西武・岡本と阪神・榎田が緊急トレード
プロ野球2018年シーズンの開幕まで、あと10日。各球団が開幕に向けての最終仕上げに入っている中、直前の段階で動きを見せた球団がある。西武と阪神だ。
両球団は14日にトレードの成立を発表。右腕の岡本洋介が西武から阪神へ、左腕の榎田大樹が阪神から西武へと移った。
西武としてはリリーフとしてチームを支えてきた武隈祥太に先発転向の構想が持ち上がっていたこともあり、リリーフとして実績のある榎田を補強。武隈の起用法については未だ明言されていないが、榎田もリリーフだけでなく先発を任された経験もあり、万全であれば多くのプランをチームにもたらしてくれることだろう。
一方の阪神も、投手陣は充実してきているものの、特に右は若手とベテランの二極化が進んでおり、先発・中継ぎに豊富な経験を持つ32歳右腕は貴重な存在になる。
最後の“駆け込み”は5年前…
さて、今回は近年の開幕直前に行われた“駆け込み”トレードについて振り返ってみたい。3月のシーズン開幕前に行われたトレードに絞って調べて見ると、最後に成立したのは2013年までさかのぼる。
2013年の3月、岩崎達郎が中日から楽天に移籍。金銭トレードだった。勝負と意気込んで挑んだシーズン、岩崎は74試合に出場。それまで守備要員としての起用が多かったが、自己最多の22安打、12打点をマークするなど奮闘。チームの創設初優勝・日本一に貢献した。
さらにこの年は開幕直前の3月25日に、ロッテとヤクルトの間で交換トレードが成立。田中雅彦がヤクルトへ、川本良平がロッテへという捕手同士の交換ということでも話題になった。
田中は負傷離脱していた相川亮二の穴を埋める活躍を見せるも、5月の阪神戦でマット・マートンから後にコリジョンルール導入のキッカケとなったと言われる危険なタックルを受け、そのまま負傷退場。翌年は一軍出場なしに終わり、2015年は6試合の出場でオフに戦力外通告を受けた。
川本も故障がちだった里崎智也からポジション奪取を目指したが、競争を勝ち抜くことができずに2年で戦力外。その後、楽天にテスト入団するも、1年で自由契約となり、そのままユニフォームを脱いでいる。
実績ある大物の移籍も…
2012年には、首位打者獲得経験もある嶋重宣(広島)と左腕の江草仁貴(西武)がトレードされた。両チームともにキャンプ後の故障者発生による緊急補強だった。
江草は広島で左の中継ぎとして26試合に登板し、20回1/3を投げるなど一定の活躍を見せたが、嶋はレギュラー定着後ワーストとなる27試合の出場に留まっている。
2009年には、ロッテのローテーション投手でもあった久保康友が阪神・橋本健太郎とトレードされた。
久保は松坂世代の投手でもあり、社会人経由で2004年にロッテへと入団。4年間で30勝をマークしていた。阪神への移籍初年度から9勝をマークするなど、一定の活躍を残している。一方の橋本はそれまでに中継ぎとして109試合に登板。ロッテはブルペンの補強を見込んでの獲得となったが、この年わずか2試合の登板に終わってしまった。
この年は一場靖弘(楽天)と宮出隆自(ヤクルト)のトレードも成立した。
楽天でエース格の働きを期待されたものの故障もあり、結果を残せなかった一場。新天地での復活に期待がかかったが、この年もわずか1勝に終わるなど、復活を果たすことはできなかった。一方、宮出は楽天で主に代打として活躍。規定打席未到達ながら、打率.303をマークするなど、貴重な活躍を見せて球団初のクライマックスシリーズ進出に貢献した。
このように開幕直前のトレードで両選手ともに結果を残すことは多くない。榎田、岡本は過去の事例を覆す活躍に期待したい。
直近10年の開幕前“駆け込み”トレード
▼ 2009年
1. 久保康友(ロッテ→阪神)
26試(151.1回) 9勝8敗 奪三113 防3.75
1. 橋本健太郎(阪神→ロッテ)
2試(2.0回) 0勝0敗 奪三1 防9.00
2. 一場靖弘(楽天→ヤクルト)
9試(37.2回) 1勝5敗 奪三27 防7.88
2. 宮出隆自(ヤクルト→楽天)
82試 率.303(155-47) 本3 点21
▼ 2012年
嶋 重宣(広島→西武)
27試 率.176(74-13) 本1 点7
江草仁貴(西武→広島)
26試(20.1回) 0勝0敗5ホールド 奪三15 防4.43
▼ 2013年
1. 岩崎達郎(中日→楽天)※金銭トレード
74試 率.218(101-22) 本0 点12
2. 田中雅彦(ロッテ→ヤクルト)
23試 率.244(41-10) 本0 点0
2. 川本良平(ヤクルト→ロッテ)
47試 率.187(91-17) 本0 点5
※2009年以降