話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、11日に契約更改を行った巨人の主将・坂本勇人選手のエピソードを取り上げる。
「自分が思っていたより、最大限のいい評価をしていただいた。3割3分以上は常に目標として打ちたいと思いますし、本塁打も25本ぐらいは打ちたい」
11日に、契約更改交渉を行い、1億5,000万円アップの年俸5億円でサインした坂本。巨人の高卒野手で、年俸が5億円に乗ったのは2001年の松井秀喜以来のことで、同時に、年俸変動制の複数年契約も結びました。
これは、球団がチームリーダーとして坂本を最大限評価していることの表れであり、この日、入団発表を行った丸よりも年俸を上にすることで(丸の初年度年俸は4億5,000万円)、チーム内のバランスを取る意味もありました。坂本は更改後の会見で、丸に関してもコメント。
「刺激を受ける数少ない年下の選手。2人でしっかり野手を引っ張って行けるように、いい関係性でいられたらと思います」
と、ライバル関係を維持しながら、共にチームを引っ張って行く決意を示しました。
今季の坂本は、7月に左脇腹痛で戦列を離れ、出場は109試合に止まりましたが、自己最高の打率.345をマーク。守備の負担が大きいショートで、これだけのハイアベレージを記録したのは驚異的なことです。
プロ10年目の2016年、打率.344で初の首位打者に輝きましたが、全試合ショートに専念しての首位打者は、セ・リーグでは初の快挙でした。今季はこのときの打率を1厘上回っており、タイトルは.348のビシエド(中日)に奪われましたが、例年なら2度目の首位打者に輝いていてもおかしくない数字です。
首位打者を獲るまでの坂本は、打率.270前後で終わることが多く、規定打席に達して3割を打ったのは、9年間で2回だけでした。それがここ3年間で、打率3割4分台を2度も記録するほど打撃が開眼した理由は何だったのでしょうか?
1つのきっかけは、2015年のオフに行われた国際大会「プレミア12」に、侍ジャパンのメンバーとして出場したことです。
「各チームを代表するスラッガーたちとせっかく一緒にいられるんだから、何か吸収して帰らないと」と、坂本は年下の筒香嘉智(DeNA)、山田哲人(ヤクルト)、中田翔(日本ハム)らに積極的に話し掛け、バッティングについて極意を聞いたのです。
年下に教えを請うというものは、坂本ほどの一流プレーヤーになると、なかなかできないこと。このとき目からウロコが落ちたのは、山田から聞いたこの言葉でした。
「月間30安打を、6カ月積み上げれば3割になるんですよ」
数字が積み上がって行くホームラン・打点と違って、打率は上下する数字です。「ここで打たないと、また3割を切ってしまう」とつい気にしがちですが、「3割に必要な安打数を毎月打っていく」と考えれば、打率も積み上げ式で目標を達成できる……このシンプルな考えにたどり着いたことで、力みが消えたと言います。
もう1つのきっかけが、2016年の春季キャンプで臨時コーチを務めた松井秀喜氏に、直接指導を受けたことです。それまで坂本は、左足を大きく上げるフォームで打っていましたが、松井氏のアドバイスを受け、足の上げ幅を小さくし、低重心の構えに変えたのです。
体重を乗せ、軸回転で振り抜く打撃フォームをマスターすると、体勢を崩される場面が減り、打率は上昇カーブを描いて行きました。
こういった「少しでも上のレベルに行きたい」という飽くなき探究心が、坂本を首位打者に導いたのです。
来季は、阿部慎之助から主将の座を受け継いで5年目になる坂本。4年間リーグ優勝から遠ざかり、敬愛する高橋由伸前監督が辞任したことに、誰より責任を感じています。
「チームが3位という結果だったので、そこは悔しいのひと言。(来季は)優勝して喜びたい」
14日に30歳の誕生日を迎える坂本。プロ13年目の来季は、どうやって若手たちを引っ張り、バッティングでもどんな進化を見せてくれるのか、注目です。
「自分が思っていたより、最大限のいい評価をしていただいた。3割3分以上は常に目標として打ちたいと思いますし、本塁打も25本ぐらいは打ちたい」
11日に、契約更改交渉を行い、1億5,000万円アップの年俸5億円でサインした坂本。巨人の高卒野手で、年俸が5億円に乗ったのは2001年の松井秀喜以来のことで、同時に、年俸変動制の複数年契約も結びました。
これは、球団がチームリーダーとして坂本を最大限評価していることの表れであり、この日、入団発表を行った丸よりも年俸を上にすることで(丸の初年度年俸は4億5,000万円)、チーム内のバランスを取る意味もありました。坂本は更改後の会見で、丸に関してもコメント。
「刺激を受ける数少ない年下の選手。2人でしっかり野手を引っ張って行けるように、いい関係性でいられたらと思います」
と、ライバル関係を維持しながら、共にチームを引っ張って行く決意を示しました。
今季の坂本は、7月に左脇腹痛で戦列を離れ、出場は109試合に止まりましたが、自己最高の打率.345をマーク。守備の負担が大きいショートで、これだけのハイアベレージを記録したのは驚異的なことです。
プロ10年目の2016年、打率.344で初の首位打者に輝きましたが、全試合ショートに専念しての首位打者は、セ・リーグでは初の快挙でした。今季はこのときの打率を1厘上回っており、タイトルは.348のビシエド(中日)に奪われましたが、例年なら2度目の首位打者に輝いていてもおかしくない数字です。
首位打者を獲るまでの坂本は、打率.270前後で終わることが多く、規定打席に達して3割を打ったのは、9年間で2回だけでした。それがここ3年間で、打率3割4分台を2度も記録するほど打撃が開眼した理由は何だったのでしょうか?
1つのきっかけは、2015年のオフに行われた国際大会「プレミア12」に、侍ジャパンのメンバーとして出場したことです。
「各チームを代表するスラッガーたちとせっかく一緒にいられるんだから、何か吸収して帰らないと」と、坂本は年下の筒香嘉智(DeNA)、山田哲人(ヤクルト)、中田翔(日本ハム)らに積極的に話し掛け、バッティングについて極意を聞いたのです。
年下に教えを請うというものは、坂本ほどの一流プレーヤーになると、なかなかできないこと。このとき目からウロコが落ちたのは、山田から聞いたこの言葉でした。
「月間30安打を、6カ月積み上げれば3割になるんですよ」
数字が積み上がって行くホームラン・打点と違って、打率は上下する数字です。「ここで打たないと、また3割を切ってしまう」とつい気にしがちですが、「3割に必要な安打数を毎月打っていく」と考えれば、打率も積み上げ式で目標を達成できる……このシンプルな考えにたどり着いたことで、力みが消えたと言います。
もう1つのきっかけが、2016年の春季キャンプで臨時コーチを務めた松井秀喜氏に、直接指導を受けたことです。それまで坂本は、左足を大きく上げるフォームで打っていましたが、松井氏のアドバイスを受け、足の上げ幅を小さくし、低重心の構えに変えたのです。
体重を乗せ、軸回転で振り抜く打撃フォームをマスターすると、体勢を崩される場面が減り、打率は上昇カーブを描いて行きました。
こういった「少しでも上のレベルに行きたい」という飽くなき探究心が、坂本を首位打者に導いたのです。
来季は、阿部慎之助から主将の座を受け継いで5年目になる坂本。4年間リーグ優勝から遠ざかり、敬愛する高橋由伸前監督が辞任したことに、誰より責任を感じています。
「チームが3位という結果だったので、そこは悔しいのひと言。(来季は)優勝して喜びたい」
14日に30歳の誕生日を迎える坂本。プロ13年目の来季は、どうやって若手たちを引っ張り、バッティングでもどんな進化を見せてくれるのか、注目です。