ニュース 2018.08.03. 10:15

平成甲子園メモリアルpart.3 ~最強・大阪桐蔭時代~

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2012年に甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭(C)Kyodo News

平成21年:第91回大会

・優 勝:中京大中京(愛知) ☆7回目
・準優勝:日本文理(新潟)
※参加校:4041校

【主な高卒プロ選手】
・堂林翔太(中京大中京→広島)
・磯村嘉孝(中京大中京→広島)
・菊池雄星(花巻東→西武)
・今宮健太(明豊→ソフトバンク)
・庄司隼人(常葉橘→広島)
・岡田俊哉(智弁和歌山→中日)
・伊藤拓郎(帝京→DeNA)
・秋山拓巳(西条→阪神)
・吉川大幾(PL学園→中日)
・榎本 葵(九州国際大付→楽天)


 古豪・中京大中京が実に44年ぶりの栄冠。粘る日本文理をなんとか振り切り、最多7度目の全国制覇を達成した。

 10-4と6点をリードした9回も二死。マウンド上の堂林に魔物が襲いかかる。二死2ストライクまで持っていきながら四球で走者を許すと、そこから二塁打、三塁打で失点。さらに死球でピンチを広げ、最後の回を締めることができずに降板。後を受けた森本隼平も四球で満塁とし、連打で気がつけば10-9と1点差。続く打者の打球も痛烈なライナーとなったが、これが三塁手のグラブに収まってようやく3アウト。楽勝ムードから一転、甲子園史に残る猛追撃で冷や汗をかいた。

 「日本文理の夏は終わらない」という実況とともに多くのファンの心に刻まれた猛攻。勝ったはずの中京大中京・堂林が涙でインタビューを受けたのに対し、敗れた日本文理ナインの爽やかな表情の対比が印象的だった。


平成22年:第92回大会

・優 勝:興南(沖縄) ☆初優勝
・準優勝:東海大相模(神奈川)
※参加校:4028校

【主な高卒プロ選手】
・一二三慎太(東海大相模→阪神)
・歳内宏明(聖光学院→阪神)
・後藤駿太(前橋商→オリックス)
・白根尚貴(開星→ソフトバンク)
・山田哲人(履正社→ヤクルト)
・松本竜也(英明→巨人)
・北川倫太郎(明徳義塾→楽天)



 興南が史上6校目の甲子園春夏連覇を達成。沖縄県勢として初めて夏の甲子園を制した。

 “琉球トルネード”ことエースの島袋洋奨の好投に打線が奮起。決勝戦では東海大相模の一二三慎太から4回に一挙7得点の猛攻。6回にも5点を挙げて突き放し、注目投手対決も終わってみれば13-1という大差がついた。

 その他の投手では聖光学院の2年生エース・歳内が躍動。力のあるまっすぐと高校生離れした精度のスプリットを武器に奪三振を量産。後に大学を経てプロ入りする広陵・有原航平との投手戦を制している。


平成23年:第93回大会

・優 勝:日大三(西東京) ☆2回目
・準優勝:光星学院(青森)
※参加校:4014校

【主な高卒プロ選手】
・川上竜平(光星学院→ヤクルト)
・歳内宏明(聖光学院→阪神)
・釜田佳直(金沢→楽天)
・北川倫太郎(明徳義塾→楽天)
・高橋大樹(龍谷大平安→広島)
・松本 剛(帝京→日本ハム)
・大谷翔平(花巻東→日本ハム)


 日大三が10年ぶりの頂点。“甲子園史上屈指”という声も挙がる強力打線が6試合中4試合で2ケタ得点を叩き出した。

 決勝戦も青森県勢として42年ぶりに決勝進出を果たした光星学院に対して打線が爆発。後に大学を経てプロ入りする高山俊の3ランで主導権を握ると、打ちも打ったり11得点。投げてはエースの吉永健太朗が5安打完封という圧巻の投球で強さを見せつけた。

 また、この大会で“聖地デビュー”を果たしたのが花巻東の大谷。当時2年ながら初戦の帝京戦でリリーフ登板すると、田中将大に並ぶ高校2年生の甲子園タイ記録となる150キロをマーク。観客の度肝を抜いたが、後にチームメイトとなる帝京の主将・松本に勝ち越し打を浴び、涙を流した。


平成24年:第94回大会

・優 勝:大阪桐蔭(大阪) ☆3回目
・準優勝:光星学院(青森)
※参加校:3985校

【主な高卒プロ選手】
・藤浪晋太郎(大阪桐蔭→阪神)
・森 友哉(大阪桐蔭→西武)
・北條史也(光星学院→阪神)
・田村龍弘(光星学院→ロッテ)
・浜田達郎(愛工大名電→中日)
・高橋大樹(龍谷大平安→広島)
・下妻貴寛(酒田南→楽天)
・柿沢貴裕(神村学園→楽天)
・松井裕樹(桐光学園→楽天)
・園部 聡(聖光学院→オリックス)
・渡辺 諒(東海大甲府→日本ハム)


 史上初の“春夏同一カード”となった決勝戦は大阪桐蔭が勝利。史上7校目となる春夏連覇を達成した。

 大阪桐蔭はエース・藤浪晋太郎が大会を通してハイパフォーマンスを見せ、また勝ち上がるに連れて調子も上昇。決勝戦は強打の光星学院打線を相手に2安打、14奪三振とつけ入るスキを与えなかった。

 また、松井裕樹という新星の登場も大会を盛り上げた。2年生左腕は1回戦の今治西戦で大会新記録となる1試合22奪三振をマーク。打ってもライトスタンドに3ランを叩き込むなど、まさに大暴れで鮮烈な印象を残した。


平成25年:第95回大会

・優 勝:前橋育英(群馬) ☆初優勝
・準優勝:延岡学園(宮崎)
※参加校:3957校

【主な高卒プロ選手】
・高橋光成(前橋育英→西武)
・森 友哉(大阪桐蔭→西武)
・上林誠知(仙台育英→ソフトバンク)
・内田靖人(常総学院→楽天)
・園部 聡(聖光学院→オリックス)
・奥村展征(日大山形→巨人)
・古川侑利(有田工→楽天)


 前橋育英が初出場で初優勝の快挙。主将の荒井海斗は有言実行で監督を務める父親・直樹を優勝監督へと導いた。

 決勝戦では2年生エース・高橋光成が先に3点を失う苦しい展開も、5回に3点を挙げて同点。試合を振り出しに戻すと、7回には荒井海斗が三塁線を破る勝ち越し打。最後まで接戦に勝ち続け、頂点に立った。

 夏連覇を目指した大阪桐蔭は3回戦で敗退。それでも、前年に藤浪晋太郎とのバッテリーで春夏連覇を果たした森が大暴れ。開幕日の日本文理戦でいきなり2打席連続弾を放ち、甲子園通算本塁打を歴代4位タイの5本まで伸ばした。


平成26年:第96回大会

・優 勝:大阪桐蔭(大阪) ☆4回目
・準優勝:三重(三重)
※参加校:3917校

【主な高卒プロ選手】
・香月一也(大阪桐蔭→ロッテ)
・松本裕樹(盛岡大付→ソフトバンク)
・平沼翔太(敦賀気比→日本ハム)
・脇本直人(健大高崎→ロッテ)
・岡本和真(智弁学園→巨人)
・広岡大志(智弁学園→ヤクルト)
・高橋奎二(龍谷大平安→ヤクルト)
・石川直也(山形中央→日本ハム)
・植田 海(近江→阪神)
・小笠原慎之介(東海大相模→中日)


 大阪桐蔭が2年ぶりの優勝。まさに平成高校球界を代表する強豪としての地位を確立した。

 決勝戦は先制を許しながらも追いつき、一時は勝ち越されるものの7回二死満塁のワンチャンスをモノにして逆転。投げてはエースの福島孝輔が粘りの投球で9回完投。2年ぶり4回目の夏制覇を果たした。

 この大会で旋風を巻き起こしたのが、健大高崎の“機動破壊”野球。準々決勝で優勝する大阪桐蔭に敗れるものの、それまでの4試合で計26盗塁を記録。その中心的存在となったのが1番の平山敦規で、なんと1大会のうちに8盗塁をマーク。実に93年ぶりの大会タイ記録だった。


平成27年:第97回大会

・優 勝:東海大相模(神奈川) ☆2回目
・準優勝:仙台育英(宮城)
※参加校:3906校

【主な高卒プロ選手】
・小笠原慎之介(東海大相模→中日)
・吉田 凌(東海大相模→オリックス)
・佐藤世那(仙台育英→オリックス)
・平沢大河(仙台育英→ロッテ)
・オコエ瑠偉(関東一→楽天)
・成田 翔(秋田商→ロッテ)
・大瀧愛斗(花咲徳栄→西武)※現在の登録名は「愛斗」
・姫野優也(大阪偕星→日本ハム)
・清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)


 仙台育英との死闘を制した東海大相模が2度目のV。優勝旗の“白河の関越え”はまたしても叶わなかった。

 東海大相模のエース・小笠原、仙台育英のエース・佐藤による投げ合いが予想された決勝戦だったが、序盤からスコアが動く打ち合いに。6-6で迎えた9回、先頭で打席に入った小笠原が佐藤の初球をライトスタンドへ。自ら勝ち越しの一発を放つと、被弾後を攻めてこの回一挙4点。裏を小笠原が締め、東海大相模が実に45年ぶりとなる夏優勝を果たした。

 個性的な選手が多かった中、やはり注目を集めたのが早実のスーパー1年生・清宮だ。3回戦の東海大甲府戦で甲子園初アーチを放つと、準々決勝の九州国際大付戦でも2試合連続の一発。チームの4強進出に貢献した。



平成28年:第98回大会

・優 勝:作新学院(栃木) ☆2回目
・準優勝:北海(南北海道)
※参加校:3874校

【主な高卒プロ選手】
・今井達也(作新学院→西武)
・寺島成輝(履正社→ヤクルト)
・藤平尚真(横浜→楽天)
・高橋昂也(花咲徳栄→広島)
・九鬼隆平(秀岳館→ソフトバンク)
・藤嶋健人(東邦→中日)
・アドゥワ誠(松山聖陵→広島)


 古豪・作新学院が54年ぶりの優勝。新たな歴史の扉を開いた。

 大会前から寺島・藤平・高橋の3人が“BIG3”として注目を浴びた中、投げる度に評価を挙げていったのが作新学院のエース・今井。5試合中4試合完投ですべて2失点以内に抑えるという安定感抜群の投球が光り、大会後には“BIG4”の一員として大きく扱われるようになった。

 この大会で生まれた名勝負といえば、2回戦の東邦-八戸学院光星を忘れてはならない。2-6と東邦が4点を追う形で終盤戦に突入した試合は、東邦が7回に2点を挙げて反撃。しかし、直後の8回表に3点を返されて4-9。万事休すかと思われた。ところが8回裏に1点を返すと、9回に怒涛の猛攻。会場のほとんどを味方につけた東邦打線が6安打集中で5点を奪い、逆転サヨナラ勝ち。「甲子園には魔物が潜む」という言葉通りの幕切れとなった。


平成29年:第99回大会

・優 勝:花咲徳栄(埼玉) ☆初優勝
・準優勝:広陵(広島)
※参加校:3839校

【主な高卒プロ選手】
・清水達也(花咲徳栄→中日)
・西川愛也(花咲徳栄→西武)
・中村奨成(広陵-広島)
・増田 珠(横浜→ソフトバンク)
・田浦文丸(秀岳館→ソフトバンク)
・西巻賢二(仙台育英→楽天)
・阪口皓亮(北海→DeNA)
・伊藤康祐(中京大中京→中日)
・西浦颯大(明徳義塾→オリックス)


 花咲徳栄が5度目の出場で初優勝。埼玉県勢として悲願の夏制覇を成し遂げた。

 大会新記録となる68本塁打が飛び交った大会の中、本塁打は2本のみながら圧巻の攻撃力で勝ち進んだ花咲徳栄。決勝戦でも序盤から広陵投手陣を飲み込み、5回には打者一巡の猛攻で6得点。終わってみれば14-4の大勝で栄冠を掴んだ。

 本塁打の多い大会の中、一際輝きを放ったのが広陵の中村。清原和博を超える1大会の新記録:6本塁打をマーク。その他にも最多安打(19)、最多打点(17)、最多塁打(43)、最多二塁打(6)と打撃記録を塗り替えまくった。


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