ニュース 2018.08.03. 10:10

平成甲子園メモリアルpart.2 ~後のスターがズラリ揃った平成10年代~

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“ハンカチフィーバー”は第88回大会(C)KYODO NEWS IMAGES

平成11年:第81回大会

・優 勝:桐生第一(群馬) ☆初優勝
・準優勝:岡山理大付(岡山)
※参加校:4096校

【主な高卒プロ選手】
・正田 樹(桐生第一→日本ハム)
・田中賢介(東福岡→日本ハム)
・朝倉健太(東邦→中日)
・高木康成(静岡→近鉄)
・眞山 龍(仙台育英→西武)
・村西哲幸(比叡山→横浜)


 有力校が早々と姿を消していく中、エース左腕・正田の快投と強力打線で勝ち進んだ桐生第一が群馬県勢初の優勝を果たした。

 正田は大会前の評判こそさほど高くなかったものの、初戦で比叡山の村西、2回戦は仙台育英の眞山、3回戦は静岡の高木という後にプロ入りする好投手との投げ合いに連戦連勝。投げるごとに成長を見せ、終わってみれば6試合で3完封。決勝戦を初回に失った1点のみの完投と、チームと群馬県に初の栄誉をもたらす原動力となった。


平成12年:第82回大会

・優 勝:智弁和歌山(和歌山) ☆2回目
・準優勝:東海大浦安(千葉)
※参加校:4119校

【主な高卒プロ選手】
・大竹 寛(浦和学院→広島)
・畠山和洋(専大北上→ヤクルト)
・今江敏晃(PL学園→ロッテ)※現在の登録名は「今江年晶」
・朝井秀樹(PL学園→近鉄)
・桜井広大(PL学園→近鉄)
・栗山 巧(育英→西武)
・坂元弥太郎(浦和学院→ヤクルト)


 6試合で100安打という驚異的な猛打で智弁和歌山が2度目のV。現在は更新されたものの当時の大会記録となるチーム打率.412をマークし、11本塁打は今なお残る大会記録となった。

 決勝戦は東海大浦安との打ち合いとなるも、8回に一挙5点を奪って突き放し、9回には後藤仁が大会新記録となるチーム11本目の本塁打でダメ押し。決勝戦のチーム20安打も当時の新記録だった(2008年に大阪桐蔭が更新)。

 また、今大会で話題を集めたのが沖縄から初出場の那覇。背番号がポジションと一致しない自由さもさることながら、最大のサプライズは正捕手が左投げだったこと。残念ながら大会中にケガをしてしまったものの、個性的な選手が多かった大会の中でも一際注目を集めた。



平成13年:第83回大会

・優 勝:日大三(西東京) ☆初優勝
・準優勝:近江(滋賀)
※参加校:4150校

【主な高卒プロ選手】
・近藤一樹(日大三→近鉄)
・都築克幸(日大三→中日)
・内田和也(日大三→ヤクルト)
・千葉英貴(日大三→横浜)
・寺原隼人(日南学園→ダイエー)
・森岡良介(明徳義塾→中日)
・坂 克彦(常総学院→近鉄)


 秋のドラフト会議で4名が指名されたというタレント軍団・日大三が初優勝。前年に智弁和歌山が樹立した大会記録を上回るチーム打率.427(※当時/2004年に駒大苫小牧が更新)を記録するなど、この年も猛打が光る大会となった。

 レギュラー9人のうち実に7人が打率4割以上をマークしたという最強打線を誇り、初戦から準決勝までの5試合で1試合平均9得点を叩き出した日大三。決勝戦も2点を先制すると、1点差に迫られて迎えた終盤7回に2点、8回にも1点を挙げてダメ押し。継投策を採る近江を突き放すと、投げてはエースの近藤が2失点完投。9度目の出場で悲願の優勝を掴んだ。

 “打高”の大会の中、投手として輝きを放ったのが日南学園のエース・寺原。初戦で当時の甲子園最速となる151キロをマークするなど全開のスタートを切ると、2回戦は体調不良のために2番手としての登板となったにも関わらず154キロを計測。その剛球で観客の度肝を抜いた。


平成14年:第84回大会

・優 勝:明徳義塾(高知) ☆初優勝
・準優勝:智弁和歌山(和歌山)
※参加校:4163校

【主な高卒プロ選手】
・森岡良介(明徳義塾→中日)
・西岡 剛(大阪桐蔭→ロッテ)
・坂 克彦(常総学院→近鉄)
・須永英輝(浦和学院→日本ハム)
・松本高明(帝京→広島)
・瀬間仲ノルベルト(日章学園→中日)
・尾崎匡哉(報徳学園→日本ハム)
・鎌倉 健(川之江→日本ハム)


 9度目の出場となった明徳義塾が、悲願の初優勝を果たした。

 1992年の夏は星稜・松井秀喜への5打席連続敬遠が物議を醸し、1998年の夏は松坂擁する横浜相手に6点リードを逆転負け。いつしか“ヒール役”となってしまったチームが成し遂げた偉業に、1990年から監督を務める馬淵史郎監督も涙をこらえることができなかった。

 四国勢が快進撃を見せ、4校すべてがベスト8に進出するという史上初の出来事も話題になったこの大会。決勝戦は2年ぶり3度目の優勝を目指す智弁和歌山との対戦となるも、ピンチで相手のスクイズを阻止するビッグプレーなどもあり、最後まで流れを渡すことなく7-2で快勝した。


平成15年:第85回大会

・優 勝:常総学院(茨城) ☆初優勝
・準優勝:東北(宮城)
※参加校:4163校

【主な高卒プロ選手】
・坂 克彦(常総学院→近鉄)
・ダルビッシュ有(東北→日本ハム)
・堂上剛裕(愛工大名電→中日)
・江川智晃(宇治山田商→ソフトバンク)


 大会を通じて注目を集めた2年生エース・ダルビッシュを擁する東北を破り、常総学院が初優勝。全6試合で本塁打0ながら優勝というここぞの勝負強さが光った。

 決勝戦も2点を先制される展開も、犠打に頼らぬ強行策でダルビッシュを攻略。3回途中から投入された飯島秀明も相手の反撃を断つ見事な投球を見せるなど、この大会限りでの勇退を発表していた名将・木内幸男監督の手腕が光った(この後2007年に監督復帰)。

 コンディション不良の中でもさすがの投球を見せたダルビッシュだったが、最後の最後で力尽きた。その満身創痍のエースを支えたのが、背番号18のサイドハンド・真壁賢守。この大会からベンチ入りの枠が18人に増え、ギリギリのところで甲子園出場を掴んだ男だったが、ダルビッシュが負傷降板した1回戦は7イニングのロングリリーフでチームを救い、準々決勝の光星学院戦では先発を任されるなど、チームの救世主となった。


平成16年:第86回大会

・優 勝:駒大苫小牧(南北海道) ☆初優勝
・準優勝:済美(愛媛)
※参加校:4146校

【主な高卒プロ選手】
・鵜久森淳志(済美→日本ハム)
・涌井秀章(横浜→西武)
・石川雄洋(横浜→横浜)
・ダルビッシュ有(東北→日本ハム)
・今成亮太(浦和学院→日本ハム)
・中西健太(北大津→ソフトバンク)
・前田健太(PL学園→広島)


 白河の関を越えていなかった優勝旗が、一気に津軽海峡を越えた。

 圧倒的な攻撃力で勝ち上がった駒大苫小牧と、春のセンバツ優勝校・済美による決勝戦は壮絶な乱打戦に。済美が2回までに5点を奪うも、駒大苫小牧も済美のエース・福井優也を攻め立て、6回終了時点で9-9というスコアに。7回にも連打で3点を挙げた駒大苫小牧が試合をひっくり返し、最終的には13-10で打ち勝った。5試合通算のチーム打率は174打数78安打の.448。これは今なお破られていない大会最高記録である。

 後のプロ入り選手を見ても分かる通り、次代の球界のエースがこぞって出場していたこの大会。3年生になったダルビッシュは1回戦から2試合連続完封で勝ち上がるも、雨の中行われた3回戦で千葉経大付に延長戦の末に敗北。横浜で“松坂2世”と呼ばれた涌井も2回戦で延長11回完封を果たすなど、見るものの印象に残る快投を披露。前田健太は1年生ながら先発の大役を任されたが、日大三の猛打に屈した。


平成17年:第87回大会

・優 勝:駒大苫小牧(南北海道) ☆2回目
・準優勝:京都外大西(京都)
※参加校:4137校

【主な高卒プロ選手】
・田中将大(駒大苫小牧→楽天)
・堂上直倫(愛工大名電→中日)
・柴田亮輔(愛工大名電→オリックス)
・鈴木将光(遊学館→広島)
・平田良介(大阪桐蔭→中日)
・辻内崇伸(大阪桐蔭→巨人)
・中田 翔(大阪桐蔭→日本ハム)


 駒大苫小牧が平成初の夏連覇。最後の打者を三振に取った2年生の怪物が、大きな声で吠えたシーンを覚えている方も多いのではないか。

 センバツでは2回戦で敗れるという屈辱を味わった前年王者は、準決勝で大阪桐蔭の快速左腕・辻内崇伸を前に16個の三振を喫しながらも10安打を浴びせ、延長戦の末に勝利。決勝戦でも先制こそ許しながら逆転、中押し、ダメ押しという理想的な展開で進め、9回は2年の田中将大が三者三振締め。57年ぶり6校目となる夏連覇の偉業を達成した。

 優勝した駒大苫小牧に敗れたものの、大阪桐蔭が残したインパクトは大きかった。投げては辻内崇伸が甲子園での左腕最速記録となる156キロを計測。準決勝で敗れたものの、計65個の奪三振は当時歴代2位という記録だった。また、打者では平田良介が準々決勝の東北戦で1試合3本塁打の大会タイ記録をマーク。さらに当時1年生ながらレギュラーを掴んだ中田翔もラインナップに名を連ねており、大会を大いに盛り上げた。


平成18年:第88回大会

・優 勝:早稲田実(西東京) ☆初優勝
・準優勝:駒大苫小牧(南北海道)
※参加校:4112校

【主な高卒プロ選手】
・田中将大(駒大苫小牧→楽天)
・佐藤由規(仙台育英→ヤクルト)
・佐藤祥万(文星芸大付→横浜)
・丸 佳浩(千葉経大付→広島)
・藤村大介(熊本工→巨人)
・中田 翔(大阪桐蔭→日本ハム)
・赤坂和幸(浦和学院→中日)
・中村 晃(帝京→ソフトバンク)
・橋本良平(智弁和歌山→阪神)


 歴史に残る“決勝再試合”を制した早稲田実が、創部102年目にして初優勝。“ハンカチ王子”が駒大苫小牧の3連覇を阻んだ。

 決勝の“初戦”は8回に両者1点を取り合っての延長15回引き分け。37年ぶりの決勝・再試合は田中将大の登板前を効果的に攻め、早実が終始リードする展開。9回に2ランで1点差まで迫られたものの、最後は死闘を演じた田中将大を空振り三振に斬って取り、都の名門に初の栄冠をもたらした。

 試合中のマウンドでハンカチで汗を拭く姿が話題となり、「ハンカチ王子」の異名でフィーバーを巻き起こした斎藤。投げては1回戦を除く6試合で完投し、決勝の再試合は4連投のマウンドとなったが投げきる。通算948球は歴代1位、78奪三振は歴代2位という快記録のおまけ付きだった。


平成19年:第89回大会

・優 勝:佐賀北(佐賀) ☆初優勝
・準優勝:広陵(広島)
※参加校:4081校

【主な高卒プロ選手】
・中村 晃(帝京→ソフトバンク)
・佐藤由規(仙台育英→ヤクルト)
・橋本 到(仙台育英→巨人)
・清原大貴(常総学院→阪神)
・佐藤祥万(文星芸大付→横浜)
・岩崎 翔(市立船橋→ソフトバンク)
・山崎正貴(市立船橋→オリックス)


 “がばい旋風”にスタンドが揺れた決勝戦。劇的すぎる逆転満塁弾で、佐賀北が初めての優勝を果たした。

 注目校が早々に姿を消す波乱のなか、馬場将史と久保貴大の鉄壁リレーで勝ち上がった佐賀北。決勝戦は4点ビハインドで8回に突入する苦しい展開も、押し出しで1点を挙げた直後に3番・副島浩史が甘く入った変化球をレフトスタンドまで運ぶ逆転のグランドスラム。一振りで試合をひっくり返し、5安打の佐賀北が13安打の広陵に勝利した。


平成20年:第90回大会

・優 勝:大阪桐蔭(北大阪) ☆2回目
・準優勝:常葉菊川(静岡)
※参加校:4059校

【主な高卒プロ選手】
・浅村栄斗(大阪桐蔭→西武)
・西 勇輝(菰野→オリックス)
・橋本 到(仙台育英→巨人)
・筒香嘉智(横浜→横浜)
・今村 猛(清峰→広島)
・小熊凌祐(近江→中日)
・近田怜王(報徳学園→ソフトバンク)
・斎藤圭祐(千葉経大付→巨人)


 記念大会による出場校の増加と北京五輪の開催により、史上最も早い8月2日開幕となったこの年。猛打で勝ち上がった大阪桐蔭が決勝戦タイ記録となる17得点で常葉菊川を圧倒し、2度目の優勝を成し遂げた。

 辻内崇伸や平田良介、前年まで在籍した中田翔といった“怪物”級の選手は不在という前評判だったものの、恐怖の1番・浅村栄斗や主砲の荻原圭悟を擁する打線が大会を通じて爆発。6試合で62得点という大会最多記録を樹立した。

 この年の熱闘といえば、準々決勝の常葉菊川と智弁和歌山の一戦を忘れてはいけない。智弁和歌山にリードを許していた常葉菊川は5回に逆転に成功すると、6回には一挙10得点を挙げる猛攻。大勝ムードになりかけたが、そこから智弁和歌山が8回に4点、9回にも4点を挙げて3点差まで接近。史上稀に見る点の取り合いに、聖地が揺れた。



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