◆ リーグ4位の86四球、投手にとって厄介な存在
62勝79敗2分けと大きく負け越し、2018年シーズンを最下位で終えた阪神。16年からチームを率いた金本知憲監督はシーズン終了後に辞任し、来シーズンは矢野燿大新監督が指揮を執る。
17年ぶりの最下位に沈んだ今季。誤算を挙げればキリがないが、明るい材料もあった。そのひとつが、チームで唯一、全143試合に出場した糸原健斗だ。ルーキーイヤーの昨年は、遊撃のレギュラーをつかみかけた7月に右膝の内側靱帯損傷で長期離脱。クライマックスシリーズで戦列に復帰したものの、レギュラーシーズンは66試合の出場にとどまった。
2年目の今季は「7番・遊撃」で初の開幕スタメン入り。上本博紀の離脱後は、主に「1番・二塁」として打線を引っ張った。初めて規定打席をクリアし、打率.286、1本塁打、35打点を記録。出塁率.390は糸井嘉男の.420に次ぐチーム2位の数字で、86四球はリーグで4番目に多かった。
また、投球に対するコンタクト率(スイング数のうち、ファウルを含むバットに当たった割合)90.4%は、リーグで2番目に高い数字。さらに、ボールゾーンスイング率17.6%は丸佳浩(広島)の17.8%よりも優れ、リーグトップの成績だった。要は「ボール球に手を出しにくく、手を出しても高確率でバットに当てる」。糸原は投手にとって非常に厄介な打者というわけだ。
◆ 26歳の若さで新主将に「率先して声を出したい」
今季の活躍が認められ、新キャプテンに任命された。まだ26歳という若さだが、「手本となるベテランの方も多いので、しっかりコミュニケーションを取りながらやっていきたいと思いますし、キャプテンとして自分の取り組む姿勢だったり、率先して声を出したりすることで、チームを引っ張り、盛り上げていきたいと思います。ファンの皆様、一緒に優勝しましょう!」と意気込む。
ただ、秋季キャンプでは再び遊撃での守備練習を行うなど、ポジションが確約されているわけではない。二塁を争う上本はFA権を行使せず残留し、正遊撃手を狙う北條史也は左肩亜脱臼からの復活を期す。さらに、ベテランの鳥谷敬は再び遊撃で勝負することを宣言。社会人・ホンダから加入したドラフト3位の木浪聖也や植田海らもおり、レベルの高い競争に期待したいところ。
今オフは補強も積極的に行い、最下位からの巻き返しを図る阪神。矢野新監督とともに、ニューリーダー・糸原健斗がどんな風にチームを変えてくれるのか、今からキャンプインが待ち遠しい。
●データ提供:データスタジアム