日本ハム・清宮幸太郎(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 「世界の王」の1年目に並んだ清宮

 年が明け、徐々に球春到来も近づいてきたプロ野球界。最近の話題と言えば、昨年秋のドラフトで指名を受けた各球団の新人選手たちによる合同自主トレなどが主となっている。

 ちょうど1年前、最も注目を集めていたルーキーといえば、日本ハムにドラフト1位で入団した清宮幸太郎だった。高校通算本塁打は111本。まさに“鳴り物入り”でプロの世界に飛び込んできた金の卵は、開幕一軍入りこそ逃したものの、高卒1年目から53試合に出場。打率.200、7本塁打、18打点を記録した。

 打率の低さはさておき、注目すべきはその本塁打数だろう。高校を卒業したばかりのルーキーが放った本塁打数としては、2014年の森友哉らを凌ぎ、早稲田実業の大先輩である王貞治の1年目と並ぶ歴代9位タイの記録。ドラフト制度導入後に入団した選手としては、あの清原和博や松井秀喜、香川伸行らに次ぐ4位にあたる数字である。

 高卒1年目からこれだけの本塁打を打てるとなると有望であることは間違いないが、一方で、いわゆる「2年目のジンクス」に陥る選手も少なくないのがプロ野球の世界でもある。果たして、高卒の本塁打数で歴代上位に入った選手たちは、2年目のシーズンにどんな成績を残しているのだろうか。

◆ 史上最年少のトリプルスリー達成者も

 検証したのは、高卒1年目の本塁打数が歴代10位に入った選手たち。まずは、上位5人から見ていきたい。
※球団名は当時のもの

【高卒1年目の本塁打数ランキング】

1位 31本 清原和博(西武/1986年)
[1年目] 126試 率.304(404-123) 本31 点78
[2年目] 130試 率.259(444-115) 本29 点83

2位 27本 豊田泰光(西鉄/1953年)
[1年目] 115試 率.281(402-113) 本27 点59
[2年目] 134試 率.241(494-119) 本18 点63

3位 16本 榎本喜八(毎日/1955年)
[1年目] 139試 率.298(490-146) 本16 点67
[2年目] 152試 率.282(524-148) 本15 点66

4位 13本 張本 勲(東映/1959年)
[1年目] 125試 率.275(418-115) 本13 点57
[2年目] 106試 率.302(384-116) 本16 点56

5位 12本 中西 太(西鉄/1952年)
[1年目] 111試 率.281(384-108) 本12 点65
[2年目] 120試 率.314(465-146) 本36 点86

 トップの清原を除く4人がドラフト制度導入前に入団した選手たちだけに、参考にしづらいところがあるが、全員が2年目以降も100試合以上に出場。前年並みの成績を収めているケースが多い。

 なかでも特筆すべきは、5位にランクインしている中西太。プロ2年目のシーズンに前年から3倍となる36本塁打を放ち、弱冠20歳でありながら本塁打王、打点王の2冠に輝いた。加えて36盗塁を記録しており、史上最年少のトリプルスリー達成選手としても球史に名を残している。

◆ レギュラー定着で成績を伸ばす選手が多数

 ここまでもそうそうたる顔ぶれが並んでいるが、続いて6位以下の選手たちも見てみよう。

【高卒1年目の本塁打数ランキング】

6位 11本 松井秀喜(巨人/1993年)
[1年目] 57試 率.223(184-41) 本11 点27
[2年目] 130試 率.294(503-148) 本20 点66

7位 8本 並木輝男(阪神/1957年)
[1年目] 98試 率.250(300-75) 本8 点32
[2年目] 109試 率.250(376-69) 本3 点27

7位 8本 香川伸行(南海/1980年)
[1年目] 50試 率.282(131-37) 本8 点25
[2年目] 59試 率.246(142-35) 本6 点17

9位 7本 王 貞治(巨人/1959年)
[1年目] 94試 率.161(193-31) 本7 点25
[2年目] 130試 率.270(426-115) 本17 点71

10位 6本 山下 健(阪急/1950年)
[1年目] 111試 率.180(322-58) 本6 点27
[2年目] 96試 率.221(281-62) 本3 点25

10位 6本 森 友哉(西武/2014年)
[1年目] 41試 率.275(80-22) 本6 点15
[2年目] 138試 率.287(474-136) 本17 点68

 6位から10位まで見てみると、7位タイの並木輝男と香川伸行、10位の山下健はやや伸び悩んだ感があるものの、それ以外の選手はいずれも大幅に成績が上昇している。

 また、ほとんどの選手が前年よりも出場機会を増やしている点も見逃せない。1年目からある程度成績を残した選手はレギュラーに定着し、さらに好成績を残していく傾向が強い。

 こうした過去の流れを見ると、清宮幸太郎の2019年は前途洋々と見てよさそうだが、果たして…。怪物ルーキーの2年目に注目だ。

文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

【福嶌弘・プロフィール】
1986年、神奈川県生まれ。バイク・クルマの雑誌の編集部を経て2015年からフリーライターに。父が歌う「闘魂込めて」を聴いて育ったため、横浜出身ながら生来の巨人ファン。『がっつり!プロ野球』(日本文芸社)、『プロ野球 復活の男たち』(宝島社)などに執筆。

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福嶌弘

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