後半戦は7勝1敗の快進撃
失うものは何もない楽天が、パ・リーグの台風の目になろうとしている。
後半戦の開幕カードでロッテ相手に3連勝を飾ると、苦手な西武にも2勝1敗で勝ち越し。とくにその初戦では“天敵”として苦しめられてきた菊池雄星から6点を奪っての白星だったというところからも、生まれ変わったチームの状態の良さがうかがえる。
さらに24日の日本ハム戦は、延長10回に1点を勝ち越されながらも執念で追いつき、最後は山下斐紹が移籍後初にしてプロ初本塁打を放って劇的サヨナラ勝ち。勢いそのままに25日の試合も快勝を収め、後半戦は7勝1敗と破竹の勢いで勝ち進んでいる。
梨田昌孝監督が辞任を決意したのが「借金20」というライン。そこから平石洋介監督代行がチームを引き継ぐと、前半戦は5割のペースで進めながら、オールスター明けの8試合で7勝1敗の快進撃。借金を14まで減らし、5位との差も「5.5」まで縮めた。
固定された打順と正捕手
平石監督代行体制となってから大きく変わった点といえば、まずは打線だろう。
これまでは流動的な部分が多かったが、新指揮官は1番にプロ2年目の田中和基を抜擢。そこから茂木栄五郎、島内宏明、今江年晶、銀次と続く1~5番は全試合固定。以下も直近はジャフェット・アマダーが好調なこともあってアマダーから藤田一也、そしてカルロス・ペゲーロ、嶋基宏というラインナップがほぼ固定されつつある。
また、打順が固定されているということは、その守備位置もほぼ固定されているということ。現在の球界では多くのチームが正捕手を固定せずに併用しているが、平石監督代行となってからスタメンマスクは嶋基宏でほぼ固定。25日の試合で山下斐紹が入ったのが初めてのことだった。
これまでは出場が不定期だった嶋も7月は月間打率.308と持ち味を発揮。9番からトップに繋ぐ役割を果たし、好調な田中へと続くいい流れを生んでいる。
投手陣では、開幕から不振が続いた松井裕樹を“リリーフの一人”として場面を問わずに起用。7月22日の西武戦では1回を投げきれずに4失点と炎上したものの、後半戦は5試合に登板して失点を喫したのはその試合だけ。復調のキッカケを掴もうとしている。
現時点で5位とのゲーム差は5.5。3位との差は7.5と依然として厳しい状況に変わりはないものの、いまのチームには確実に光が差し込んでいる。
思い返してみると2010年、ヤクルトで高田繁監督がシーズン中に辞任。後を引き継いだ小川淳司監督代行が19個の借金を返し、最終的には貯金4でフィニッシュしたという例もある。順位的には4位でクライマックスシリーズ進出はならなかったものの、どん底の状態から見事に巻き返してみせた。
平石監督代行はその時の再現、いや、それ以上の結果を残すことができるか。勢いに乗る楽天から目が離せない。
【楽天・監督交代前後の成績】
▼ 開幕~6月16日
63試 21勝41敗1分(.339)
※5位とのゲーム差「9.5」
▼ 6月17日~7月26日
24試 15勝9敗0分(.625)
※5位とのゲーム差「5.5」