レッドソックスのJ.D.マルティネス

◆ レッドソックス打線を牽引!

 5年ぶりの世界一を目指すレッドソックスが好調だ。現地時間23日現在、90勝39敗の勝率.698をマーク。2位のヤンキースに9.5ゲームの差をつける独走状態となっている。

 好調なチームを「打」で支えているのが、移籍1年目のJ.D.マルティネスだ。今季は開幕から3・4番を任され、リーグトップの打点109を記録。さらに打率.333はチームメイトのムーキー・ベッツ(.340)に次ぐ2位で、本塁打もクリス・デービス(アスレチックス)を1本差で追う2位。三冠王も十分に狙える成績を残しているのだ。

 首位打者を争うベッツはレッドソックスの切り込み隊長。ということは、ベッツの活躍がマルティネスの打点数にも関わってくるだけに、チーム内でのタイトル争いの行方から目が離せない。また、本塁打王を争うデービスは球宴後の31試合で18本塁打と絶好調(マルティネスは30試合で9本塁打)。三冠王を狙ううえでの最大のライバルといえる。

 もし三冠王に輝けば、メジャーでは2012年のミゲル・カブレラ(タイガース)以来で史上15人目。球団ではテッド・ウィリアムス(1942年・1947年)とカール・ヤストレムスキー(1967年)に次いで3人目の大記録だ。
 
 また、今季はナ・リーグの打者の成績が低調なこともあって、ア・リーグの三冠王となれば“両リーグ通じての三冠王”となる可能性が高い。メジャー全体での三冠王となると、1956年のミッキー・マントル(ヤンキース)以来で62年ぶりの偉業となる。

◆ 遅咲きの大砲が偉業に挑む!

 過去にメジャーで三冠王に輝いた14人を振り返ってみると、最年少が1909年のタイ・カッブ(タイガース)で22歳。一方、最年長は1934年のルー・ゲーリッグ(ヤンキース)で31歳となっている。

 30代での三冠王は、最年長のゲーリッグのほかに1966年に30歳で達成したフランク・ロビンソン(オリオールズ)だけ。今月31歳の誕生日を迎えたばかりのマルティネスが達成すれば、ゲーリッグと並ぶ最年長記録だ。

 昨季はタイガースとダイヤモンドバックスの2チームで計45本塁打を放ったマルティネスだが、これまで個人タイトルとは無縁。それどころか、規定打席に初めて到達したのも28歳のシーズンと、選手としてはかなりの“遅咲き”といえるだろう。

 ポストシーズンもタイガースとダイヤモンドバックスで計2度経験したものの、ワールドシリーズは未経験。遅咲きの大砲は「三冠王」と「世界一」の2つを同時に手にすることができるだろうか。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

八木遊 の記事をもっと見る

もっと読む