誰もが“苦しいGW”を覚悟
プロ野球も開幕からあっという間に1カ月が経過。各チームが大型連休の9連戦を戦い抜き、2週間ぶりの移動日を迎えた。
パ・リーグでは西武が開幕から絶好調。その勢いは留まるところを知らず、このゴールデンウィーク9連戦も7勝2敗と大きく勝ち越し。30試合を消化した現在までで23勝7敗の貯金16。2位の日本ハムに6ゲーム差をつけて独走状態へと入りつつある。
その西武に“2敗”をつけたのが、リーグ4位のオリックスだ。連休前の4月26日時点では8勝14敗と負け越し、5位に低迷していたチーム。投打が噛み合わない展開が続いていた中、4月28日から始まる9連戦の相手が昨季7勝18敗と大きく負け越したソフトバンクに、今季破竹の勢いで勝ちつづける西武とあって、せっかくのゴールデンウィークにも前向きでなかったオリックスファンも多くいた。
ところが、フタを開けてみれば9連戦を6勝3敗と勝ち越し。それもソフトバンク-西武-ソフトバンクという過酷な対戦を3カード連続で勝ち越したのだから、数字以上に価値のある9試合となった。
【ゴールデンウィークの成績】
1位 7勝2敗 西 武
2位 6勝3敗 オリックス
3位 5勝4敗 ソフトバンク
4位 4勝4敗 日本ハム
5位 3勝6敗 ロッテ
6位 1勝7敗 楽 天
パ・リーグのダークホースになるか
苦しんでいたチームに一体何が起こったのか…。連休前後のチーム成績を比較してみると、大きく変わったのが「本塁打」の増加だ。
連休前の23試合時点で、オリックスのチーム打率はリーグ5位の.233。それが連休期間は.207まで落ち込み、リーグワーストまで沈んでいる。しかし、本塁打は9試合で12本を数え、それまでの23試合で放った14本に迫る勢い。その結果、得点も33に増え、チーム打率はリーグワーストながらチーム得点数はリーグ3位となっている。
象徴的だったのが5月6日のソフトバンク戦。相手先発・中田賢一を前に6回二死までに11もの三振を喫したが、放った5安打中4本が本塁打。最終的にこの日チームが放った安打は9本だったが、そのうち5本が本塁打。すべてソロだったが、その5得点で難敵・ソフトバンクを粉砕した。
また、投手成績を見ると、防御率ベースでは軒並み数字を落としているものの、引き続き先発投手陣が奮闘。この9連戦も6試合で先発投手がクオリティ・スタート(QS)を記録しており、先発陣の頑張りが報われ始めているといった格好だ。
エースの金子千尋や、軸の一人であるブランドン・ディクソンが規定投球回に届いていない中で、西勇輝と山岡泰輔の両輪を中心に、新助っ人のアンドリュー・アルバースとドラ1ルーキー・田嶋大樹が奮闘中。彼らの頑張りがどこまで続くかは未知数とは言え、金子やディクソンが復調してくれば、先発陣には引き続き期待が持てるだろう。
一方の打線も、規定打席到達でのチーム最高打率がT-岡田の.277とまだまだ本調子とは言えない。中でも2年目の今季に期待がかかったクリス・マレーロとステフェン・ロメロに当たりが出ておらず、一刻も早い爆発が待たれるところだ。
不安要素もありながら、上がり目も多いチーム状況。このゴールデンウィークの快勝劇をキッカケに、パ・リーグのダークホースとなれるか。オリックスの今後に注目だ。