“31本塁打”に落ち着くバレンティン
ソフトバンクの日本一で幕を閉じた2017年のプロ野球。個人記録に目を移すと、DeNAのウィーランドが球団外国人初の2ケタ勝利(10勝2敗)を達成するなど、長いジンクスが解かれる出来事も多々あった。ここでは、新たに打破してほしい“壁”とも言うべきジンクスを5つピックアップ。新シーズンの注目ポイントとして参考にしてほしい。
●オリックス・ディクソン「2ケタ勝利へ6度目の正直!?」
来日6年目を迎える助っ人右腕。過去の結果から言ってしまえば、1年目から8勝8敗、9勝10敗、9勝9敗、9勝11敗、8勝9敗。過去5年、一度も勝ち越せたシーズンはない。それでも、毎年必ず130イニング以上を投げ、5年間の通算防御率は3.30。この安定感と実績が、契約延長につながったことは言うまでもない。
5年目の昨季は、開幕から4連勝スタートを切るなど、前半戦終了時で7勝。8月11日の楽天戦で8勝目を手にしたが、そこからの7登板で1勝もできず、またも10勝超えを逃した。勝敗数は打線との兼ね合いもあるため致し方ない部分もあるが、終盤戦は大量失点での早期KOが続くなど、自らのパフォーマンスも悪かった。今季も先発ローテーションの柱として期待される優良助っ人。初10勝となれば、チームもCSが狙える位置にいるはずだ。
●巨人・陽岱鋼「目指せ初の3割超え!」
昨シーズン、日本ハムから巨人へFA移籍した陽。しかし新天地1年目は、故障での出遅れが響き87試合の出場。打席成績も打率.264、9本塁打、33打点と低迷し、チームは11年ぶりのBクラスへ転落した。
日本ハムで確固たる地位を築いた陽だが、プロ12年間で未だ打率3割超えを記録したシーズンはない。リーグ優勝、日本一に輝いた16年は3割超え間違いなしかと思われたが、右肋骨の亀裂骨折が判明した8月中旬以降に成績を落とし、最終打率は.293。ポストシーズンでも不振から脱せず、広島との日本シリーズではスタメン落ちが続いた。巨人1年目も下半身のコンディション不良で出遅れ、近年は故障が目立つ。1月17日に31歳の誕生日を迎えるが、まだまだ老け込む歳ではない。
●ヤクルト・バレンティン「謎の31本塁打力!?」
13年にプロ野球記録のシーズン60本塁打を達成したバレンティン。在籍7年で217本塁打の実績もあり、ヤクルト残留が決まった。年度別本塁打数を見ると、1年目から31、31、60、31、1、31、32本。過去7年のうち4度は31発だ。
昨季も残り2試合時点で31本塁打だったが、9月30日の中日戦で32号3ランを放った。歓喜の声が沸く一方、「法則が崩れた…」と嘆くファンも。しかし、これが通算217発目。今度は7年での平均本塁打数がジャスト「31」になった。第二次小川政権となる今季は、チームOBでもある宮本慎也ヘッドコーチ、広島に37年ぶりの連覇をもたらした石井琢朗打撃コーチ、河田雄祐外野守備走塁コーチが加わる。新たなコーチ陣が、バレンティンの能力をどこまで引き出せるかにも注目だ。
意外!?シーズン20発超えがない虎・糸井
●阪神・糸井嘉男「今季こそ20本塁打超え!」
通算打率.300、同出塁率.391、同142本塁打を誇る糸井。阪神へFA移籍した昨季は、勝負強い打撃でチームを2位へ導き、節目となる1500安打まで残り125本としている。常にトリプルスリー達成候補の筆頭に挙げられてきた強打者だが、意外にも年間30本塁打はおろか、20発にも届いたシーズンがない。
オリックスに在籍した14年にキャリアハイの19本塁打を放ったが、15年以降は3年連続で17本塁打。ただ、所属してきた球団の本拠地は、札幌ドーム、京セラドーム大阪、甲子園と、本塁打が出にくい球場。その中で、貴重な長距離砲としてチームの得点源となってきた。新シーズンへ盗塁数アップを目標に掲げるベテランだが、初の20発越えにも期待したい。
●西武・菊池雄星「12連敗中の天敵撃破へ!」
昨季は16勝(6敗)、防御率1.97でリーグ二冠となった菊池。不正投球を宣告され、投球フォーム修正を強いられる苦しい時期もあったが、リーグ最多の187回2/3を消化し、チームを2位へ導いた。
球界を代表する左腕へと成長したが、やはり引っかかるのはソフトバンクとの相性。昨季は4戦全敗で対戦防御率は7.97。通算でも17試合に投げ、屈辱の0勝12敗となった。今季こそ天敵撃破を成し遂げてほしいところだが、すでに開幕投手に内定している菊池が昨季のように中6日でローテーションを回れば、しばらくはソフトバンクとの対戦がない日程が組まれている。一方で、楽天戦は昨季8戦8勝で、16年から怒涛の11連勝中。こちらの連勝記録にも注目したい。
※初出にて、「2017年に西武・栗山巧が球宴初出場」と記しましたが、正しくは2016年でした。訂正し、お詫びいたします。