勝ちきれない歯がゆさ
ライトスタンドの祈りにも似た歓声は、一度大きくなった後、ため息に変わった。
7月3日、京セラドーム大阪で行われたオリックス-ロッテの12回戦。2-2で迎えた延長12回、二死ながら満塁のチャンスで打席には4番の吉田正尚が入る。決めるか、終わるか…。どう転んでも吉田はこの試合の最後の打者になる。ファンからの大きな期待を背に、真ん中付近の速球を打ち返すと打球はセンター後方へ。弧を描く打球にファンからは歓声が漏れたが、ロッテのセンター・荻野貴司はこちら向きで足を止め、落ちてくるボールをキャッチ。試合は2-2の引き分けで幕を閉じた。
なんとこの2週間で5度目となる延長戦。そのうちホームゲームは3試合で、その戦績は1分2敗。今度こそ延長サヨナラ勝ちを…と期待を抱いたファンも少なくなかっただろうが、今回もその願いは届かなかった。ちなみに、最後に延長戦で勝ったのは6月2日の巨人戦までさかのぼり、現在のところ“6戦連続で勝ちなし”状態となっている。
【オリックス・今季の延長戦】
・4月11日 vs.楽 △(2-2)
・4月29日 vs.ソ ●(4-7)
・5月10日 vs.日 ○(2-1)
・6月 2日 vs.巨 ○(3-2)
・6月16日 vs.De ●(0-1)
・6月21日 vs.神 △(3-3)
・6月22日 vs.ソ ●(3-5)
・6月24日 vs.ソ ●(4-5)
・6月27日 vs.西 △(3-3)
・7月 3日 vs.ロ △(2-2)
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[通算] 10試2勝4敗4分
鉄壁リリーフ陣が奮闘
「勝ちきれない」という見方もあるが、一方で「よく食らいついている」と言うこともできる。
たとえば3日の試合。先発のアンドリュー・アルバースが6回までを投げ、以降を6人の投手が1回ずつバトンを繋いだのだが、6イニングで許した安打はゼロ。四球は5つあったとはいえ、最後までまったく打たれなかったのだ。
ビジターながら引き分けに持ち込んだ6月27日の西武戦では、先発の金子千尋が7回までで降板してから5投手のリレーで強力・西武打線をシャットアウト。この時は安打も許し、なんと全投手が四球で走者を出す苦しい展開となったが、味方の好守にも助けられてスコアボードにゼロを並べている。
現在は黒木優太がリフレッシュで二軍調整となっているものの、それでも勝ちパターンである吉田一・山本・増井の方程式は盤石で、6月の救援防御率は1.80という驚異的な数字。このリリーフ陣の踏ん張りがなければ、延長も引き分けもないのだ。
打線が投手陣の踏ん張りに応え始めた時、それがオリックスの逆襲開始の合図。奮闘するリリーフ陣と、長い夜に終止符を打つ打者の登場に期待したい。
【オリックスの主なリリーフ陣】
38試 吉田一将(3勝1敗14H/防1.58)
38試 増井浩俊(1勝0敗22S/防1.56)
33試 山本由伸(3勝0敗22H/防0.82)
32試 近藤大亮(2勝3敗5H/防4.01)
31試 黒木優太(0勝1敗15H/防4.00) ※現在は二軍調整中
25試 沢田圭佑(2勝0敗4H/防2.49)
13試 比嘉幹貴(0勝1敗1H/防0.66)