今年はカード頭のみ…
ファンは試合に負けたとき、その“拠りどころ”を何かに求めるものだ。そこを見事にカバーしたのが、オリックスにとってはバファローズポンタだった。
2016年からオリックスを応援し、爆発的な人気を集めているバファローズポンタ。3年目を迎える今シーズンも3月30日の開幕戦からTwitter上でのツイートを展開していく。
しかし昨年12月、契約更改のツイートをした際に“絵師さん”が「楽しいけど…全試合描く体力が…」と申し出た結果、今シーズンは各カードの初戦だけツイートすることになり、ファンの間でも話題になっていた。
その際、新企画を行うことも予告。今シーズンはどんな新企画でバファローズポンタを楽しめるのか?これまでの制作秘話なども含めて、バファローズポンタの開発チームの一人、株式会社ロイヤリティ マーケティングの奥山珠里さんを直撃した。
ファンの温かさに触れて
「あのときはみんなで泣きましたね」
奥山さんたちの印象に残っているのが、2016年4月27日のソフトバンク戦後のツイートだ。この日、オリックスは試合に敗れたが、誤って“勝ちツイート”を投稿。そのとき開発チームの面々が一様に「青ざめた」のは言うまでもない。
このツイートを削除し、屋台でうちひしがれるバファローズポンタとともに「間違えてしまいました……。ごめんなさい。」と謝罪ツイートをすると、オリックスファンから「ええんやで」「間違えは誰にでもある」「ポンタ頑張れ!」「お前は悪くない」などなど擁護するツイートがタイムライン上に溢れる現象が起こった。
「ごめんなさい。の気持ちのなか、オリックスファンの皆さんの優しさに触れて、凄く嬉しく思いました」と奥山さんは振り返る。
ライブ感は引き続き
「ライブ感を大切にしてきたというのはあります」
バファローズポンタが支持を受けている理由のひとつとして、その場の状況に応じてタイムリーなツイートをする「ライブ感」が挙げられる。
過去2年フル登板してきた“絵師さん”の勤続疲労を受け、スタイルの転換を余儀なくされたツイートだが、「全試合見続けることに変わりはないので、記録などにはライブ感を持って対応していきたい」という。
そして奥山さんは、「ツイートは減るんですけど…」と前置きしつつ、新企画について話しはじめた。
「バファローズポンタの中の表現をいろいろ考えていく中で、ファンの方とより密接になれたらいいなと思い、今年は新たにコンセプトを考えました。SNSのオンラインだけではなく、参加型でファンの方を巻き込む企画をやっていきたい。まずは2つの企画を行うことが決定しました」
バファローズポンタの新企画
【1】イラストアイデアの募集
公式Twitterで投稿する、試合前と試合後のイラストアイデアをファンから募集。採用者には、『特製フレーム入りイラスト』と『オリジナルTシャツ』がプレゼントされる。
【2】月間MVPを決定 バファローズポンタと一緒に応援している様子を投稿したツイートの中から、『バファローズポンタ月間MVP』を決定。受賞者には、『オリジナルボール』と『オリジナルTシャツ』がプレゼントされる。
奥山さんは、「ツイート数が減るというより、ファンの皆さんと一緒に作り上げていきたい」との思いを語り、新企画について次のように説明する。
「イラストアイデア募集に関しては、例えば『バファローブルくんとベルちゃんとポンタが崖の上に立っている』など、アイデアを書いていただき、『#バファポンアイデア募集』というハッシュタグをつけてツイートしてもらいます。その中で担当チームが『これは!』と思ったものをイラストにし、投稿していくことになります」
「もう1つは、バファローズポンタのぬいぐるみの写真や自作のイラストなどを使ってツイートしてくださっている方が多いので、『#バファポンMVP』というハッシュタグをつけてツイートしていただき、それをバファローズポンタ公式アカウントがリツイート。その中から月間MVPを選ばせていただきます」
優勝したときのイメージはできている?!
これまではツイートの画像でファンを楽しませてきたが、「これからは皆さんにもっと寄り添いながら、一緒に作って応援していきたい。ファンの皆様への恩返しの意味も込めて考えました」と意気込む。
「今年のバファローズポンタは、より身近に愛される応援キャラクターになっていきたいなと思います。今年こそ…オリックスさんに優勝してもらいたいですね。そのときのイメージは、ずっと温めているので!」
この2年、ファンとともに苦汁を味わってきたバファローズポンタが、歓喜の瞬間にどんな姿を見せるのか――。そんな楽しみと共に、バファローズを追いかけていきたい。
取材・文=どら増田