評価を上げる野手3人
若いチームに新たな風を吹き込むことができるか――。
開幕カードから各地で新人たちの活躍が目立ったプロ野球。DeNAでは3人の野手が開幕一軍入りを勝ち取り、それぞれ開幕カードからデビューを果たしている。
開幕スタメンを勝ち取った神里和毅に、内野のユーティリティ&代走要員・宮本秀明、そして左の代打枠で生き残った楠本泰史。彼らは若手の台頭著しいチームで激しい競争を勝ち抜き、それぞれの個性的な特色を生かしてチームのパーツに加わった。
なかでも神里こそドラフト2位での指名だったが、宮本は7位、楠本は8位指名からの開幕一軍入り。“入ってしまえば横一線”とは言うものの、限りなく二軍に近い位置からのスタートであったことは想像に難くない。彼らはそこから評価を落とすことなく、首脳陣の信頼を勝ち取ってスタートラインに立ったのだ。
横浜を盛り上げるルーキーパワー
ドラフト8位の楠本は、昨秋のドラフトでは全体81番目の指名。支配下では最後から2番目に名前を呼ばれた男だった。
昨夏の甲子園を制した埼玉の強豪・花咲徳栄高から東北福祉大へと進み、左の強打者として活躍。大学時代にはユニバーシアードで侍ジャパンの4番を務めるなど、その打力は各球団のスカウトからも高い評価を受けていた。ところが、守備まで含めた総合的な部分ではやや物足りなさが否めず、また左の外野手という点でタイプ的に飽和状態の球団も多かったために指名を見送る球団も続出。最終盤まで残った末、DeNAが8位で指名した。
しかし、キャンプからその打棒を発揮すると、オープン戦でも規定打席は未到達ながら打率.583で2本塁打をマーク。左の代打枠として頭角を現し、見事に開幕一軍メンバー入りを果たす。
なお、開幕カードでは3試合すべてに代打で出場するも、結果は死球・四球・死球。なんとも不思議な力を発揮し、3試合で「打数0」という珍記録を残している。
もうひとりの下位指名組が宮本。秀岳館高から社会人・パナソニックを経て入団した21歳は、50メートル6秒ジャストという俊足を生かしてオープン戦3盗塁をマーク。さらに守備力も高く、内野ならどこでも守れるユーティリティ性も評価を受け、開幕一軍の切符を掴んだ。
どうしても強力打線に目が行きがちだが、アレックス・ラミレス監督が掲げるスモールベースボールの実現にはうってつけの存在。チームに新たなアクセントを加える男となれるか。ここからの頑張りに注目だ。
最後に、開幕からスタメン出場をつづける神里。糸満高から中央大の後、社会人・日本生命を経てプロ入りした24歳は即戦力の名に恥じない働きぶりでチームを支えている。
ケガでの離脱もあってキャンプでは二軍降格もあったが、終盤に復帰すると開幕に向けて状態を上げて行き、滑り込みセーフ。右翼の争いに勝って開幕スタメンを勝ち取ると、ここまで3試合で打率3割と好スタートを切っている。
4月1日の試合では不振の桑原将志に代わって1番を任されるなど、その存在感は日に日に増している。はじめてのシーズンをこのまま駆け抜けることができるだろうか。
野手の3人に加え、投手ではドラ1・東克樹もデビュー間近。DeNAのルーキーたちから目が離せない。