メジャー9年目で迎えた苦境
マーリンズは現地時間17日(日本時間18日)、田沢純一をメジャーでのプレーの前提条件となる「40人枠」から外すことを発表。事実上の戦力外通告を言い渡した。
メジャー9年目のシーズンを戦っていた田沢。今季はここまで22試合の登板で1勝1敗、防御率は9.00。ここ最近は特にピリッとしない内容が続いており、現地16日のドジャース戦は1回を投げきることが出来ず、0回1/3を投げて3失点。現地17日の試合でも1回を3失点と打ち込まれた。
かつてレッドソックス時代にはブルペン陣の中心選手として活躍。2年連続で70試合以上に登板するなど、昨季まで5年連続で50試合以上に登板。メジャー通算の登板数は379を数える。ところが、ここ数年は防御率の悪化が著しく、今季は被打率も.329とつかまるシーンが多かった。今後はウェーバーにかけられ、獲得を希望する球団がなければマイナー契約となるか、自由契約となる。
NPB行きを阻む壁
日本人メジャーリーガーがこうした壁にぶつかった時、必ずと言っていいほど挙がるのが日本復帰の噂だ。近年はメジャーでの挑戦を終えた選手が日本球界でキャリアの最後を締めくくるというパターンも少なくない。
しかし、田沢の場合は事情が違う。なにしろ、NPBに“復帰”という概念がないのだ。
社会人の名門・新日本石油ENEOSで大活躍を見せ、2008年のドラフトの目玉候補となった田沢。ところが、男は日本球界を経由せずにメジャーリーグへの挑戦を希望。プロ野球12球団にドラフト会議で指名しないように“お願い”をした。
アマチュア球界の目玉が直接メジャー挑戦を希望するという前例がなかったため、当時の日本球界は大混乱状態に。さまざまな議論を読んだが、結局、アマチュア選手の「職業選択の自由」を尊重すべきという観点からプロ野球各球団は指名を見送ることで合意。田沢のメジャー挑戦の希望は叶うことになる。
しかし、有力なアマチュア選手が直接メジャーリーグへ挑戦できるようになってしまうと、ドラフト制度が崩壊してしまうと懸念する声も多く挙がった。その結果、日本球界はその対策として「日本プロ野球のドラフトを拒否して海外球団と契約を結んだ選手は、その球団を退団することになった後も一定期間(大卒・社会人は2年間、高卒選手は3年間)は日本のプロ野球球団と契約できない」とする新ルールを設けた。これがいわゆる“田沢ルール”である。
そのため、NPBの各チームは田沢を欲しいと思っていても、向こう2年間は契約を結ぶことができない。これが大きな壁となり、男の今後の可能性を著しく狭めているのだ。
31歳右腕の今後はどうなる…?その動向に注目が集まる。