侍ジャパンメンバーにも選出
2月20日に発表された侍ジャパンの最新メンバー。3月3日と4日に組まれた強化試合・オーストラリア戦に挑むメンバーに最年少で選出されたのが、日本ハムの高卒2年目左腕・堀瑞輝である。
広島新庄高時代には2度の甲子園出場を経験。3年秋にはアジア選手権に挑む侍ジャパンU-18代表にも選出され、リリーフとして大車輪の活躍。金メダル獲得の原動力となった。
ドラフトで日本ハムから1位指名(※田中正義、佐々木千隼を外した後)を受けると、昨季は高卒1年目ながら4試合に登板。8イニングの経験ではあったが、7つの三振を奪って防御率も3.38。何より堂々たるマウンドさばきが高い評価を受けた。
オフには若手主体のメンバーになった稲葉ジャパンの初陣『ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017』で侍ジャパンメンバーに抜擢。チーム内外からもその将来性を高く買われており、2年目の今季は飛躍に大きな期待がかかっている。
希少な“高卒左腕”
この春は22日に行われた韓国・サムスンとの練習試合に登板。4連続三振を奪うなど、2回無失点と好投を見せたものの、栗山英樹監督は「まだまだよくなる」。褒めることはしなかったが、これは大きな期待の裏返しだろう。
昨シーズンはリリーフとして一軍デビューした堀であるが、今シーズンは先発での起用が示唆されており、ローテーション争いの真っ只中にある。大谷翔平のメジャー挑戦や、ローテの軸として考えられていた有原航平の離脱といったチーム事情もあり、若き左腕にとって現状は大きなチャンスと言える。
実は日本ハムにおいて“高卒左腕”という存在は稀少。堀の前はと言うと、2008年のドラフト4位・土屋健二(横浜高)までさかのぼる。ローテーション投手となると、2006年の高校生ドラフト1位・吉川光夫(現巨人)以来生まれていないのだ。
日本ハムだけでなく、一般的に育成が難しいとされる“高卒左腕”という素材。球界ではどのような選手が活躍を見せて来たのか、振り返ってみた。
菊池雄星、田口麗斗も2年目は…
昨シーズン、規定投球回に到達した投手の中から「高卒でプロ入りした左腕」を探してみると、パ・リーグでは西武の菊池雄星、セ・リーグでは巨人の田口麗斗。両リーグに各1名ずつしかいなかった。
菊池は堀と同じドラフト1位入団。怪物左腕として大きな注目を集め、6球団競合の末でのプロ入りだった。
ルーキーイヤーは一軍登板がなかったものの、2年目のシーズンは10試合に登板。プロ初勝利を含む4勝をマークしている。しかし、度重なる故障にも苦しめられ、本格化したのは7年目となる2016年からだ。
この年は初めて規定投球回に到達すると、自己最多の12勝(7敗)をマーク。防御率2.58という好成績を残し、一気にエース格へと成長。そして、昨シーズンは16勝6敗、防御率1.97で最多勝、最優秀防御率の2冠を達成。球界を代表する左腕となった。
一方の田口も、ルーキーイヤーに一軍での登板機会はなし。初めてのマウンドは2年目の2015年だった。
この年に3勝(5敗)をマークすると、翌2016年にはローテーション投手を任され10勝をマーク。昨シーズンは菅野智之、マイコラスとともに先発3本柱を形成。13勝(4敗)をあげ、オフのアジアCSでは日本代表にも選出された。今回の強化試合にも、堀とともに選ばれている。
その他の現役選手を見渡すと、通算白星のトップはヤクルト・成瀬善久の96勝。すでにNPBからは離れてしまっているものの、井川慶が93勝で続く。現時点で菊池は59勝、田口は26勝となっており、ここからどれだけ白星を積み上げていけるのか、注目が集まる。
いまや球界を代表する投手になったふたりも、2年目に大きな実績はなく、まだ成長過程だったといえるだろう。栗山監督は堀をどのように起用するか明言していないが、侍ジャパンやオープン戦で結果を残すことができれば、彼らよりも良いスタートを切れる可能性は大いにある。
菊池に田口、そして堀…。次代の“エース左腕”争いが今から楽しみだ。