殿堂入りが確実視されているマリアノ・リベラ

◆ 伝説のクローザー

 現地時間1月22日、アメリカで野球殿堂入りの表彰者が発表される。

 今回有力視されている候補者の一人が、シアトル・マリナーズ一筋18年で通算2247安打、2度の首位打者という輝かしい実績を残したエドガー・マルティネス。資格10年目、“最後のチャンス”での殿堂入りとなるか、注目が集まっている。

 そしてもう一人、殿堂入りが確実視されている男がいる。ヤンキースでクローザーとして活躍したマリアノ・リベラだ。

 1995年のメジャーデビューから、2013年までの19シーズンをヤンキース一筋で過ごした右腕。歴代1位の652セーブを記録するなど、MLB史上で見ても伝説のクローザーの一人であるが、メジャーデビューしたのは25歳のこと。それも1年目は先発とリリーフを兼ねており、2年目からセットアッパーへ。クローザーに定着したのはプロ3年目・27歳のことである。

 以降はヤンキース不動のクローザーとして、キャリア2度のシーズン50セーブを達成。シーズン30セーブは15回も記録した。43歳で迎えた現役最終年の2013年も44セーブを挙げるなど、超人的な活躍。衰えを見せることなく、ユニフォームを脱いでいる。

◆ ポストシーズンで42セーブ

 通算セーブ数の歴代2位は、パドレスなどで活躍したトレバー・ホフマンの601セーブ。殿堂入りを果たすのは資格取得から3年目となる昨年のことだった。リリーフ投手ということで、すさまじい記録を残していてもなかなか評価が反映されにくいという部分は否めないが、リベラに関しては1年目から殿堂入りが確実視されている。

 その大きな理由のひとつが、ポストシーズンでの活躍ぶりだ。例に挙げたホフマンはメジャー18年のキャリアでプレーオフに12試合登板。通算4セーブを記録。パドレス時代の1998年にはワールドシリーズにも出場したが、ヤンキースにスイープを食らっていて世界一になった経験はない。

 一方、リベラはプレーオフで通算96試合に登板。8勝1敗42セーブ、141イニングを投げて失点13(自責は11)で、防御率0.70という驚愕の数字を残している。プレーオフも含めた通算のセーブ数は694だ。

 1999年のワールドシリーズではMVPにも輝くなど、合計で5回の世界一に貢献。プレーオフ通算42セーブも、もちろん歴代最多記録である。それに次ぐのがフィリーズなどで活躍したブラッド・リッジの18セーブ。リベラの半数にも満たない。ほかに10セーブ以上を挙げたのは、現役のケンリー・ジャンセン(ドジャース/16)と、デニス・エカーズリー(15)、ジェイソン・イズリンハウゼン、ロブ・ネン(ともに11)の計4人しかいない。

 記録にも記憶にも残った伝説のクローザー。リベラはどれだけの得票率で殿堂入りを果たすのか、注目だ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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八木遊

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