◆ 最下位からの巻き返しを図る
今オフは巨人の積極補強が話題を呼んだが、昨季最下位に沈んだ阪神と楽天の補強も注目を集めた。
矢野耀大二軍監督が内部昇格を果たした阪神は、オリックスからFA宣言した西勇輝投手、中日で昨季13勝を挙げたガルシア投手、メジャー通算30本塁打のマルテ内野手などを獲得し、巻き返しを図る。
監督代行から昇格した平石洋介監督が率いる楽天も、FAで浅村栄斗内野手、トレードで福井優也投手や橋本到外野手、新助っ人としてブセニッツ投手、ブラッシュ外野手を獲得した。16人の選手が自由契約やトレードでチームを離れ、新たに16人の選手が加入。コーチ人事を含め、積極的な血の入れ替えを図った。
最下位からの上位進出を目指す阪神と楽天だが、これまで最下位だったチームが翌年に優勝した例は非常に数少ない。
◆ 平成30年で2回のみ
優勝した球団を見てみると、1960年の大洋、1975年の広島、1976年の巨人、2001年の近鉄、2015年のヤクルトの5例のみ。
そのうち前年のチームから監督が交代し、リーグを制したケースは3度。近年では、2015年に14年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたヤクルトが挙げられる。今回の矢野監督や平石監督同様、二軍監督や一軍のコーチを歴任してきた真中満氏が監督に昇格した形だった。
前年のチーム防御率が「4.62」だった投手陣を改善するため、成瀬善久、オンドルセクを補強し、野手もセンターラインを強化すべくFAで遊撃を本職にする大引啓次を獲得した。オンドルセクは守護神・バーネットに繋ぐセットアッパー、大引は遊撃のレギュラーとして出場し、優勝の立役者となている。
チームのウィークポイントを補強で補い優勝したヤクルトのように、阪神も先発の駒不足を解消すべく西、ガルシアを獲得し、楽天も不在だった正二塁手を補うべく浅村を獲っている。
前述したように、80年を越えるプロ野球の歴史の中でも、前年の最下位から翌年にリーグ優勝したケースはわずか5度。ピンポイント補強を敢行した阪神と楽天は“6例目”になれるか注目だ。
▼ 1960年:大洋
59年:49勝77敗4分[6位] 森茂雄監督
60年:70勝56敗4分[優勝] 三原脩監督
▼ 1975年:広島
74年:54勝72敗 3分[6位] 森永勝也監督
75年:72勝47敗11分[優勝] ルーツ/古葉竹識監督
▼ 1976年:巨人
75年:47勝76敗7分[6位] 長嶋茂雄監督
76年:76勝45敗9分[優勝] 長嶋茂雄監督
▼ 2001年:近鉄
00年:58勝75敗2分[6位] 梨田昌孝監督
01年:78勝60敗2分[優勝] 梨田昌孝監督
▼ 2015年:ヤクルト
14年:60勝81敗3分[6位] 小川淳司監督
15年:76勝65敗2分[優勝] 真中 満監督