菊池がマリナーズ入団会見  米大リーグ、マリナーズと契約し、入団記者会見に臨んだ菊池雄星投手(左から3人目)=3日、シアトル(共同)

◆ インパクトを残した入団会見

 2018年オフ、ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を表明していた西武のエース・菊池雄星。動向に注目が集まりながらも新天地の決定に少し時間を要したが、年が明けてすぐの1月3日、球団からシアトル・マリナーズと正式に契約を結んだことが発表された。

 なかでも話題を集めたのが、日本時間4日にシアトルで行われた入団会見。背番号18の新しいユニフォームに袖を通した菊池は、質疑応答のほとんどを英語で行ったのだ。

 いわゆる“つかみ”として、「マイネームイズ…」と冒頭のあいさつの部分を英語で行うというのはよくある光景であるが、菊池は通訳のサポートを受けながらも可能な限り英語で質問に答え続けた。その英語力は現地の記者を驚かせ、会見でのやり取りは好意的に報じられている。

◆ 英語会見のキッカケは「本田圭佑」?

 日本に戻った菊池は、7日に古巣・西武の球団事務所を訪れて最後の挨拶を行った。そこでも入団会見での英語が話題に挙がり、本人は「まだまだ細かい話ができるようなレベルではないので」と謙遜したものの、英語での受け答えにこだわった理由を以下のように語っている。

 「もともと読書や映画は好きなんですけど、和訳を見て腑に落ちないということがあって。昔からそういう思いがあったので、英語でコミュニケーションを取れたらいいんだろうなと感じることがあった」

 野球に限らず、スポーツ選手の海外挑戦の際に必ず立ちはだかるのが言葉の壁。どんなに優秀な通訳がいても、互いの想いを100%伝えることは難しい。翻訳する時に生じるわずかなズレをなくすため、自分が思っていること、言いたいことをそのまま伝えるため、自分で英語をしゃべるという選択肢を選んだ。

 また、英語で会見をしようと思ったキッカケについては、「本田圭佑さんだったり、ほかの競技のアスリートが英語で会見しているのを見てカッコいいなと思って」とのこと。日本を飛び出して活躍を見せる様々なアスリートに刺激を受けてのことで、今オフのメジャー挑戦が決まる前から温めていた構想だったことを明かしている。

 「目の前に世界のトップ選手がいるなかでプレーできるので、そういう選手から多くのものを吸収したい。野球に限らずですけど、生活面や考え方、取り組み方を含めて吸収できれば、僕自身の野球にもつながるかなと」

 自身のさらなる成長、レベルアップを求めての挑戦。そのためには野球の練習だけでなく“勉強”というのも重要な要素であり、今回の入団会見はそうした準備の賜物だった。

 ちなみに、カリブ系の選手も多いメジャーリーグではスペイン語を話す選手も多いが、「そこは順番があると思うので(笑)そんなに簡単にひとつの言語を覚えられないと思うので、まずはしっかりと英語を」としている。

 高校時代から夢見ていたアメリカ・メジャーリーグという舞台は、菊池雄星をどこまで成長させてくれるのか。新たな一歩を踏み出す左腕の挑戦に期待がふくらむ。

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