◆ ルーキーたちの挑戦が始まる
2019年も2週目に入り、各球団の入寮と共に新人合同自主トレが各地でスタート。ここでのアピール如何によって、2月1日からスタートするキャンプでの立ち位置が変わる選手もいるだろう。
まずは「開幕一軍」「一軍デビュー」といったところが“最初の目標”になってくる。特にドラフトの上位選手たちは、プロ1年目の目標に「新人王」を掲げる選手も多く、そのためには「一軍定着」が必要不可欠となる。
平成最後の新人王は楽天・田中、DeNA・東が受賞したが、今年の新人王は“新元号”最初の受賞者は誰になるのか!?ちなみに、平成最初の新人王は、笘篠賢治(ヤクルト)と酒井勉(オリックス)の2人。新たな時代を担う新人たちの活躍に期待を寄せつつ、ここでは平成30年間で新人王を輩出した球団を、ランキング形式でみていきたい。
◆ 7選手(巨人)
▼ 読売ジャイアンツ
8年:仁志敏久<内>114試(率.270 本7 点24 盗17)
11年:上原浩治<投> 25試(20勝 4敗 防2.09)
15年:木佐貫洋<投> 25試(10勝 7敗 防3.34)
20年:山口鉄也<投> 67試(11勝 2敗2S 防2.32)☆
21年:松本哲也<外>129試(率.293 本0 点15 盗16)☆
22年:長野久義<外>128試(率.288 本19 点52 盗12)
23年:沢村拓一<投> 29試(11勝11敗 防2.03)
最も多くの新人王を輩出者したのは巨人の7選手。平成8年に仁志敏久が新人王に輝くと、平成11年には上原浩治がルーキーながら20勝(最多勝)を挙げ、防御率2.09(最優秀防御率)を記録した。その他、広島への加入が決まった長野など、平成20年からは4年連続で新人王の受賞者を出した。
大卒・社会人の即戦力が期待通りの結果を残した一方で、“育成”出身の山口鉄也と松本哲也が20年と21年に受賞。両選手は、育成から飛躍した選手の第一人者となった。ちなみに、20年には入団2年目の坂本もブレイクを果たしたが、圧巻の成績を残した山口には及ばなかった。
◆ 6選手(日本ハム、ヤクルト)
▼ 北海道日本ハムファイターズ
8年:金子 誠<内>117試(率.261 本4 点33 盗15)
14年:正田 樹<投> 23試( 9勝11敗 防3.45)☆
18年:八木智哉<投> 26試(12勝 8敗 防2.48)
22年:榊原 諒<投> 39試(10勝 1敗 防2.63)☆
27年:有原航平<投> 18試( 8勝 6敗 防4.79)
28年:高梨裕稔<投> 37試(10勝 2敗 防2.38)☆
▼ 東京ヤクルトスワローズ
元年:笘篠賢治<内>120試(率.263 本5 点27 盗32)
5年:伊藤智仁<投> 14試( 7勝 2敗 防0.91)
14年:石川雅規<投> 29試(12勝 9敗 防3.33)
16年:川島 亮<投> 23試(10勝 4敗 防3.17)
17年:青木宣親<外>144試(率.344 本3 点28 盗29)☆
25年:小川泰弘<投> 26試(16勝 4敗 防2.93)
6選手を輩出したのが、日本ハムとヤクルトの2球団。日本ハムは6選手中3選手がデビューイヤーではない年に受賞しているが、その後は苦しんでいる選手が多い印象か。直近では、入団3年目の28年に二桁勝利を挙げた高梨裕稔が伸び悩み、今オフにはトレードによるヤクルト移籍が発表された。新シーズンは、元パ・リーグ組が活躍している新天地での飛躍が期待される。
平成最初の新人王を輩出したヤクルトは、17年に青木が最多安打(202安打)と首位打者のタイトルを獲得。25年の小川は、同期入団で13勝を挙げた巨人の菅野智之を上回る16勝を挙げて最多勝を獲得する文句なしの活躍だった。
◆ 5選手(西武、オリックス、広島、阪神)
▼ 埼玉西武ライオンズ
5年:杉山賢人<投> 54試( 7勝 2敗 5S 防2.80)
10年:小関竜也<外>104試(率.283 本3 点24 盗15)☆
11年:松坂大輔<投> 25試(16勝 5敗 防2.60)
23年:牧田和久<投> 55試( 5勝 7敗22S 防2.61)
29年:源田壮亮<内>143試(率.270 本3 点57 盗37)
▼ オリックス・バファローズ
元年:酒井 勉 <投>36試( 9勝7敗 9S 防3.61)
3年:長谷川滋利<投>28試(12勝9敗 1S 防3.55)
7年:平井正史 <投>53試(15勝5敗27S 防2.32)☆
13年:大久保勝信<投>53試( 7勝5敗14S 防2.68)
20年:小松 聖 <投>36試(15勝3敗 防2.51)☆
▼ 広島東洋カープ
7年:山内泰幸 <投> 34試(14勝10敗 防3.03)
9年:沢崎俊和 <投> 38試(12勝 8敗 防3.74)
18年:梵 英心 <内>123試(率.289 本8 点36 盗13)
24年:野村祐輔 <投> 27試( 9勝11敗 防1.98)
26年:大瀬良大地<投> 26試(10勝 8敗 防4.05)
▼ 阪神タイガース
4年:久慈照嘉<内>121試(率.245 本0 点21 盗4)
6年:藪 恵市<投> 26試( 9勝 9敗 防3.18)
13年:赤星憲広<外>128試(率.292 本1 点23 盗39)
19年:上園啓史<投> 17試( 8勝 5敗 防2.42)
28年:高山 俊<外>134試(率.275 本8 点65 盗5)
西武、オリックス、広島、阪神の4球団は5選手を輩出。西武の小関竜也は規定ギリギリの4年目に受賞し、翌年の松坂大輔は高卒1年目に最多勝と共に新人王のタイトルを手にした。その後は牧田和久や源田壮亮など、ドラ1ではない社会人組が受賞している。
オリックスは、ブレーブス・ブルーウェーブ時代に4選手が受賞。近年は即戦力で獲得した選手たちが活躍している印象もあるが、意外にも!?バファローズとなってからは小松聖だけ。リーグ3連覇中の広島は、野村祐輔と大瀬良大地の大卒ドラ1右腕が受賞。阪神は赤星憲広が39盗塁で盗塁王のタイトルを獲得した
◆ 4選手(ソフトバンク、ロッテ、中日)
▼ 福岡(ダイエー)ソフトバンク・ホークス
6年:渡辺秀一<投>31試( 8勝 4敗 防3.20)
15年:和田 毅<投>26試(14勝 5敗 防3.38)
16年:三瀬幸司<投>55試( 4勝 3敗28S 防3.06)
21年:摂津 正<投>70試( 5勝 2敗34H 防1.47)
▼ ロッテ
9年:小坂 誠<内>135試(率.261 本1 点30 盗56)
17年:久保康友<投> 19試(10勝 3敗 防3.40)
24年:益田直也<投> 72試( 2勝 2敗41H1S 防1.67)
26年:石川 歩<投> 25試(10勝 8敗 防3.43)
▼ 中 日
2年:与田 剛<投> 50試( 4勝 5敗 31S 防3.26)
3年:森田幸一<投> 50試(10勝 3敗 17S 防3.03)
10年:川上憲伸<投> 26試(14勝 6敗 防2.57)
29年:京田陽太<内>141試(率.264 本4 点36 盗23)
今や常勝軍団となったソフトバンクは、先を見据えたドラフト戦略を組んでいることも影響しているのか、特に近年は新人王を輩出していない。昨季限りでの引退が発表された摂津が、最後に新人王に輝いた選手になる。その摂津は、34ホールドで最優秀中継ぎ投手となり、その後は先発としても活躍。デビューイヤーに最優秀救援投手となった三瀬幸司も摂津も、社会人を経てリリーフで結果を残してきた。
大卒ながら摂津同様、デビューイヤーに中継ぎの一角として活躍したロッテの益田は、後にクローザーも経験。大卒・社会人からチャンスを与えられやすい中継ぎで結果を残して“勝利の方程式”に定着という流れは、先発の2桁勝利同様、新人王を獲得する1つの形となっている。中日は、平成最初のドラフトで指名を受けた与田剛が最多セーブを挙げて新人王に。新年号となる今季からは、新人監督としてのデビューイヤーに臨む。
◆ 3選手(DeNA、楽天)
▼ 横浜DeNAベイスターズ
12年:金城龍彦<内>110試(率.346 本3 点36 盗8)☆
27年:山崎康晃<投> 58試( 2勝 4敗 37S 防1.92)
30年:東 克樹<投> 24試(11勝 5敗 防2.45)
▼ 東北楽天ゴールデンイーグルス
19年:田中将大<投> 28試(11勝 7敗 防3.82)
25年:則本昂大<投> 27試(15勝 8敗 防3.34)
30年:田中和基<外>105試(率.265 本18 点45 盗21)☆
平成16年オフに球団創設した楽天は、平成19年に田中将大が、当時西武の岸孝之との争いを制し球団初となる新人王を獲得。その後、初優勝を遂げた平成25年に則本昂大、平成最後の年となった30年に田中和基が新人王に輝いている。
DeNAは、近年のドラ1が好結果を残しており、今や替えの利かない守護神として君臨する山崎康晃に続き、リーグ2位の防御率を記録した東克樹が、楽天・田中と共に平成最後の新人王に。ちなみに金城龍彦は投手として入団後に打者へ転向し、入団2年目に打率.346という圧巻の数字を記録して首位打者に輝いた。
◆ 2選手(近鉄)
▼ 近鉄バファローズ
平成2年:野茂英雄<投> 29試(18勝 8敗 防2.91)
平成4年:高村 祐<投> 28試(13勝 9敗 防3.15)
平成16年まで存続していた近鉄は2選手にとどまったが、何といっても野茂英雄が圧巻。新人ながら最多勝利・最優秀防御率・最多奪三振・最高勝率の投手四冠を達成し、新人王だけでなく沢村賞やリーグMVPも受賞するなど、あらゆるタイトルを総なめにする桁外れの成績を残した。