ヤクルトの新入団選手発表で記念写真に納まる(前列左から)坂本光士郎投手、清水昇投手、小川監督、中山翔太外野手、鈴木裕太投手、(後列左から)育成の内山太嗣捕手、久保拓真投手、市川悠太投手、浜田太貴外野手、吉田大成内野手、育成の松本友内野手=7日、東京都港区

◆ 小川監督「まずは環境に慣れること」

 「ヤクルトの新入団選手発表」が7日、東京・新橋のヤクルトホールで行われた。10人の新人選手たちがそれぞれステージに立ち、小川淳司監督にユニフォームを着せてもらうと、抽選で選ばれた500人のファンから温かい拍手と大きな歓声が起こった。

 小川監督は10人の新人選手に対して、「能力を評価されて入団したわけですから、自分の力を発揮するためにまず、環境に慣れることが一番」とエールを送り、まずはプロの水に慣れることが大事であることを強調。さらに「自分の力を出せるような状態になってから戦力として考えていったほうが、彼らのためにもいい」との見解を示した。

 それでも今回、新しくヤクルトの一員になった面々は大学・社会人を経由した選手が10人中7人を占めており、即戦力としての期待値は高い。

▼ 2018年度ヤクルトの新入団選手一覧
1位:清水 昇「17」(投/国学院大)右・左
2位:中山翔太「8」(外/法政大)右・右
3位:市川悠太「40」(投/明徳義塾高)右・右
4位:濱田太貴「51」(外/明豊高)右・右
5位:坂本光士郎「26」(投/新日鐵住金広畑)左・左
6位:鈴木裕太「56」(投/日本文理高)右・右
7位:久保拓眞「61」(投/九州共立大)左・左
8位:吉田大成「66」(内/明治安田生命)右・左

育成1位 内山太嗣「118」(栃木ゴールデンブレーブス)捕手 右・右
育成2位 松本 友「117」(福井ミラクルエレファンツ)内野手 右・左

◆ 清水と中山は将来の主軸として

 ドラフト1位の清水昇は、最速151キロのストレートと制球力の良さが光る即戦力右腕で、1年目からローテーションの一角に食い込むことが期待されている。その清水は、これまで現役最多の通算163勝を挙げている石川雅規を尊敬する選手に挙げており、「自分も長く野球をやりつつ、勝ち星を挙げられるような選手になりたい」と抱負を述べた。

 初めて多くのヤクルトファンの前に登場した背番号17は、「試合になったときに、たくさんの拍手であったり歓声であったり、雰囲気が出てくると思うので…早く球場で感じたい」とコメント。一つひとつ丁寧に言葉を選びながら、一軍でのプレーに思いを馳せていた。

 また、メジャーリーグを代表するヤンキースの強打者で、規格外のパワーを誇るスタントンが「憧れ」と話す“なかやまきんに君”こと、ドラフト2位の中山翔太は、ステージ上で自慢の上腕二頭筋をファンに披露し、歓声を浴びていた。

 山田哲人と同じ履正社高校の出身でもある中山は、一軍の舞台では高校の先輩との“共闘”も夢見ている――。さらに、中山に与えられた背番号は大杉勝男や広沢克己ら右の強打者が付けてきた「8番」。将来のクリーンアップ候補として大きな期待を寄せられていることがうかがえる。

◆ 8位指名の吉田の目標は同じ遊撃の…

 下位指名ながら注目を集めているのが、ドラフト8位で入団した吉田大成だ。吉田が目標として掲げているのは、現役時代に自身と同じ遊撃を守った宮本慎也ヘッドコーチ。真新しい背番号66のユニフォームを触り、「早く(6を)1つ減らせるようにしたい」と意気込む。

 ヤクルトでは5年目の西浦直亨が今季138試合に出場して遊撃のレギュラーを掴んだが、春のキャンプからまだまだ激しい争いが続く予感も。イケメンぶりでも話題になった吉田が一軍の舞台で遊撃のレギュラー争いに加われば、その人気に拍車がかかりそうだ。

 来春2月のキャンプではいったい何人の新人選手が一軍キャンプに参加するのか?! 小川監督は「1月の状態を見て決める」と語ったように、年明けから始まる新人合同自主トレが一つのアピールの場となることは間違いない。

 「自分というものを出せるように、その中で一軍の戦力になってくれれば」と力を込めた指揮官。来季、神宮の舞台で多くの新人選手たちが自らの力を発揮してくれることを期待したい。

取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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