波紋を呼んだ『後悔させる』の表現
巨人を自由契約となり、DeNAに入団することが決まった中井大介選手(29)の入団会見が26日に行われた。
入団が決まったことについて「ホッとした」と笑顔を見せた男は、新天地での戦いに向けて「心機一転じゃないですけど、新しいユニフォームを着させていただくので、もう一回勝負していきたいなと。気持ちを新たに、新人のような気持ちじゃないですけど、また新しいところに飛び込んでいくという気持ちで頑張っていきたいなと思う」と意気込みを語っている。
ところが、その日の夜に更新された中井のInstagramには、気になる言葉が綴られていた。以下、原文ママ掲載。
「先ほどネットニュースで本日の会見の様子の記事を見ていたところ、一部のスポーツ紙の記事で僕の発言の一部分だけを抜粋し、誤解を招く、僕の真意とは違った意味合いで書かれている記事を目にしました。すごく残念というか悲しい気持ちになりました」
ニュースを見てみると、その多くで使われていたのが『戦力外を後悔させる』といった表現。これを見た中井は以下のように説明している。
「僕はジャイアンツに感謝の気持ちこそあっても、恨む気持ちなどは全くありません!!チャンスを沢山いただいたことも重々承知の上です。だからこそそのチャンスを活かせなかった、期待していただいた方々の想いに応えられず戦力外となった事が本当に悔しかったし、申し訳なかったです。(中略)僕の言葉のチョイスも悪かったかもしれませんが、あまりにも悪意というか方向性が違いすぎる内容に変わっていたので、どうしてもこの場を借りて僕の真意を伝えさせてほしかったので書かせていただきました」
「戦力外になったことを後悔させるじゃないですけど…」
26日の会見は弊サイトでも取材をさせてもらっていたので、今回は本人の訴えを受けて、改めてその会見での発言を聞き直してみた。問題になった『戦力外を後悔させる』という部分は、実際には以下のような言葉で語られている。
▼ (質問)巨人戦への想いについて
「ちょっと今の時点ではなんとも想像しにくいというか…すごく不思議な感じであるのは間違いないと思うんですけど、この世界に入るきっかけを与えてくれた球団ですし、11年間お世話になったということは自分にとっての財産というか、ありがたい時間であったのは間違いないので。そういう意味で、チームは変わるんですけど、DeNAさんでしっかり自分がチームに貢献して、活躍することがジャイアンツにとっても恩返しになっていくと思っているので。いい意味で見返すと言うか…なんといいますか、戦力外になったことを後悔させるじゃないですけど、本当にそういった意気込みでやりたいなと思っています」
文字に起こすとこのような形になるが、実際にはもっと言葉を慎重に選びながら、考えながら答えている様子が随所に見られ、本人が後に説明している通り『恨む気持ち』は微塵も感じられない文章だった。
とはいえ、記事にした時、特にタイトルとなると、発言のなかでも最も印象的な部分だけが切り取られてしまいがち。たとえ記事の中で詳細が触れられていても、タイトルだけ読んで誤解してしまうファンも少なからずいたことだろう。
ちなみに、他にも古巣・巨人関連のやり取りは多く挙がった。入団を一番に報告したのは?という質問には、「もちろん妻だったり、両親でもあるんですけど」とした後、「野球関係では、入団してからずっとお世話になってきた高橋由伸前監督にはお電話をさせていただきました」と明かし、「『来年やれるチャンスを頂いたんだから、しっかり頑張るように』と言葉をかけていただきました」というエピソードも披露。
巨人時代の同僚からも、戦力外になった直後には「まだやれると思うから頑張って」という前向きな言葉をかけてもらっていたと振り返り、「入団が決まってからは『おめでとう』という言葉をかけてくださいました。そういう意味でも、良い報告ができてよかったなと思います」と嬉しそうに語っていた。
この記事もどこまで届くのかはわからないが、まずは本人がSNS上でファンに向けたメッセージを送っていることが広がり、中井に対する“誤解”が解けることを祈りたい。そして来季、中井がDeNAのユニフォームを着て、巨人戦のグラウンドに立つ姿を楽しみに待ちたい。