親知らずの治療を受けて顔が腫れてしまった雄星をイジる辻発彦監督

◆ 「選手たちを誇りに思う」

 西武のファン感謝イベント「LIONS THANKS FESTA 2018」が23日にメットライフドームで行われ、辻発彦監督が今季の総括と来季へ向けた意気込みを語った。

 今季は10年ぶりのリーグ制覇を果たし、イベント前にはホームタウンの所沢で10年ぶりとなる優勝パレードも行われた西武。7万5000人の大観衆が詰めかけたパレードを終え、本拠地・メットライフドームに戻ってきた一行を待っていたのは、またしても多くのファンだった。

 ファンとのふれあいを終えた指揮官はこの1年を振り返り、「昨年、監督として1年目のこのファンフェスタで、たくさんの方とハイタッチをして、色々な声援をいただきました。2位になったことで、『来年頼んだよ』『来年は優勝だ』という声がほとんどだったんですが、今年はまた小さい子供からおじいちゃん・おばあちゃんまで、ハイタッチをするたびに『監督おめでとう』『監督ありがとう』『来年も頼むね』と。1年間でこれだけ言葉が変わりました」と感慨深げに語り、「1年間頑張ってくれた、リーグ優勝した選手たちを誇りに思います」と選手たちを讃えた。

◆ 「優勝に大きな力を与えてくれた2人が卒業します」

 しかし、喜びに浸っている時間はあまりない。リーグ連覇と届かなかった日本一に向けて再スタートを切ろうというところ、ストーブリーグも始まったばかりというなかで、エースと主将がチームを離れる決断を下した。

 「先ほど浅村(栄斗)も挨拶をしましたね。(菊池)雄星も挨拶しました。来シーズンから、優勝に大きな力を与えてくれたこの2人が卒業します。この西武ライオンズから旅立ちます」と退団が決まっている2人について言及。まだ気持ちの整理がつかないというファンも多い中、指揮官は自らこの2人を“イジり”に行く。

 まずは、浅村について「なかなか表に表現しない、引っ込み思案な性格でした。キャプテンに任命して、どうなるのかな…そういう気持ちもありましたが、彼は背中でチームを引っ張ってくれました。今年の優勝があるのも、間違いなく浅村の力のおかげです」と自身が主将に任命した男の奮闘を讃えつつ、「来シーズンからは敵になりますから、ウチの投手陣が必死に抑えてくれると思います。インコース、気をつけてください」と忠告して笑いを誘う。

 さらに菊池にも、「きょう顔を見たらびっくりしましたが…」と、イベントの数日前に親知らずの治療を受け、顔がパンパンに腫れていたことを真っ先に指摘。笑いを取りつつ、「この大事なときに親知らずを4本抜くという、ちょっと間抜けなところもありますが、雄星を見るたびに思います。私としては親心です。小さいころからの夢、メジャーリーグに挑戦します。心配なのは神経質なところだけです。そこだけ克服して、海の向こうで活躍する雄星をテレビで拝見して、心から応援したいと思います」とエールを贈った。

 場内の笑いも誘いながら、共に戦ってきた2人の背中をしっかりと押す。指揮官というより親のような一面ものぞかせた辻監督だったが、「この2人が抜けたことは大きなピンチかもわかりません。ことわざにあるように、ピンチはチャンス。ここで後ろに控えています若い選手たちに大きなチャンスが巡ってきます。今やらなければいつやるか。私は思います」と、別れを引きずることなく、気持ちはすでに前を向いている。

 さらに「今年一軍で活躍した選手すべてが、少しずつでも成長すれば2人の穴は埋められるはずです」とつづけ、「来シーズンはさらなる厳しい戦いになると思います。でも、我々は上を向いていくしかありません。いける。いけるんではなく、攻める。攻める気持ちをもって1年間、また来年も戦い抜きます。どうか、来シーズンもアツい声援を送っていただきたい、そう願います。ありがとうございました」と決意表明を締めくくると、最後まで残ったファンから大きな拍手が沸き起こった。

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