“レインマン”がヤクルトを救う?
5月30日、東京は夕方から雨が降り出した。横浜スタジアムで行われる予定だったDeNA-楽天の試合が18時の試合開始ギリギリのところで中止となるも、神宮は試合開始時間を遅らせるという対応で様子見。誰もが「できるのか…?」という疑問を抱きながら空模様とにらめっこを続けるなか、当初発表された「18時30分試合開始」は叶わなかったが、遅れること18時50分頃にプレイボールがかかった。
ヤクルトの先発は今季から加入した左腕のデーブ・ハフ。試合時間が遅延するという難しい立ち上がりを無失点でスタートすると、2回は走者を三塁まで進めながらも無失点。3回はこの日はじめての三者凡退に斬り、流れを呼び込む。
1点リードの4回は一死から連打で二・三塁のピンチ。それでも、内野ゴロの間の1点で逆転は許さず。5回も一死一・三塁というピンチを迎えながら、中村奨吾を3球三振に斬って勝ち越し点は与えなかった。
ハフは同点の6回まででマウンドを降りたため白星はつかなかったものの、7回に打線が奮起して3点を勝ち越し。4-1で勝利を収め、2018年交流戦の初勝利を掴んだ。
新助っ人は今季9試合の登板で1勝3敗、防御率3.86。数字上ではやや物足りなさを感じる部分もあるかもしれないが、ここまで開幕から2カ月ほどの間に雨天中止によるスライド登板を2度も経験しており、30日の試合も試合開始が遅れた上に雨中のマウンドという厳しいコンディションの中での投球を強いられた。
それでいて5月は1勝0敗、防御率1.86という安定した投球を披露。今ではローテーションに欠かせない存在として、最下位に沈むチームの中で奮闘を見せている。
ブキャナンとの2本柱へ
開幕直後こそ「いつもと違う」姿を感じさせた小川ヤクルトだったが、混戦模様のリーグの中で徐々に順位を落としていき、気がつけば昨季と同じ6位にいる。
今年も課題となっているのが投手力だ。チーム防御率4.40はリーグどころか12球団で見てもワーストという数字。リリーフ陣は3.94でリーグでも4番目の成績となっているものの、先発陣の防御率は4.70で12球団ワースト。昨季も規定に到達したのがデービッド・ブキャナンただ一人と苦しんだ先発陣だったが、今年もなかなか光が差してこない。
そんな中、新加入のハフは先発陣の希望の光となりつつある。上述の通り、ここまでは勝ち運に恵まれず白星こそ伸ばすことができていないものの、投球内容はブキャナンに負けず劣らずの成績。奪三振率7.19はブキャナンを上回っており、奪三振と与四球の比率で投手の制球力を現すK/BBはリーグ4位の3.42をマーク。優れた制球力で試合を作っているのだ。
ハフの力投で勝利した30日に続き、31日の試合も勝利したヤクルトは交流戦を勝ち越しスタート。交流戦の開幕カード勝ち越しは2006年以来で、実に12年ぶりのことだという。
最下位とは言えど、3位の阪神までは3.5ゲーム差。特に“一人勝ち”もある交流戦は一気に差を縮めるチャンスであり、この3週間が勝負の期間となる。ハフは2本目の柱として、ツバメ軍団を上昇気流に乗せることができるか。登板日の天気も含め、ヤクルトの“レインマン”に注目だ。