アクシデントを乗り越えた仙台育英が登場
5日(日)に開幕した夏の甲子園もあっという間に開幕から1週間…。大会8日目となる12日(日)の第1試合で全56代表が初戦を終え、第3試合からは初戦を突破してきたチーム同士の戦いになる。
“最後の初戦”となる12日の第2試合が、浦和学院(南埼玉)と仙台育英(宮城)という甲子園でもお馴染みの強豪校対決。しかし、今年は少し事情が違う。
実に2年連続27度目の甲子園出場となった仙台育英。近年でも2015年に準優勝を成し遂げるなど強豪というイメージが強いが、甲子園100回目の夏へ向かう昨年冬、チームは窮地に追い込まれる。
昨年12月、部員の飲酒と喫煙が発覚。無期限活動停止が言い渡された後、6カ月間もの対外試合禁止という処分を受けた。これに伴い、長くチームを率いていた佐々木順一朗監督も引責辞任。春の県大会に出場ができなかったため、この夏はノーシードからの戦いとなった。
それでも腐らず、諦めなかったチームは不祥事を乗り越えて甲子園への切符をゲット。聖地へと舞い戻ることに成功した。
東北勢の悲願
過去に26度の出場経験がある仙台育英でも、未だ成し遂げられていないのが夏の甲子園の優勝。仙台育英どころか、過去99回で東北勢の優勝はただの一度もない。
毎年夏になるとよく言われるのが、「今年こそ、優勝旗の“白河の関越え”を…」という言葉。それだけ東北勢にとっては長く待ちわびた悲願なのだ。
東北勢が“最も優勝に近づいた瞬間”と今でも語り継がれているのが、平成元年・1989年の決勝戦。エース・大越基を擁した仙台育英が帝京(東東京)に挑むも、延長戦の末に敗れたという激闘である。
投手の踏ん張りが目立った大会の決勝らしく、仙台育英は大黒柱の大越が、帝京はそれまで4試合で2完封を達成した吉岡雄二が魂の投球を披露。両エースの投げ合いはどちらも譲らず、なんと0-0のまま延長戦へと突入すると、10回に大越がつかまり2失点。仙台育英は最後まで吉岡を攻略することができず、0-2で敗れた。
100回目の夏、そして平成最後の夏に悲願達成を…。例年以上に力が入るなか、ここまでは大会最注目投手・吉田輝星を擁する秋田の金足農と、11日に地元・明石商(西兵庫)との熱戦を制した青森・八戸学院光星の2チームが勝ち上がり。花巻東(岩手)、羽黒(山形)、聖光学院(福島)の3チームは初戦で敗れた。
今年こそ優勝旗は“白河の関”を越えるのか…。東北勢の戦いから目が離せない。
【代表校・東北地区】
▼ 勝ち残り
・青森:八戸学院光星
・秋田:金足農
▼ 敗退
・岩手:花巻東
・山形:羽黒
・福島:聖光学院
▼ 12日
・宮城:仙台育英(2年連続27回目)