「BB/9」の改善が課題か
昨シーズンの最下位から巻き返し、今シーズンは2位でフィニッシュしたヤクルト。このオフは比較的静かなストーブリーグを過ごしている。
気になる外国人選手の去就を見ても、デービッド・ブキャナンが残留。ウラディミール・バレンティンが残留濃厚となっており、軸となる選手はすでに揃っている。ここから獲得するにしても、超大物との契約とはならないだろう。
ここまで主だった補強といえばドラフト会議で指名した10名(育成含む)のみ。しかし、ここにきてソフトバンクを戦力外となっていた寺原隼人(35)の獲得を発表した。今シーズンの寺原は中継ぎとして21試合(26.1回)に登板し、4ホールド、防御率2.39と一定の成績は残している。
しかし、WHIP(1回あたりに何人の走者を出したかを表す指標)を見ると1.63と少し心もとない。その原因はBB/9(1試合当たりどれだけの四球を与えるかを示す指標)にある。今シーズンの寺原は26.1回で18与四球とBB/9は6.15。仮に完投したら6個から7個の四球を与える計算だ。これはリリーフであることを考えても少し多い。制球面がもう少し安定すれば、中継ぎ陣の一角として復活できる可能性もありそうだ。
ヤクルトでは、他球団で戦力外となった選手やトレードで移籍してきた、いわゆる「外様」と呼ばれる選手たちが結果を残しており、そういった土壌があることも心強い。特にパ・リーグからやってきた選手が多く、今年リリーフ陣の一角として素晴らしい活躍を見せた近藤一樹は、寺原と同学年でオリックス時代の同僚でもある。
▼ 今シーズンの成績
寺原隼人(ソフトバンク)
21試合 0勝0敗4H 防2.39
坂口や近藤ら外様のベテランが復活
近年、自由契約からヤクルトに入団し、結果を残した選手の筆頭格といえば、坂口智隆になるだろう。
2015年オフにオリックスを自由契約となった坂口は、3年連続で規定打席に到達。今シーズンは、青木宣親の加入もあって一塁にコンバートされたが、打率.317と2010年以来8年ぶりとなる3割超えをマークした。また、出塁率.406は自身初の4割超え。2位に躍進したチームになくてはならない存在として活躍した。
昨シーズンオフに西武を戦力外となり、ヤクルトへ移籍してきた田代将太郎も輝きを放った。外野の守備固めや代走といった役割を掴むと、キャリアハイとなる73試合に出場。打席数(36打席)は少ないものの、打率.323と打撃面でもアピールした。今シーズンは10安打を放ち、西武での6年間で積み上げた7安打を1年で更新したことになる。
投手陣ではトレードでの加入だが、近藤一樹が復活した。2016年途中に交換トレードでオリックスからやってきた近藤。移籍2年目となる2017年に中継ぎとして好投を見せると、今シーズンはセットアッパーとして、チーム最多の74試合に登板。42HP(7勝35H)で「最優秀中継ぎ」のタイトルも獲得した。17年目にして初のタイトルでもあり、移籍が大きな転機となった好例と言えるだろう。
今シーズン限りで戦力外となってしまったが、大松尚逸や鵜久森淳志といった選手たちも「ここぞ」の場面で力を発揮し、印象に残る一打を放った。
このようにヤクルトは移籍組が活躍しやすい土壌がある。寺原も先人の外様勢に続いて、ヤクルト再生工場で好結果を残せるか注目だ。