プロ初登板勝利を挙げ、ウイニングボールを手にラミレス監督とポーズをとる京山(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ デビュー2戦2勝の救世主

 昨季はリーグ3位ながらクライマックスシリーズを勝ち上がり、19年ぶりの日本シリーズ出場を果たしたDeNA。アレックス・ラミレス監督の就任から2年、栄光へ向けて着実に進歩を続けてきたチームだけに、3年目の今季にかかる期待は自然と大きくなっていた。

 ところが、開幕前に投手陣の柱として期待された今永昇太が故障。ほかにも昨季2ケタ勝利を挙げた浜口遥大、ジョー・ウィーランドといったところが相次いで離脱すると、11年ぶりに本拠地で迎えた開幕シリーズは連敗スタート。楽しみが大きかった分、落胆も大きかった。

 そんなチームを救ったのが、高卒2年目・19歳の新星である。連敗で迎えた4月1日の開幕3戦目にプロ初登板・初先発を果たした京山将弥は、5回を投げて84球、5安打、3奪三振で1失点の力投。イニングこそ短くなったが、プレッシャーの掛かるプロデビュー戦としては上々の内容で、なによりチームの連敗を止めるという大仕事をやってのけた。

 離脱者続出の先発陣に現れた“救世主”。抜擢したラミレス監督も思わず頬を緩め、「ここまでは期待していなかった」と正直な感想を吐露。するとプロ2戦目・8日の広島戦でも、5回と2/3を投げて無失点の好投。リーグ連覇チームの強力打線を相手に堂々たる投球を披露し、今度はチームに今季初のカード勝ち越しをもたらしてみせた。

◆ あどけなさも残る19歳

 ここまで2試合の登板で2勝を記録。投球イニング10回2/3に対して奪三振は5つとさほど多くないなか、被安打9・与四球3と走者を背負う場面は多いものの、ホームは踏ませない粘りの投球が目立つ。

 もともと球速以上のノビ・キレを誇る直球には定評があったが、そこに昨秋のキャンプから大家友和コーチと取り組んできたカットボールという新たな武器が加わった。なによりも19歳らしからぬ強心臓が魅力で、ピンチでも落ち着いたマウンドさばきは崩さない。特に2戦目は真っ赤に染まった“完全アウェー”のマツダスタジアムでの登板となったが、飲まれることなく腕を振り続けた。

 滋賀県出身、実家は中華料理店。趣味は琵琶湖でのバス釣り…。まだあどけなさの残る19歳だが、デビュー2戦2勝は球団史上初の偉業。苦しい船出となった3年目のラミレスDeNAを救う新星として、まばゆい輝きを放っている。

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