ポジションで見る日本シリーズMVP
いよいよ本日・27日(土)から開幕する日本シリーズ。今年はセ・リーグ3連覇を成し遂げた広島が34年ぶりの日本一を目指し、パ・リーグ2位から勝ち上がったソフトバンクは日本一連覇の偉業に挑む。
日本一をかけた戦いのなか、個人で争われるのが日本シリーズMVPの勲章。かつて2人が選ばれた年もあったが、基本的には日本一に最も貢献した1人が選ばれる。
今回はこれまでの日本シリーズMVPの“ポジション”に注目。4勝先取で決まる短期決戦のなか、MVPになりやすいのは投手なのか、野手なのかを調べてみた。
【歴代・日本シリーズMVP】
1950年 別当 薫(外野手)
1951年 南村不可止(外野手)
1952年 別所毅彦(投手)
1953年 川上哲治(内野手)
1954年 杉下 茂(投手)
1955年 別所毅彦(投手)
1956年 豊田泰光(内野手)
1957年 大下 弘(外野手)
1958年 稲尾和久(投手)
1959年 杉浦 忠(投手)
1960年 近藤昭仁(内野手)
1961年 宮本敏雄(外野手)
1962年 土橋正幸(投手)、種茂雅之(捕手)
1963年 長嶋茂雄(内野手)
1964年 ジョー・スタンカ(投手)
1965年 長嶋茂雄(内野手)
1966年 柴田 勲(外野手)
1967年 森 昌彦(捕手)
1968年 高田 繁(外野手)
1969年 長嶋茂雄(内野手)
1970年 長嶋茂雄(内野手)
1971年 末次民夫(外野手)
1972年 堀内恒夫(投手)
1973年 堀内恒夫(投手)
1974年 弘田澄男(外野手)
1975年 山口高志(投手)
1976年 福本 豊(外野手)
1977年 山田久志(投手)
1978年 大杉勝男(内野手)
1979年 高橋慶彦(内野手)
1980年 ジム・ライトル(外野手)
1981年 西本 聖(投手)
1982年 東尾 修(投手)
1983年 大田卓司(外野手)
1984年 長嶋清幸(外野手)
1985年 ランディ・バース(内野手)
1986年 工藤公康(投手)
1987年 工藤公康(投手)
1988年 石毛宏典(内野手)
1989年 駒田徳広(内野手)
1990年 オレステス・デストラーデ(内野手)
1991年 秋山幸二(外野手)
1992年 石井丈裕(投手)
1993年 川崎憲次郎(投手)
1994年 槙原寛己(投手)
1995年 トーマス・オマリー(内野手)
1996年 トロイ・ニール(内野手)
1997年 古田敦也(捕手)
1998年 鈴木尚典(外野手)
1999年 秋山幸二(外野手)
2000年 松井秀喜(外野手)
2001年 古田敦也(捕手)
2002年 二岡智宏(内野手)
2003年 杉内俊哉(投手)
2004年 石井 貴(投手)
2005年 今江敏晃(内野手)
2006年 稲葉篤紀(外野手)
2007年 中村紀洋(内野手)
2008年 岸 孝之(投手)
2009年 阿部慎之助(捕手)
2010年 今江敏晃(内野手)
2011年 小久保裕紀(内野手)
2012年 内海哲也(投手)
2013年 美馬 学(投手)
2014年 内川聖一(内野手)
2015年 李 大浩(内野手)
2016年 ブランドン・レアード(内野手)
2017年 デニス・サファテ(投手)
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野手=45回(内野手23回・外野手17回・捕手5回)
投手=24回
今回は「人」ではなく「回」でカウント。野手か投手かというくくりで見た場合は、野手が45回と多くなった。しかし、野手を捕手・内野手・外野手の3つに分けると、野手のなかで最も多いのが内野手の23回。投手の24回に及ばなくなる。
確かに、投手は自分の活躍が勝敗に大きく影響するポジション。先発投手であれば2試合登板のチャンスがあってその両方で好投を見せれば、インパクトはかなり強くなる。
また、内野手のなかでは一塁手や三塁手といった伝統的にスラッガーの多いポジションが多い。継続した活躍はもちろん、流れを変える大きな一打がよりフォーカスされる傾向にある。
捕手やリリーフ投手は難しい?
MVPとは、言わずもがなシリーズで最も活躍した選手に贈られるもの。そのため、やはり野手はバッティングで勝利に貢献することが必須であり、投手は複数の試合で完封や完投といった目立つ活躍を残す必要がある。となると、まずは守り・投手のリードというところが最優先となってくる捕手や、リリーフ投手にとってはややハードルが高くなる。
実際、捕手の受賞は過去69回のうち5回だけ。リリーフ投手の受賞にいたっては1982年の東尾と、2017年のサファテのみだ。
捕手が受賞するためには、投手をリードして相手打線を抑えながら、自らバットで勝利に貢献することが不可欠。近年の受賞者で言うと、阿部慎之助や古田敦也といった“打てる捕手”がMVPに輝いている。
また、リリーフ投手は試合展開によって出番があるかどうかも分からないという点が難しいところ。昨年のサファテはポストシーズンをフル回転で投げ続け、日本シリーズでも3試合の登板で1勝2セーブ、5イニングを投げて防御率0.00という圧巻の内容が評価されての受賞だった。
なお、外国人選手のMVPは過去9例と多くないものの、実は直近3年は助っ人勢が連続受賞中。今季もシーズン途中にケガでの離脱があったアルフレド・デスパイネ(ソフトバンク)がクライマックスシリーズで大暴れを見せており、アレハンドロ・メヒア(広島)も状態の良さが伝えられるなど、外国人選手の働きぶりに注目が集まりそうだ。
文=中田ボンベ(dcp)