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チームを支える「プロ2年目」の“救世主”たち

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プロ初勝利を挙げ、ウイニングボールを手に小川監督と握手するヤクルト・中尾=神宮(C)KYODO NEWS IMAGES

快進撃に貢献した中継ぎ左腕


 プロ野球はセ・パ交流戦が終わり、先週末からリーグ戦が再開。交流戦前こそ17勝26敗1分で借金「11」を背負い最下位だったヤクルトが、交流戦で12勝6敗と躍進を遂げチーム史上初の最高勝率に輝くと、交流戦明けのセ・リーグでは4位タイにまで浮上(現在は2位)し、2位から6位まで2ゲーム差という混戦模様を作り出した。快進撃の要因はいくつもあるが、中継ぎ陣の好投を外すことはできないだろう。

 日本生命賞を受賞した石山泰稚、セットアッパーの近藤一樹らがほぼ完璧な投球を見せたことが勝敗に大きく影響した。その石山、近藤らとともに勝利の方程式を担ったのが、2年目の左腕・中尾輝だった。中尾は2016年ドラフト4位で名古屋経済大からヤクルトへ入団。昨シーズン、一軍では2試合の登板で防御率11.25とプロの壁に跳ね返された。しかし、今シーズンは開幕から中継ぎで起用されると、与えられた役割で結果を残し、勝利の方程式入りを果たす。新外国人のマット・カラシティーや秋吉亮が開幕から調子が上がらないなか、まさに“救世主”となった。

 この中尾のように、2年目の台頭でチームの“救世主”となっている選手、なりそうな選手は他にもいる。

 セ・リーグでは藤嶋健人(中日)もその1人か。東邦高時代には日本代表入りを果たしながら、ドラフトでの評価は5位と高くなく1年目は一軍での登板がなかった。しかし、今シーズンは4月28日に一軍登録されると中継ぎとして結果を残し、予告先発だった松坂大輔が試合前のアクシデントにより登板を回避すると、代役として緊急登板。その試合で、強力・西武打線を相手に好投し、プロ初勝利をマークした。すると、6月27日のヤクルト戦でも先発の機会を得たが、この日は5回途中7失点でKO。防御率は「1.91」から「3.58」に跳ね上がったが、ベテランが存在感を示している投手陣のなかで次代を担う存在としてかかる期待は大きい。


勝利の方程式に組み込まれた高卒2年目


 パ・リーグに目を向けると山本由伸(オリックス)も“救世主”と言えるだろう。守護神の増井浩俊につなぐ「8回の男」として起用されており、ここまで防御率は「0.96」。150キロを超えるストレートにフォークボール、カットボールを操り28回で29奪三振と奪三振率も高い。

 ファンからは、「先発でも見てみたい」という声もあがるが、ここまで申し分ない成績で勝利の方程式を担っている。同じく2年目の黒木優太や、近藤大亮の調子が上がりきらないなか、山本の存在は福良淳一監督にとっても大きいだろう。

 野手では田中和基(楽天)が絶好調だ。大卒の選手としてドラフト3位でプロ入りを果たしたが、昨シーズンは59試合で打率.111と結果を残すことはできなかった。そして、プロ入り2年目の今シーズンも開幕一軍こそ果たしたが、わずか1週間で二軍降格となってしまう。

 しかし、交流戦の直前に一軍へ戻ってくるとスタメンに定着し、6月に入ってからは打率.347、1本塁打、7打点、6盗塁と結果を残している。梨田昌孝監督から平石洋介監督代行へと体制が変わっても勢いは衰えず、チームになくてはならない存在となった。


主力&先発として飛躍の年に


 また、大卒社会人を経てプロ入りし、勝負の2年目を迎えている選手たちの活躍にも注目したい。打者では、ルーキーイヤーから開幕一軍入りを果たしていた阪神の糸原健斗が、今季はレギュラーとしてチームに欠くことのできない存在となっている。打線に元気がないチーム事情の中で、ここまで打率.295と奮闘。打順も、7番、6番、2番と様々な役割を経て、6月上旬からは1番に座り続けている。

 投手では、ルーキーイヤーから中継ぎで結果を残していたロッテの有吉優樹が、先発陣の“救世主”になっている。先発陣の不振を受け、今季途中から先発に転向。すると6月に入ってからは先発として3連勝を飾る活躍を見せ、井口監督からも“ローテーションの一角”として厚い信頼を寄せられている。先発では、石川歩とボルシンガーの2人が安定した成績を残しているだけに、そこに有吉が加わることができれば、後半戦で上位陣を「マクる」こともできるだろう。

 ドラフトの中位・下位指名から入団したプロ入り2年目の選手が、チームの“救世主”として活躍している。ここから“救世主”としてではなく、“チームの顔”として活躍するには高いレベルで安定した成績を残していく必要がある。今シーズンを飛躍の年とし、彼らがチームを背負う存在に成長していくことを期待したい。


▼ 中尾 輝(ヤクルト)
・2016年4位(名古屋経済大)
・32登板(33回1/3)5勝2敗8ホールド
・防御率2.70/奪三振34
・左投げ左打ち

▼ 藤嶋健人(中日)
・2016年5位(東邦高)
・12登板(32回2/3)1勝1敗
・防御率3.58/奪三振21
・右投げ右打ち

▼ 山本由伸(オリックス)
・2016年4位(都城高)
・29登板(29回)3勝0敗19ホールド1セーブ
・防御率0.93/奪三振29
・右投げ右打ち

▼ 田中和基(楽天)
・2016年3位(立教大)
・32試合(先発29試合)
・打率.333(111-37)
・4本塁打/13打点/10盗塁
・右投げ両打ち

▼ 糸原健斗(阪神)
・2016年5位(JX-ENEOS)
・67試合(先発66試合)
・打率.295(234-69)
・1本塁打/16打点/2盗塁
・右投げ左打ち

▼ 有吉優樹(ロッテ)
・16年5位(九州三菱自動車)
・19登板(49回)3勝1敗2ホールド
・防御率2.94/奪三振28
・右投げ右打ち

※数字は2018年6月27日終了時点
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