本塁打に達していた可能性も十分にある。

 また、今季は苦手とする代打での出場が多かったことも本塁打率を悪化させた要因と考えられる。開幕からスタメンで起用されていたなら、また違った成績だったことだろう。

 もちろん、この数字は年齢と比例するものだ。20代でただひとり5回を記録している中田翔(日本ハム)や、2014年から4年連続で20本塁打を記録している筒香嘉智(DeNA)、山田哲人(ヤクルト)といった若い選手に、村田の記録が更新されることもあるかもしれない。とはいえ、長きにわたってコンスタントに20本塁打を記録してきた安定感、そして現時点でまだまだ20本塁打を狙える長打力は大いに魅力的だ。

 選手の獲得というのは、その選手の実力や年齢はもちろんのこと、その時のチーム状況など、さまざまな要素が加味されて決せられるもの。だが、少なくとも成績だけで見れば村田はこのまま終わってほしくない選手。屈指の国産大砲の元気な姿を、来季もぜひ見てみたいものだ。

文=清家茂樹(せいけ・しげき)

【清家茂樹・プロフィール】 1975年、愛媛県生まれ。出版社勤務を経て2012年独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。野球好きが高じてニコニコ生放送『愛甲猛の激ヤバトーク 野良犬の穴』にも出演中。

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