大会屈指の好カード
3月23日に開幕した第90回選抜高校野球大会。今年は記念大会ということもあり、ふだんよりも4校多い36校が参戦。各地区を勝ち抜いた強者が日本一の称号をかけて戦う。
大会3日目の注目は、秋の神宮王者・明徳義塾(高知)と関東王者・中央学院(千葉)の対戦。夏は19回、春もこれが17回目の出場となる甲子園常連の明徳義塾に対し、中央学院はこれが春夏通じて初めての甲子園となる。
中央学院は1970年創立という歴史の浅い学校。上でも触れた通り、創立48年で春夏を通じて初の甲子園出場となった。
昨秋の関東大会では、夏の甲子園で全国優勝を果たした花咲徳栄(埼玉)や、甲子園で4度の優勝を誇る東海大相模(神奈川)などを次々に撃破。頂点まで駆け上がっている。
その原動力になったのが、背番号1を背負う大谷拓海だ。投打の柱であり、その名字から“千葉の二刀流”と呼ばれて話題に。昔ながらのエースで4番という大黒柱である。
スリークォーター気味のフォームから放たれる速球は最速145キロを誇り、そこにスライダー、カーブ、フォークを織り交ぜる投球で打者を翻弄。打席に立てば高校通算25本塁打の強打者。秋の神宮大会では逆方向のレフトに本塁打を叩き込むなど、広角に打球を飛ばすことができる技術も魅力だ。
「(甲子園は)大きいけど、平常心で行けた」と堂々と語ってみせたように、経験豊富な相手に対しても自分の投球・自分の打撃で立ち向かう。
実は春の優勝がない千葉県勢
千葉というと銚子商や習志野が甲子園を制しているように、野球が盛んなイメージをお持ちの方も多いのではないか。しかし、春のセンバツに限ると、実は優勝経験がないのだ。
準優勝は過去に2回ある。1981年の印旛は決勝戦でPL学園と対戦。9回まで1-0とリードしていながら、9回裏に2点を取られて逆転サヨナラ負けを喫した。当時のPL学園はエースが西川佳明(のちに法大→南海)で、吉村禎章(のちに巨人)が中軸に構えるという布陣。ちなみに、PL学園はこれがセンバツでの初優勝だった。
2回目は1995年。銚子商が観音寺中央と対戦し、0-4で敗戦。「西の福留・東の沢井」と呼ばれて注目を集めた沢井良輔(のちにロッテ)がチームを牽引したが、初出場の観音寺中央に決勝戦で敗れた。
果たして、千葉県勢の悲願達成なるか。初めての甲子園に挑む中央学院に注目だ。