◆ 3年目のラミレスDeNA「勝負の年」
昨シーズンはリーグ3位ながらクライマックス・シリーズを勝ち抜き、日本シリーズへ出場したDeNA。19年ぶりの大舞台では惜しくもソフトバンクに敗れたものの、手応えを感じさせてくれたシーズンだったことは間違いない。
20年ぶりの優勝、そして日本一を目指す今シーズン。チームはドラフト1位で即戦力と呼び声の高い左腕・東克樹を獲得し、FAで阪神から大和を補強。悲願達成へ向け、着々と準備を進めている。
そんな“勝負の年”の開幕投手を託したのが、プロ4年目左腕の石田健大。男にとっては2年連続での“大役”となる。
有力候補としては昨年のチーム最多勝・今永昇太もいたが、ここに来て左肩の不安により戦線離脱。今後の予定が白紙となり、開幕に間に合うかどうか微妙な状況となった。ほかにも昨年ルーキーながら10勝を挙げた浜口遥大や、同じく10勝のジョー・ウィーランドといったところがコンディション不良で調整が遅れているだけに、石田にかかる重責は大きい。
◆ 2年連続開幕投手は三浦大輔以来
2年連続の開幕投手というのは、球団では2006年・2007年の三浦大輔以来で実に11年ぶり。この10年間は2年連続で開幕投手を務めた選手はおらず、それどころかこの10年の間に複数回務めた選手もいない。すべて異なる10人が開幕投手を務めていたのだ。
当時のチーム状況を見ると、2007年は前年の最下位から4位に浮上。翌2008年はさらに上へと巻き返しを図りたいシーズンでもあった。しかし、ここからチームは下位に低迷してしまう。2008年から2012年までは5年連続で最下位に沈み、勝率は4割にすら届かない状況だった。
当時は内川聖一(現ソフトバンク)、村田修一(現BC栃木)と野手陣には核となる選手がいたものの、チームの成績には結びつかなかった。そのような状況のなかで、両選手ともにチームを離れてしまう。その間、投手陣の柱であった三浦も不振が続くなど、確固たるエースは不在だった。
その後もBクラスが続いたが、2016年にシーズン負け越しながらAクラス(3位)入りを果たし、昨シーズンは勝ち越しての3位とチームは着実に進歩している。
チーム状況と呼応するかのように、投手陣も充実してきた。開幕投手を務める石田をはじめとして今永、浜口と先発左腕は充実しており、ドラフト1位で即戦力の東も加わった。また、ウィーランドに井納翔一といった実績ある右腕も揃っており、飯塚悟史や京山将弥、綾部翔に平良拳太郎ら期待の若手も多い。リリーフ陣を見ても山崎康晃、スペンサー・パットンと8回、9回は盤石だ。
上昇期にあるチームのなかで、開幕投手を2年連続で任される選手が出てきたのは朗報だろう。もちろん、必ずしも『開幕投手=エース』ではないが、少なくとも大役を任される選手というのは、ローテーション投手として1年間通してはたらくことを期待されている。また、精神的支柱としての役割も求められるようになるはずだ。
石田は25歳とまだ若いが、先発左腕陣のなかでは最年長でもある。2年連続開幕投手という大役から、今後のDeNAを支えていく柱としての飛躍を期待したい。
【直近10年・DeNAの開幕投手】
2017年:石田健大
2016年:井納翔一
2015年:久保康友
2014年:三嶋一輝
2013年:藤井秀悟
2012年:高崎健太郎
2011年:山本省吾
2010年:スティーブン・ランドルフ
2009年:三浦大輔
2008年:寺原隼人
※横浜時代含む