得点圏打率トップ、打線を牽引した吉田正
日本生命セ・パ交流戦の全日程が終了した。21日の最終戦で阪神との“関西ダービー”を3-3で引き分けたオリックスは、ヤクルトに次ぐ2位の座を死守。勝ち越しを決めているパ・リーグの最高勝率チームとなり、MVPには吉田正尚が選ばれた。
吉田正は流戦期間中に打率.397、3本塁打、10打点をマーク。打率と安打数(27本)は3位タイ。得点圏打率.500は、4選手と並びトップだった。21日の阪神戦でも、8回に一時勝ち越しとなる適時三塁打をマーク。主砲としてMVPに相応しい活躍を見せた。
一方で、投手陣の働きも見逃せない。交流戦のチーム防御率は、1位のロッテ(2.40)に次ぐ2.98。先発陣では、アルバースが2勝0敗、防御率3.50。西勇輝は2勝1敗、防御率2.25。金子千尋は2勝1敗、防御率2.37と、充実したスターターたちの安定感とゲームメイク能力が光った。
救援陣も力投。抑えの増井浩俊は、ラストの阪神戦こそセーブに失敗したが、10試合に投げ防御率0.84をマーク。全6球団からセーブを記録した。主に8回を託された山本由伸も好投。こちらも10試合に登板し、1勝0敗8ホールド、防御率0.90をマーク。優秀な必勝パターンのふたりも、MVP級の働きだった。
吉田一は全10試合無失点、献身的な投球が光る
ブルペン陣では他にも、近藤大亮が10試合に投げ、2勝1敗1ホールド、防御率2.70を記録。そして増井、山本、近藤と同じく10試合に登板し、唯一無失点だったのが吉田一将だ。
振り返ると、今季の交流戦初白星を手にしたのは背番号14だった。5月29日の中日戦、先発のアルバースが5回途中で降板したが、ピンチでリリーフした吉田一は、若月健矢の捕逸で追加点を許したものの(自責点はアルバース)、勢いづいた中日打線の反撃を最小限で食い止めた。その直後、チームは逆転し、吉田一は今季3勝目をゲット。チームを勝率5割復帰へ導いた。
6月14日の広島戦では、5-0の7回に連続ソロを浴びた金子をリリーフ。3点差に迫ってきた赤ヘル打線を無失点に封じ、勝ちパターンへつなげた。9日のヤクルト戦では、3-6の6回から2イニングのロングリリーフをこなし、1安打無失点で打線の反撃を待った。リード、同点、ビハインド、さまざまな場面で腕を振り、交流戦だけで10回2/3に登板。1勝0敗5ホールド、防御率0.00の好成績を残した。
吉田一は今季通算で見ても、ここまでチームトップの31試合に登板し、3勝1敗7ホールド、防御率1.89と活躍している。MVPは打者・吉田に決まったが、投手・吉田の献身的な働きもMVPに値するものだ。
ちなみにオリックスには、吉田凌投手、吉田雄人外野手も含め、吉田姓が4選手在籍。今後、吉田凌のプロ初勝利、吉田雄のプロ初安打にも期待したい。