阪神の遊撃手争いは横一線
2018年が幕を開け、そろそろ各球団の新人合同自主が始まる。2月に入れば春季キャンプが始まり、今季の開幕戦はセ・パともに3月30日。新たな戦いが始まる前に、編集部が注目する若手選手を各球団ごとに紹介したい。今回はセ・リーグ編。
●広島:坂倉将吾(捕手/高卒2年目)
広島は相変わらず、投打ともに期待感を抱かせる若手が豊富だ。そんな中、将来の正捕手と期待されているのが高卒2年目を迎える坂倉。1年目の昨季はファームで99試合に出場し、1本塁打を含む打率.298、出塁率.359をマーク。守りでも先輩投手たちを巧みにリードし、チームを初のファーム日本選手権優勝へ導いた。
巨人とのファーム選手権では、自ら決勝3ランを放ちMVPを受賞。昨年のドラフトでは、甲子園を沸かせた地元・広陵高の中村奨成を1位で獲得し、未来の正捕手争いにも注目が集まる。16年は鈴木誠也、17年は薮田和樹が大ブレーク。坂倉だけではなく、すでに一軍実績のある西川龍馬、中村祐太ら、楽しみな素材が多い。
●阪神:糸原健斗(内野手/社会人出2年目)
金本体制3年目を迎える阪神。便利屋として長年チームを支えた大和がDeNAへ移籍したが、待ち望んだ右の大砲・ロサリオ獲得に成功。ここに若手の成長がプラスされれば、楽しみな打線が出来上がる。阪神もドラ1コンビの高山俊、大山悠輔を筆頭に楽しみな若手が多い。その中で注目したいのが2年目の糸原健斗だ。
ルーキーイヤーは右ひざ負傷のため後半戦を棒に振ったが、粘り強い打撃で打率.259ながら、出塁率は.362を記録。一時は遊撃手争いの先頭に立った。大和の移籍もあり、正遊撃手を巡る戦いはまた一から。北條史也や植田海、さらに新人の熊谷敬宥、選択肢増を視野に入れる大山、前DeNAの山崎憲晴らも含め、キャンプからハイレベルなアピール合戦に期待したい。
●DeNA:佐野恵太(内野手/大卒2年目)
パワフルな打撃が魅力の和製大砲。1年目の昨季は18試合のみの一軍出場に終わったが、オフに参加したアジア・ウィンターリーグでは、打率.391、5本塁打、18打点と打ちまくり、大会MVPと最優秀打者賞をダブル受賞した。同大会では力強さだけではなく、広角に打ち分ける柔軟性も披露。ファーストスイングでの確実性も光り、初対戦の投手をまったく苦にしなかった。
本職は一塁だが、1年目はファームで、外野とアマ時代に経験のある捕手でも出場。ディフェンス面の選択肢を増やし、乙坂智、細川成也らとともに、レギュラー陣を脅かす存在になりたい。
巨人の新人・田中俊、広島の兄同様、開幕一軍入りなるか!?
●巨人:田中俊太(内野手/社会人出1年目)
11年ぶりにBクラスへ転落した巨人。復権を目指す上で、宇佐見真吾、岡本和真、吉川尚輝ら、若手の突き上げは欠かせない。その中で注目したいのが、ドラフト5位で入団した田中俊太(日立製作所)。兄は広島不動の1番・田中広輔。1年目から開幕一軍入りを果たした4歳年上の兄同様、即戦力として期待がかかる。
攻守ともに高評価を得ている新人内野手。特に大学時代から出塁率が高く、兄譲りの選球眼を発揮できれば、淡泊な巨人打線の中でより映えるかもしれない。巨人は長年二塁手を固定できず、昨季は打撃優先で後半戦はマギーが務めた。ただ、攻守のバランスを考えれば、マギーを本職の三塁へ回し、新たな正二塁手の誕生に期待したいところ。吉川尚、山本泰寛、辻東倫らも含め、こちらも春季キャンプからのアピール合戦に期待したい。
●中日:笠原祥太郎(投手/大卒2年目)
さらなる飛躍が期待される大卒2年目左腕。1年目は6月に救援で一軍デビュー、9月以降は先発ローテーションに入り、計18試合登板で1勝3敗、防御率3.14をマークした。先発でのラスト3登板は、いずれもクオリティスタート(6回以上、自責点3以内)を記録。竜党の希望の光となった。
キレのあるストレートとブレーキの効いたチェンジアップを軸とし、1年目から奪三振率7.95をマーク。近年の先発陣を支えたバルデス、ジョーダンが去った新シーズンは、小笠原慎之介とともに世代交代を印象付けたい。
●ヤクルト:中尾輝(投手/大卒2年目)
昨年6月8日のソフトバンク戦に先発し、待望の一軍デビュー。しかし、強力打線相手に3回7失点で初黒星を喫し、1年目の一軍登板はわずか2試合にとどまった。ファームでも制球が安定せず、防御率は6.96。それでも、オフに参加したアジア・ウインターリーグでは、9試合の救援登板で防御率0.93をマーク。しかも、無四球という安定ぶりだった。
力強いストレートと武器であるスライダーに加え、秋季キャンプで磨いたフォークにも手応えを感じている期待の左腕。今季のヤクルトは中継ぎ左腕が手薄だっただけに、2年目は貴重なピースとして第二次小川政権を支えたい。