紅白戦でオール守備、役割自覚「そういう選手」
リーグ3連覇を目指す広島は2月27日、沖縄キャンプを打ち上げた。
終盤の実戦でケガ人が相次ぎ、丸は右肩の違和感、鈴木は骨折した右足がまだ万全ではない。緒方監督はキャンプ総括で不安要素も口にしたが、それでも高橋昂や藤井皓、坂倉や高橋大など、続々と期待の若手が頭角を現し、広島はより一層、レベルアップした印象を受けた。
とりわけ筆者の目に強く残ったのが、昨秋から本格的に外野守備に挑戦中の上本。レギュラー獲りへまい進する野手とは少し違ったアプローチで、一軍生き残りへ躍起になっていた。
沖縄キャンプの初日に行われた紅白戦(5回制)では、両チームの一番下に、それぞれ上本の名が記されていた。これは胃腸炎を患った野間の一時離脱の影響によるものだったが、上本はこの試合、表裏関係なく全イニング外野守備に就き、左翼では頭上を襲う打球を軽快にランニングキャッチし、中堅では安打性のライナーをダイビングキャッチ。改めて身体能力の高さを示したと同時に、野間が居ぬ間に“外野・上本”のアピールに成功した。
紅白戦では最後まで打席に立つことはなく「しょうがない。そういう選手なんで」と話した上本。それでも、その後の対外試合では途中出場で鋭い当たりを連発するなど、しっかりと打撃面でも成長した姿を見せた。
3連覇に欠かせないスーパーサブへ!
今キャンプでは、内野の庄司、美間、西川、メヒア。外野の下水流、堂林、高橋大、バティスタと、期待の若手が揃ってアピールしたが、田中、菊池、丸ら、広島のレギュラー陣が強力なのは言うまでもない。ただそんな中、内・外野どこでも守れ、代走とムードメイカーとしても役立つ上本。そこに打撃力の上積みがあるとなれば、これほど頼りになる控え野手はそういない。
また、現時点で万全ではない丸や鈴木に加え、近年は菊池や安部も、コンディション不良による欠場が増えてきている。長いシーズンを戦う中で、主力の長期離脱は絶対に避けたいところ。上本はレギュラー陣に適度な休養を与えたいときに使える選手であり、ハプニング時にもチームのダメージを最小限に食い止めることができる、有用な人材だと感じる。
キャンプを打ち上げた27日には、高橋昂や下水流らとともに、キャンプの「監督賞」をゲットした上本。進化を続けるスーパーサブは、きっと3連覇に欠かせない戦力になるはずだ。