◆ 若き力と競争でレベルアップ
20年ぶりの悲願へ…。ラミレス体制3年目のDeNAにおいて、大きな注目ポイントとなっているのが先発ローテーション争いだ。
“投壊”に苦しめられた時代も今は昔。近年はドラフト上位で指名した即戦力投手が軒並み活躍を見せている。2014年のドラフト1位・山崎康晃は1年目から守護神として活躍し、ドラフト2位の石田健大もローテの軸へと成長。2015年の1位・今永昇太は昨季チームトップの11勝を挙げ、2016年の1位・浜口遥大も1年目から2ケタ・10勝をマークした。
こうして戦力が底上げされると、競争が生まれる。それがそのままチーム力となり、結果に表れてくる。2年連続のクライマックスシリーズ出場は決してまぐれではない。球団が進めてきたドラフト戦略が実を結ぼうとしているのだ。
◆ “6枠目”をめぐる争い
先発ローテーションにフォーカスすると、その激しさが見えてくる。
勝ち頭の今永を軸に、2ケタ勝利を挙げた浜口とウィーランド、そしてケガで実現しなかったものの、昨季開幕投手に内定していた石田の4名はやや抜けた存在。また、キャンプで評価を上げているドラフト1位ルーキー・東克樹も、このまま順調に行けばローテの5番目のイスを獲得することだろう。となると残りは1枠だ。
候補の筆頭は6年目の井納翔一だ。昨季は6勝10敗と負け越して入るものの、ポストシーズンなどここぞの場面で存在感光る投球を披露。ここ4年で3度の規定投球回達成を果たしているように、年間通してローテーションを守り抜けるというのも大きな魅力だ。
ただし、井納に関しては中継ぎに回すという案もラミレス監督が語っており、ほかの投手の状態も見ながらの兼ね合いにもなりそう。指揮官の選手起用に注目が集まる。
◆ ローテ獲り目指す“NPB記録保持者”
新たな力というと、新加入のエディソン・バリオスも候補の1人に挙がる。
2013年から4年間ソフトバンクでプレーした経験を持つ右腕。昨季はBCリーグ・富山で10勝4敗、防御率1.39という圧巻の成績を残し、NPBへの復帰を勝ち取った。
ソフトバンク時代は主に中継ぎを任され、2015年には17試合連続ホールドの日本記録を樹立。どちらも行けるタイプであるが、ラミレス監督は先発として起用することを示唆している。
「これぞ助っ人!」というような驚くようなスピード、パワーはないものの、日本での経験と培った投球術を武器に先発ローテ争いへ。ここからの実戦が重要になってくる。
◆ 若き力の台頭も…
若手では高卒4年目の飯塚悟史に注目。昨季はプロ6戦目にして初勝利を掴んだが、ローテ入りまでは届かなかった。
188センチ・85キロの恵まれた体格から放たれる速球は常時140キロ前半に留まるも、しっかりコースを突いていける制球力が最大の持ち味。ハマの番長を彷彿とさせる投球スタイルで、4年目のブレイクに期待がかかる。
さらに、オープン戦開幕投手に抜擢された3年目の熊原健人も面白い存在だ。
ドラフト2位での入団ながらここまで22試合で4勝とやや物足りない成績が続いているが、今季からあの大魔神が背負った「22」に背番号が変わる。心機一転、結果を残したい。
ほかにも昨季プロ初勝利を挙げた綾部翔や平良拳太郎ら、期待の若手がたくさんいる。年齢や経験に関係なく、状態の良い選手を積極的に起用していくのが“ラミちゃん流”なだけに、一体誰が候補に入ってくるのか今からたのしみだ。
【DeNAの先発争い】
<右投手>
井納翔一 25試(152.1回) 6勝10敗 防3.84
ウィーランド 21試(133.0回) 10勝2敗 防2.98
三嶋一輝 16試(20.2回) 0勝1敗 防6.53
飯塚悟史 9試(42.0回) 1勝3敗 防4.29
熊原健人 4試(20.0回) 3勝1敗 防5.40
平良拳太郎 4試(14.0回) 1勝3敗 防7.07
綾部 翔 1試(5.0回) 1勝0敗 防0.00
バリオス ☆新入団
<左投手>
今永昇太 24試(148.0回) 11勝7敗 防2.98
浜口遥大 22試(123.2回) 10勝6敗 防3.57
石田健大 18試(106.0回) 6勝6敗 防3.40
東 克樹 ☆新入団
※成績は昨季の一軍成績