故郷・仙台で再出発
ヤクルトを自由契約となった由規が楽天へと入団した。
仙台育英高出身の由規にとって、仙台は地元でもある。原点に帰っての復活に期待したいところ。支配下契約ではなく、育成契約ではあるが、楽天の石井一久GMも「後半戦で戦力になってくれれば」と語っているように、焦らずに復帰までの道のりをたどることができそうだ。
由規のように、戦力外から育成契約でチャンスをもらうという選手は数多くいる。しかし、そのほとんどが所属していた球団との再契約というパターンで、移籍先で育成契約となるケースはやや珍しい。
過去には実績豊富な選手たちも…
実績のある選手では、戦力外となった経緯は違えど、2006年オフの中村紀洋の例がある。
当時オリックスに所属していた中村は、数回に渡る交渉を行ったが契約合意には至らず、結果的に自由契約となった。
各球団がキャンプインを迎える2月1日になっても所属先は決まらなかったが、落合博満監督率いる中日がキャンプにおいてテストを開催。そこで育成選手として契約を果たすと、キャンプからオープン戦にかけてアピールを続けた中村は開幕前に支配下登録を勝ち取る。
すると、その好調ぶりはペナントレースでも発揮され、日本シリーズでも大活躍。自由契約からの育成契約というところから見事に這い上がった。
同じ中日では、多村仁志も2015年オフに育成契約を結んでいる。
DeNAを戦力外となった多村は、12球団合同トライアウトを経て中日へ入団。しかし、支配下登録を掴むことはできず、その年のオフに現役を引退。そのままユニフォームを脱いだ。
移籍先でコーチに
2014年オフに中日を戦力外になった堂上剛裕も、戦力外からの移籍で育成契約を結んだ選手だ。
育成選手として巨人に入団すると、春季キャンプ中に支配下登録。勝負強い打撃を武器に、2015年・2016年と左の代打要員として一軍でも活躍した。
引退後は球団に残り、スカウトとしての活動を経て、来季からはファームの打撃コーチとして後進の育成に携わる。中村紀洋のような華々しい活躍はなかったかもしれないが、移籍が大きなプラスとなった例と言えるだろう。
これから先、由規にどのような未来が待ち受けているかは誰にもわからない。高校時代までを過ごした仙台という地元に戻り、リスタートする由規の行方を見守りたい。