「一番の選手」にこだわる
新年を迎え、長かったオフの期間もあと1カ月を切った。
もうしばらくすると、各球団で新入団選手による合同自主トレがスタートする。これからのチームを背負って立つ若き選手たちが、プロとしての第一歩を踏み出す瞬間。なかでも注目を集めている選手といえば、やはり日本ハムの清宮幸太郎だろう。
2017年のドラフト会議。超目玉とされた早実の怪物スラッガーには、史上3番目タイとなる7球団が競合。抽選の結果、日本ハムが当たりを引き当てた。
満面の笑みでガッツポーズを見せた木田優夫GM補佐の姿と、思わず笑みをこぼした栗山英樹監督。日本ハムファンが歓喜した瞬間、「清宮も、か…」と思った他球団のファンも少なくないのではないか。
【日本ハムのドラフト最上位指名】
2001年:江尻慎太郎(投手/早稲田大) ※自由枠
2002年:尾崎 匡哉(内野手/報徳学園高)
2003年:糸井 嘉男(投手/近畿大) ※自由枠
2004年:ダルビッシュ有(投手/東北高)
2005年:八木 智哉(投手/創価大) ※希望枠
2005年:陽 仲寿 (内野手/福岡第一高)
2006年:宮本 賢 (投手/早稲田大) ※希望枠
2006年:吉川 光夫(投手/広陵高) ※田中将大の外れ1位
2007年:多田野数人(投手/サクラメント)
2007年:中田 翔 (外野手/大阪桐蔭高) ☆4球団競合
2008年:大野 奨太(捕手/東洋大)
2009年:中村 勝 (投手/春日部共栄高) ※菊池雄星の外れ1位
2010年:斎藤 佑樹(投手/早稲田大) ☆4球団競合
2011年:菅野 智之(投手/東海大) ☆2球団競合→入団拒否
2012年:大谷 翔平(投手/花巻東高)
2013年:渡辺 諒 (内野手/東海大甲府高) ※松井裕樹らの外れ1位
2014年:有原 航平(投手/早稲田大) ☆4球団競合
2015年:上原 健太(投手/明治大)
2016年:堀 瑞輝 (投手/広島新庄高) ※田中正義らの外れ1位
2017年:清宮幸太郎(内野手/早実高) ☆7球団競合
ドラフトにおいては「その年一番の選手を指名する」という姿勢を公言している日本ハム。時には玉砕覚悟でそのポリシーを貫き、2011年には抽選で引き当てた菅野に入団を断られるという苦い想いも経験したが、2012年にはメジャー挑戦に気持ちが傾いていた大谷を見事に口説き落とした。
徹底したドラフト戦略
こうした徹底的な戦略もあって、日本ハムは多くのスター選手を輩出してきた。
2004年には自由枠を放棄し、ダルビッシュ有の単独指名に成功。やがて球界を代表する投手へと成長し、メジャーに挑戦というタイミングで大谷を獲得。そして今度はその大谷と入れ替わる格好で、清宮という怪物を獲得した。
その間にも2007年に4球団が競合した中田翔をはじめ、2010年には同じく4球団競合で斎藤佑樹を、2014年にはまたも4球団競合で有原航平という目玉選手を獲得。「清宮も、か…」という感想はこうしたところから来ているのだろう。
若き力の躍動に期待
2016年の日本一から一転、昨季はリーグ5位に沈んだ日本ハム。今季に期する想いは強いが、投打の柱・大谷がメジャー挑戦のために退団し、さらに守護神・増井浩俊と正捕手・大野奨太がFAで他球団に移籍した。どう計算しても、戦力ダウンは否めない。
そんな時こそ期待したいのが、若き力の台頭だ。徹底したドラフト戦略と育成システムの甲斐あって、選手のサイクルも早いチーム。昨季も将来の主軸候補・横尾俊建をはじめ、オフのアジアCSで侍ジャパンにも選出された松本剛や、ルーキーの石井一成といった楽しみな選手が出てきた。
マイナスをプラスに代えていくには、新たな力が不可欠。苦境のチームを支える救世主の存在に期待したい。