チーム1位の57試合登板、防御率2.17
オリックスから自由契約となっていた金子千尋、“台湾の大王”との異名を持つ王柏融(ワン・ボーロン)の獲得を発表した日本ハム。今オフは的確な補強を施し、ストーブリーグを盛り上げている。
2018年シーズンは、74勝66敗3分けのリーグ3位。一時は優勝争いに絡んだだけに悔しさも残ったが、二刀流・大谷翔平、クローザー・増井浩俊、セットアッパーのクリス・マーティン、正捕手・大野奨太らが抜けた中で、改めて“育成力の日ハム”を知らしめたシーズンだった。
特に大谷、増井、マーティンが抜けた投手陣は、チーム防御率リーグ2位の3.77と健闘。シーズン11勝の上沢直之はエースへの階段を駆け上がり、石川直也はクローザーとしての礎を築いた。そして、チームトップの57試合(54回)に登板したのが、中継ぎ左腕の公文克彦である。
万能型の救援左腕、奪三振率が高く右打者も苦にしない
16年のシーズン終了後、吉川光夫、石川慎吾との交換トレードで、大田泰示とともに巨人から移った公文。巨人時代は4シーズンで計15試合の一軍登板にとどまっていたが、日本ハム加入後は1年目だけで41試合に登板し、3勝0敗3ホールド、防御率2.70を記録した。
移籍2年目の今季はさらに飛躍。57試合登板で2勝0敗11ホールド、防御率2.17の好成績をマークし、今オフの契約更改では大幅アップを勝ち取った。
もはやチームに欠かせなくなった公文。球界を見渡しても貴重な存在だ。今季のパ・リーグで公文を上回る登板数を記録した救援左腕は、楽天の高梨雄平(70試合・48回・防御率2.44)、ソフトバンクの嘉弥真新也(67試合・33回・防御率2.45)、ロッテの松永昂大(60試合・40回・防御率3.15)、西武の野田昇吾(58試合・41回・防御率3.51)の4投手。ただし、イニング数では公文の54イニングが最も多く、2.17という防御率も光る。
上記の投手たちは左打者に対するワンポイント登板も多いが、今季の公文は左右まんべんなく対戦。左打者に対しては、110打数29安打で被打率.264とまずまず。一方、右打者は99打数22安打で、被打率.222をマークしている。特徴的なのはインステップ気味の投球フォーム。右打者視点で見れば食い込んでくるボールが厄介であり、嫌がる打者も多い。
さらに、奪三振率が8.67と高く、四球との割合を示し、3.5を超えれば優秀とされるK/BBという指標では3.71を記録している。チームには師匠的な存在でもある宮西尚生(55試合・45回・防御率1.80)がいるため影に隠れがちだが、公文も宮西のように、貴重な救援左腕として存在価値を高めている。
まだ26歳と若く、さらなる成長も期待できる公文克彦。いずれは侍ジャパンの一員として、国際舞台で腕を振る姿が見られるかもしれない。