◆ 2017年は亜大出身者が大活躍
昨シーズンのプロ野球界で“裏のトレンド”となっていたのが、亜細亜大学出身者の活躍。ソフトバンクの東浜巨が最多勝に輝いたのをはじめ、広島では薮田和樹が大ブレイク。最高勝率のタイトルを獲得した。
ほかにも、DeNAの山崎康晃も守護神としてフル回転の働きを見せ、チームの日本シリーズ進出に貢献。広島では薮田のほかにも九里亜蓮が先発・中継ぎ問わない活躍ぶりでチームのリーグ連覇をサポート。“亜細亜旋風”は大きな注目を集めた。
全員がもともと評価の高い選手だったとはいえ、同一チームの出身者がこれだけ同時多発的に成績を向上させるというシーズンも珍しい。そして、今年もまだ開幕して数試合という段階ではあるが、早くも昨年の亜細亜大に匹敵するような勢いを感じる“新たなくくり”がある。社会人の名門・JR東日本だ。
◆ 好スタートを切った“JR東”組
JR東日本と言えば、社会人球界屈指の強豪。2011年には都市対抗野球で優勝も果たしており、プロ野球選手も毎年のように輩出している。
今年の注目株が、オリックスの田嶋大樹。昨秋のドラフトではオリックスと西武の2球団が競合した社会人No.1左腕。即戦力という大きな期待を背負いながら、開幕2戦目にプロ初登板・初先発を果たすと、昨年のチャンピオンチーム・ソフトバンクを相手に5回1失点と力投。プロ初勝利を挙げた。
早くも2ケタ勝利や新人王を期待する声も大きくなる中、シーズン通してどんな成績を残すのか。ゴールデンルーキーの今後に注目が集まる。
また、2011年のドラフト1位で西武に入団した十亀剣も好発進。4月3日の今季初登板では、チームにとっての天敵・ソフトバンクを相手に7回2失点の好投。開幕3連勝で回ってきたバトンを落とすことなく、連勝を伸ばした。野上亮磨や牧田和久といった主戦投手が抜けた後のシーズンだけに、これまで以上の働きぶりに期待がかかる。
さらに野手では、広島の田中広輔が今年も切り込み隊長として存在感を発揮。5日の試合では3安打をマークするなど、開幕6試合で5勝1敗と好スタートを切ったチームを引っ張っている。
◆ 後輩の加入を力に…
最後に、本来であれば一軍で投げていなければならない存在であるオリックスの吉田一将も、ファームでは2試合の登板で2勝、防御率は0.69と格の違いを見せつけている。
田嶋と同じくJR東日本からドラフト1位で入団した右腕。即戦力としての期待を受けながら、プロ2年間で6勝と苦しい戦いを強いられるも、プロ3年目の2016年に中継ぎとして54試合登板とその実力を発揮。昨季は中継ぎを任されながら、終盤には先発に再転向してプロ初完封勝利をマークするなど、適応力の高さを見せつけている。後輩の加入を刺激に、今年こそチームに欠かせない存在となれるか。逆襲に期待がかかる選手だ。
ほかにも、阿知羅拓馬や石岡諒太(ともに中日)、進藤拓也(DeNA)に関谷亮太と東條大樹(ともにロッテ)、西野真弘(オリックス)に飯田哲矢(広島)などなど…。思うように実力を発揮できていない選手がまだまだいる。
同門出身の活躍に刺激を受けながら、相乗効果で旋風を巻き起こすことができるか。今年は「JR東日本」の出身者に注目だ。
◆ JR東日本の出身選手
▼ 西武
十亀 剣(投手/30歳)
▼ オリックス
田嶋大樹(投手/21歳)
吉田一将(投手/28歳)
戸田 亮(投手/29歳)
西野真弘(内野手/27歳)
縞田拓弥(内野手/31歳)
▼ ロッテ
関谷亮太(投手/26歳)
東條大樹(投手/26歳)
▼ 広島
飯田哲矢(投手/27歳)
田中広輔(内野手/28歳)
▼ DeNA
進藤拓也(投手/25歳)
▼ 巨人
寺内崇幸(内野手/34歳)
▼ 中日
阿知羅拓馬(投手/25歳)
石岡諒太(内野手/25歳)
工藤隆人(外野手/37歳)