◆ 借金完済間近…
交流戦王者のヤクルトが、再び勢いに乗ってきた。
6月29日、神宮球場で行われた中日との一戦。2点を追う9回に相手のストッパー・田島慎二を攻め、満塁から西浦直亨の適時打で同点。なおも残ったチャンスで、山田哲人がレフトスタンドに叩き込む“人生初”のサヨナラ弾を放ち、スコアボードに「5x」を刻む劇的勝利を挙げた。
絶好調だった交流戦が終わり、最初のカードで巨人に連敗。嫌な流れが漂うも、第3戦目を小川泰弘の熱投でモノにすると、ホームに戻っての中日戦で3連勝。借金を「1」とし、順位も2位に浮上している。
◆ 「1番・遊撃」に入って負けなし!
再浮上のポイントとなったのが、打順の変更だ。
小川淳司監督は6月24日から1番に西浦を起き、山田を3番に変更。すると、チームはそこから負けなしの4連勝を記録する。上述した通り、劇勝を収めた28日の試合では9回に西浦が同点打を放ち、最後は山田がサヨナラ弾で試合を決めた。
好調さを買われて1番に抜擢された西浦は、この4試合で16打数8安打の打率.500、1本塁打で8打点と躍動。不振が心配された山田も打率こそ.267となっているが、2本塁打で6打点をマークしている。打順変更を決断した小川監督としても、ここまでの爆発ぶりは予想以上だったのではないか。
◆ 今年こそ遊撃手問題に終止符を…
西浦はプロ5年目の27歳。天理高から法政大へと進み、2013年のドラフト2位でヤクルトに入団。いきなり背番号「3」をつけるなど、ポスト・宮本慎也として大きな期待を受けた選手だった。
迎えた2014年の開幕戦。「8番・遊撃」でスタメンに名を連ねると、初回に巡ってきたプロ初打席で、その初球をレフトスタンドへ。プロ初打席・初球の初本塁打はリーグ史上初という衝撃のデビューを飾った。
ところが、以降はプロの壁に苦しみ、なかなか結果を残せない日々が続く。チームは2015年に久しぶりのリーグ制覇を果たすが、主に遊撃手を務めたのは前年オフにFAでやってきた大引啓次。西浦は打率こそ.295という数字を残したが、一軍出場は26試合に留まっている。
しかし、大引もケガに苦しむ時間が増え、遊撃争いは再びの大混戦模様へ。西浦も2016年、2017年と2年続けて72試合の出場を果たすなど、アピールを続ける。そして迎えた2018年、今季は開幕スタメンこそ高卒3年目の広岡大志に譲ったが、結果を残せずに二軍落ち。代わって遊撃に入ったのが、三塁で好調を維持していた西浦だった。
5月9日以降は遊撃に定着。ここまで打率.273、6本塁打、30打点を記録している。月別の成績で見ると4月が.314、5月は.282に対して6月は.239と数字を落としているものの、上述の通り1番に入ってから調子上向き。レギュラー定着へ向けて、踏ん張りどころを迎えている。
セ・リーグは広島が交流戦明け負けなしの6連勝と独走体制に入りつつあるものの、2位以下はまだまだ大混戦。どのチームも抜け出すキッカケを探っている状況だ。
「1番・西浦」はチームの起爆剤となり、さらなる高みへと導いていくことができるか…。好調・ツバメ軍団の“新・切込み隊長”に注目だ。