広島・緒方孝市監督(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ なかなかベストメンバーが揃わない中で…

 後半戦に入っても勢いに陰りは見られず、チーム史上初の3連覇に向けて突き進む広島。2位に6ゲームの差をつけて折返しを迎えると、今やその差は「10.5」まで拡大。いよいよマジックの点灯も秒読み段階に入っている。

 今年も圧倒的な強さを見せている一方で、順風満帆かと言われると実はそうでもない。野手陣では開幕前に精神的支柱の新井貴浩が故障で離脱。さらに開幕後も鈴木誠也や丸佳浩といった不動のレギュラーたちも故障で離脱を強いられた。

 加えて、昨季ブレイクした安部友裕は打撃不振で6月に二軍降格。在籍7年目になる大砲ブラッド・エルドレッドも結果が残せず、未だ一軍復帰を果たすことができていない。

 昨年の主力メンバーが故障や不振で離脱した中、ラインナップに彼らが揃わない状況でも現在の位置にいるのは“やりくり”の賜物だ。特に西川龍馬や野間峻祥といった若き力が躍動し、サビエル・バティスタやアレハンドロ・メヒアといった育成出身の外国人選手が奮闘を見せている。

◆ 勝利の方程式が崩れても…

 投手陣も苦しかった。現在は戻ってきているものの、開幕投手を務めた野村祐輔は約2カ月間も離脱。二軍調整中に死球を受けるアクシデントもあって、当初の想定よりも調整期間が長引いてしまった。さらに昨季15勝を挙げた薮田和樹も開幕から不振に苦しみ、6月からは二軍暮らしが続いている。

 リリーフ陣はリリーフ陣で、今村猛やジェイ・ジャクソンといった勝利の方程式のメンバーが不在。守護神の中崎翔太は健在だが、昨季までの勝ちパターンは崩壊している。それでも、高卒2年目のアドゥワ誠や、こちらも育成から這い上がったヘロニモ・フランスア、さらにベテランの永川勝浩が踏ん張り、チームを支えている。

 アドゥワはここまでチーム3位タイの35試合に登板。3勝1敗で防御率3.43と高卒2年目としては立派な数字を残している。フランスアは左の速球派。150キロを超える速球を武器に、39回1/3を投げて奪三振は56と驚異的なペースで三振を量産。チームに欠かせない存在となった。

 投打に故障者や不振者を抱えながらも、代わりの選手の奮闘もあって勝ち進んできた広島。なかなかベストメンバーが揃わないなかでもこの圧倒的な成績を残しているのだから、やはりその強さは本物だ。

 ここから苦しくなる夏場の戦い。6連戦が続き、選手への負担も大きくなってくる時期であるが、緒方孝市監督はこれまで通りの“やりくり”でチームを優勝・3連覇に導くことができるだろうか。

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(※16時20分訂正)
初出時、選手名に誤りがありました。大変失礼致しました。

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