ニュース

巨人・内海の西武行き…外れた思惑と人的補償【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

無断転載禁止
西武・内海哲也 (C) KYODO NEWS IMAGES

人的補償で内海が西武へ


 ジャイアンツの内海投手が西武ライオンズに行きました。その舞台裏などをちょっとお話したいと思います。

 人間の補償とお金の補償と、FAの選手をとる時には2つあるんですが、炭谷選手はBランクの選手だったんですね。Aランク、Bランク、Cランクと、もらっていた年俸の額によって異なりますが、炭谷選手はBランクだったので、Bランクの選手を獲るには、獲得したチームが当該選手の「年俸の6割」か、「年俸の4割+選手」を渡すという条件がある。

 そのどちらを選ぶかは、西武ライオンズ、つまり貰うほうが選ぶ。で、この選手だったら出せますよっていう名簿をジャイアンツはライオンズに出したわけです。28人の選手をプロテクト、防御できるんですが、菅野とかを出すわけにはいかない。で、28人の選手は、この選手たちだけは持っていかないでくれという風にプロテクトして、「選ぶならリストにない選手から。プラスで炭谷選手の年俸の40%を払います」ということで西武に名簿を出し、その中から誰かを選ぶのかと、ジャイアンツは固唾を飲んでいたわけです。

 名簿というのは28人をプロテクトした結果なので、他の選手は獲られても仕方がないって意味もある。これは絶対、外に漏らしてはいけない。誰が漏らしてもいけないという決まりがある。したがって、誰がそこに入っていないかっていうのは一生出てこないはずなんですが、人間ですから、ちょろちょろ出てまいります。

 今度の場合は、内海が交換要員として西武へ行くというのが所沢ではなく、ハワイから入ってきた。ホノルルから。なぜホノルルから情報が入るのかと思ったら、その時、西武ライオンズが優勝旅行で、辻監督らがホノルルに行っていたんですね。名簿が所沢からホノルルにいる西武のフロントに行く。で、向こうでは日夜選んでいたんでしょうね。誰がいいかと。


巨人のトラウマと外れた思惑


 結局、内海になったわけですが、ジャイアンツも本当のこと言うと、内海投手が選ばれるというのは、思ってなかったと思うんです。今までの例で言うと、これから伸びしろがある若い選手を持っていくことが多いので。内海はベテランなので、持っていくわけがないと思っていた。ジャイアンツの方もショックだったみたいですね。内海という男はチームの中でも人望があって、チームのために働く男なので、余計にショックでした。

 しかし、西武ライオンズとしては、去年、榎田という32歳になったサウスポーのピッチャーを獲りました。これは、内海ほど実績のないピッチャー。ただ、内海よりちょっと若いという年齢的なプラスアルファはあるんですが、その榎田が23試合に登板して、11勝4敗で、防御率3.32。132回2/3を投げ、見事に西武ライオンズの優勝に大きく貢献したわけです。

 ですから、この榎田の姿をダブらせて、その榎田よりコントロールが良くて、スライダーも良い内海であれば通用するという部分もあったと思います。わからないものですね、誰が獲られるかは……。

 今までジャイアンツは、人的補償により、日本ハムに川辺忠義を、中日に平松一宏と小田幸平をとられ、西武に江藤智を、横浜に工藤公康を、さらに村田修一の代わりとして藤井秀悟を、広島には大竹寛の代わりとしてピッチャーの一岡竜司。これが、ジャイアンツには相当こたえたらしいんですね。一岡が良く働いている、またあれをとられたらたまらないというのがある。「内海ぐらいのベテランは獲らないだろう。万が一、獲られても…」というのがあったと思うんです。

 その他、西武には片岡治大の代わりに脇谷亮太を、ヤクルトには相川亮二の代わりに、将来性のある奥村展征という内野手を獲られた。それからDeNAの山口俊の代わりに平良拳太郎、野上亮磨の代わりに高木隼人。高木はもっとやって良いと思うんですが、去年はダメでしたね。という風に、主力から外れた選手を名簿に入れるんですが、なにせ今回の内海は非常にショックだったようです。


内海への期待と今後


 西武ライオンズとしては、榎田が働いたという実績。左ピッチャーのスライダーが通用するというのを一年間見たわけです。それから、菊池雄星という左ピッチャーが抜けます。そういったことを考えると、内海は先発ができるピッチャーです。完投を望まなければ、5~6回はまずまず安全にいけるピッチャーなので、戦力としては大きい。

 今シーズンの内海は5勝5敗。前半はかなり良いピッチングをしたんですが、6回ぐらいになるとへばってくる。しかし、そのあたりを上手く使えれば、まだまだ使い勝手が良いピッチャーだと思うんです。年俸も1億円で更改した後の移籍ですから、西武もそれだけ払えば良い。

 内海が行ってしまったことで、選手が「ショックだショックだ」と言っていますけど、ジャイアンツは内海に大きな借りを作ってしまった。人事異動ですから、本当は貸し借りなんて関係ないんですが、日本流に言うと、まさか西武に行くと思わなかった内海に「行ってくれ」ということで、内海に対して、大きな借りを作ってしまったわけです。

 ですから、ジャイアンツは今後、内海を大事にすると思うんです。で、内海も巨人軍をこよなく愛している。巨人に指名されなかったら浪人すると言って、東京ガスにいたわけですから。そのくらい内海も巨人を愛していて、相思相愛の仲なので、とにかくこの1年で離れるとはいえ、内海はジャイアンツを忘れないし、ジャイアンツも内海に悪いことしたなというのがあると思う。なので、内海が選手生活を終えてユニフォームを脱いだ場合は、絶対ジャイアンツからコーチ、あるいはそれ以外のフロントの仕事とか。つまり、ジャイアンツとこれから、まだまだ強い縁を持っていくと思います。この辺りは日本人的な考えなんですが、こういうところが面白いところなので、これからどうなるのか。

 ところで内海ですが、浅村栄斗がいなくなっちゃったんですよね。浅村の175安打、32ホーマー、127打点、打率.310。これがいなくなっちゃったチームで投げないといけないので、内海にとってはマイナス要素ですし、試練も色々あると思うんですけど、ジャイアンツで頭打ちだっただけに、新しい自分を見つけるには西武ライオンズは良いチームなのかもしれませんね。

※12月22日に収録したものを再構成したものになります。

(ニッポン放送ショウアップナイター)
ツイート シェア 送る

もっと読む

  • ショウアップナイター
  • ベースボールキング
アナログ   やぎメール   FM