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ドジャース・前田 日本人メジャーリーガーで唯一日米野球に参加した本当の理由

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力投するMLB選抜先発の前田健太投手(ドジャース)=2018年11月13日、マツダスタジアム 写真提供:時事通信
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、13日の日米野球で同期対決が実現した「88年組」のエピソードを取り上げる。

13日にマツダスタジアムで行われた、日米野球・第5戦。

「久しぶりにこの球場で投げられて、すごく幸せな時間でした。ドジャースのユニホームを着て、この球場で投げられると思っていなかったので」

試合後にそう語ったのは、MLBオールスターチームの先発・前田健太(ドジャース)。広島からメジャー移籍後、かつての本拠地で3年ぶりの凱旋登板を果たしました。2週間ほど前にワールドシリーズを終えたばかりで調整が難しいなか、マエケンが日本人メジャーリーガーで唯一参加したのは、大きな理由がありました。

それは「同期との対決」。今回の日米野球で連日活躍を見せている、秋山翔吾(西武)・柳田悠岐(ソフトバンク)との対戦を本人が熱望していたからです。3人はプロ野球界で「空前の当たり年」と言われている1988年生まれ。この世代は、ニューヨーク・ヤンキースで活躍する田中将大、巨人・坂本勇人など、球界を代表するスター選手を輩出しているプラチナ世代で、「88年会」という団体も結成されるほど横の繋がりも強いのです。

今年は、88年組が30歳を迎えた節目の年。メジャーで3年間、腕を磨いた前田にとって、パ・リーグを代表する打者に成長した秋山・柳田との真剣勝負は、本人の言うとおり「至福の瞬間」だったに違いありません。

この「88年組同期対決」は、初回にいきなり実現しました。前田はまず1番・秋山を、初球ボールのあと、2球目・148キロのストレートでファーストゴロに仕留めると、3番・柳田は初球・149キロのストレートでショートゴロ。日本を代表する強打者2人を、たった3球で抑えてみせました。

このあと2回まで投げ、侍ジャパンを1安打無失点に抑えてマウンドを降りた前田。まさにメジャーの貫禄を示すピッチングで、試合後、こんなコメントを残しました。

「すべての球種がレベルアップしている。きょうの結果がいちばん。成長した姿を見せられたと思う」

マエケンにやられてしまった秋山・柳田コンビですが、試合はこの2人がまたまた活躍。0対3とリードされた8回、秋山がランニングホームランで反撃の口火を切ると、9回は機動力を絡め同点に追い付き、菊池のセーフティスクイズ4対3と一気に逆転。なおも1死1・3塁のチャンスで、バッターは柳田。3塁ランナーは秋山でした。

ここで柳田は、叩き付けるバッティングで内野ゴロを打ち、絶好のスタートを切っていた秋山がホームを駆け抜けました。結果こそ凡打ですが、この追加点が大きくものを言って、5対3で侍ジャパンが逃げ切り3勝目。勝ち越しに王手を掛けたのです。

機動力を重視する稲葉監督は「きょうのあの1点は大きな意味を持つ。日本らしいスピードで取った1点」と、秋山・柳田のコンビを褒め称えました。ここまで5試合で、秋山の打率は.438。柳田は.400。「同期には負けられない」という2人のライバル心が、侍ジャパンの原動力になっているのです。

ところで試合後、こんなシーンがありました。秋山が報道陣を前に、ランニングホームランについて語っていると、そこへ偶然、インタビューを終えた前田が通りかかったのです。

秋山「コイツから打ちたかった」
前田「(2球目を打たずに)もう少し待ってよ。投げたいボールがあったのに……」
秋山「じゃあ(その勝負球を)初球から投げてよ!」


すでに「メジャーへ行きたい」という希望を口にしている秋山。そう遠くない将来、柳田も含めた同期対決が、メジャーの舞台で再び観られるかもしれません。
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