◆ ファイナルステージの戦いへ…
10月13日に開幕したNPBのポストシーズン。クライマックスシリーズはファーストステージの戦いが終わり、パ・リーグは2位のソフトバンクが2勝1敗で突破。セ・リーグはギリギリのところで3位に滑り込んだ巨人が2位・ヤクルトを投打に圧倒し、王者・広島が待つファイナルへと駒を進めた。
「西武-ソフトバンク」・「広島-巨人」の組み合わせで17日から始まるファイナルステージの戦い。今季は両リーグとも前半戦を首位で折り返したチームがそのまま押し切って頂点まで駆け上がっているように、その総合力から西武と広島が順当に勝ち上がるのではという見立てが多いが、何が起こるか分からないのが短期決戦。昨季のDeNAのように、勢いそのままに“下克上”を果たすこともある。
メジャーリーグでは1990年代の半ばに3地区制に移行。そのタイミングで地区優勝以外のチームがポストシーズンに進むワイルドカードが誕生した。そこから現在まで、地区2位から勝ち上がったチーム同士によるワールドシリーズは過去20数年で2度ある。
2002年の「ジャイアンツ-エンゼルス」と2014年の「ジャイアンツ-ロイヤルズ」はいずれも地区2位からの“下克上シリーズ”。特に前者はワールドシリーズならぬ“ワイルドシリーズ”と揶揄されるなど、ネガティブに扱われることもあった。
日本プロ野球(NPB)との大きな違いは、地区優勝を果たせなかったチームでも勝ち上がってリーグ優勝決定シリーズを制することで“リーグ王者”としてワールドシリーズに進めるという点だろう。NPBのレギュレーションでは、公式戦をもって優勝チームを決定。クライマックスシリーズはあくまでも日本シリーズの“出場権”を争う場、となっている。
なお、日本では過去に何度か下克上が起こっているものの、シーズン2位以下のチーム同士による日本シリーズというのは一度もない。毎年のようにその“あり方”が論争を呼びながら、今年で12年目を迎えているクライマックスシリーズ。いっそ“敗者復活シリーズ”が実現し、より大きな議論を引き起こしてくれたら…と思うこともあるが、果たして今年はどんな結末を迎えるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)