8・9番から1・2番へ
稲葉篤紀監督が率いる侍ジャパンは4日、京セラドーム大阪で開催された『ENEOS 侍ジャパンシリーズ 2018』でオーストラリア代表と対戦。指揮官が「あらためてレベルの高さを感じた」という投手陣が完璧なピッチングを披露すると、打線も小刻みに得点を重ね、6-0で勝利を収めた。
得点が生まれたのは1回表と2回表、それから4回表と6回表だ。そのうち、2回と4回と6回は、いずれも8番・田村龍弘から始まる打順だった。
2回には相手のエラーで出塁した田村を一塁に置き、9番に入った今宮健太がバントを試みるが2ストライクと追い込まれてしまう。しかし、右方向を意識しながらファウルで粘り、ライト前にボールを運んでチャンスメイク。続く1番・秋山翔吾の適時打と2番・松本剛の犠飛で2点を加えた。
4回は、四球の田村を塁に置き、今宮の犠打で進塁。さらに秋山が四球でつなぎ、松本の適時打で1点を奪った。今宮が犠打で田村を進塁させる前には、稲葉監督が「バスターエンドラン」のサインを送って揺さぶりをかける場面も。そして6回には、今宮と秋山、松本の連続長短打でダメを押した。
重要な役割を担った9番・今宮
どうしても2人で5打点を記録した1・2番コンビに注目が集まりがちだが、「9番バッターを非常に大事な打順だと考えている」稲葉監督が抜擢した今宮健太の活躍があればこそ。
バントや右打ち、エンドランといった仕掛けに加え、三塁からのタッチアップや打球の行方とライトのポジションを瞬時に判断して果敢に二塁を陥れた6回の走塁、もちろん安定感抜群の守備も含め、欠くことのできないピースであることをあらためて示した。
試合前に、「なんでもできるので、9番を今宮にして、そこから1番につなげていこう」と話していたとおりの展開になったのも、自身の役割を把握し、全うできる力を今宮が持っていたから。指揮官も、今宮を9番に置いたことで「色んなことができた」と振り返り、そういった積み重ねが「今後につながっていく」と満足げな表情を見せた。
会見の最後に指揮官は「今回の選手を軸にしていく」と明言。ライバルは多いものの、その“軸”の中に今宮が入ってくることは間違いないだろう。