チームは低迷もビシエドは好調!
7月も終わり、プロ野球は夏場の勝負所に突入。セ・リーグは広島が抜け出し、パ・リーグは西武と日本ハムが優勝争いを繰り広げている。しかし、まだまだ順位争いは続いていくはずだ。
現時点で各チームとも90試合近くを消化しており、疲れも溜まってくるころだ。特にルーキーをはじめとした、シーズンを通して活躍したことのない選手にとっては、未知の領域。その苦しい時期に調子を上げてきているのが、中南米カリブ海出身の外国人選手たちである。
チームは最下位に沈み、アルモンテとモヤが故障で離脱するなど苦しい状況の続く中日は、キューバ出身のビシエドが好調。6月末時点でも打率.291、10本塁打とまずまずの成績を残していたが、7月に入りさらに調子を上げてきた。2試合連続ノーヒットがなく、コンスタントに安打を放ち、月間打率.378を記録するなど気を吐いている。
また、ドミニカ出身のDeNAのソトも好調。後半戦だけですでに7本塁打を放っており、量産体制に入ったと言っていい。また、7月20日からは2番に固定され1番の桑原将志の後に座り、ロペス、筒香嘉智、宮﨑敏郎らとともに強力打線を形成中だ。「攻撃的2番」として3年連続クライマックスシリーズ出場を牽引したい。
バレンティンは4割超え
昨シーズン最下位からの巻き返しを図るヤクルトのバレンティン(オランダ領キュラソー島出身)も7月の月間打率.342と調子を上げてきた。本塁打も7本放っており、同僚の山田哲人とホームラン王争いを繰り広げている。過去を振り返ると60本塁打を放った2013年は、8月に打率.460・18本塁打の圧倒的な成績を残していた。山田哲との3番、4番コンビがここからも好調を続けるとなれば、相手チームにとっては大きな脅威となる。順位争いから抜け出しAクラスを死守するためにも好調をキープしたい。
後半戦に入り、パ・リーグの台風の目になりつつある楽天は、平石監督代行が指揮を執るようになってから打線はほぼ固定。そのなかで「6番・指名打者」として起用されているのがメキシコ出身のアマダーだ。開幕から5月までは打率.208と低迷し期待されていた本塁打もわずか5本にとどまるなど、調子が上がらず二軍降格となっていたアマダーだが、6月12日に再昇格すると本塁打を量産。7月に入ると2試合連続マルチ本塁打を含む11本塁打と大爆発し、2年連続の20本塁打に到達した。
これは、昨シーズン、ウィーラーが記録した球団の外国人による最多本塁打である31本を更新する勢い。前半戦の結果からは不可能と思われていた3位争いに加わるためにも、アマダーの爆発は心強い。ドミニカ共和国出身のペゲーロにも当たりがでてくれば、大逆転でのCS出場も見えてくる。
このように、夏場に向けて調子を上げてくる中南米出身の外国人選手は多い。現時点で期待される成績を残すことができていないロサリオ(阪神/ドミニカ出身)、ゲレーロ(巨人/キューバ出身)らも上積みはありそうだ。優勝争い、クライマックスシリーズ出場争いが佳境となる夏場の勝負所において鍵となるのは、「中南米カリブ海出身」の選手たちかもしれない。
▼ 好調な中南米カリブ海出身選手たち
・ビシエド(中日/キューバ)
7月:打率.378 5本塁打 19打点
今季:打率.311 15本塁打 61打点
・ソト(DeNA/プエルトリコ)
7月:打率.278 9本塁打 22打点
今季:打率.304 16本塁打 41打点
・バレンティン(ヤクルト/オランダ領アンティル)
7月:打率.342 6本塁打 20打点
今季:打率.270 24本塁打 79打点
・アマダー(楽天/メキシコ)
7月:打率.304 11本塁打 17打点
今季:打率.273 20本塁打 42打点