新加入の丸と笑顔でグータッチする原辰徳監督 (C) KYODO NEWS IMAGES

◆ 7度の優勝・3度の日本一の実績

 長かったオフもいよいよ終わりが近づき、野球界に春が訪れようとしている。プロ野球は今年も2月1日に12球団が一斉にキャンプイン。ここから3月29日の開幕戦に向けた準備が本格化していく。

 セ・リーグの注目ポイントと言えば、圧倒的な強さでリーグ3連覇を成し遂げた広島をいかにして止めるのか、という点。なかでも打倒・広島に闘志を燃やしているのが巨人だ。

 かつての“球界の盟主”も、気が付けば4年もの間セ界の王座から遠のいている。覇権奪回を目指すチームは原辰徳氏に3度目の監督就任を要請。オフにはFAの目玉であった丸佳浩をライバル・広島から引き抜くことに成功し、その他にも炭谷銀仁朗や岩隈久志、中島宏之にビヤヌエバ、クックといった注目の新戦力を次々に獲得していった。

 原監督と言えば、2002年から2003年の2年間と、2006年から2015年の10年間という計12シーズンで巨人の指揮を執り、2度のリーグ3連覇を含む7度の優勝に3度の日本一という凄まじい実績を残している。

 「ペナントレース、日本一を勝ち取る」と力強く宣言して臨む2019年シーズン。4年ぶりの監督業となるが、いきなり結果が求められる。

▼ 巨人・原辰徳監督の年度別成績
<第1次政権>
2002年:140試 86勝52敗2分(.623)=優勝・日本一
2003年:140試 71勝66敗3分(.518)=3位

<第2次政権>
2006年:146試 65勝79敗2分(.451)=4位
2007年:144試 80勝63敗1分(.559)=優勝
2008年:144試 84勝57敗3分(.596)=優勝
2009年:144試 89勝46敗9分(.659)=優勝・日本一
2010年:144試 79勝64敗1分(.552)=3位
2011年:144試 71勝62敗11分(.534)=3位
2012年:144試 86勝43敗15分(.667)=優勝・日本一
2013年:144試 84勝53敗7分(.613)=優勝
2014年:144試 82勝61敗1分(.573)=優勝
2015年:143試 75勝67敗1分(.528)=2位

◆ “3度目の登板”過去には…?

 監督退任に伴う新監督の人事として、かつてチームを指揮した人物の“復帰”という選択肢は珍しいことではないが、これが『3度目』となるとかなりのレアケースになる。

 調べてみると、プロ野球の歴史の中で同一球団を3度率いた監督は以下の通りとなった。

【同一球団で3度指揮を執った監督】
▼ 中島治康(巨人)
第1次:1943(選手兼任)
第2次:1946途(選手兼任)
第3次:1947途(選手兼任で代行)

▼ 天知俊一(中日)
第1次:1949~1951
第2次:1954
第3次:1957~1958

▼ 吉田義男(阪神)
第1次:1975~1977
第2次:1985~1987
第3次:1997~1998

▼ 大沢啓二(日本ハム)
第1次:1976~1983
第2次:1984途
第3次:1993~1994

 このうち、中島氏は途中からの就任が2度あり、大沢氏も第2次に数えられているのが1984年の途中登板。すべて開幕からチームを任される形での『3回』に限れば、天知氏と吉田氏のふたりだけ。今年の原監督が史上3例目ということになる。

◆ あまり長くは続かない…?

 やはり珍しいケースだった監督の“3度目の登板”。では、過去のふたりはどんな成績を残しているのだろうか。

▼ 天知俊一(中日)
1957年:130試 70勝57敗3分(.550)=3位
1958年:130試 66勝59敗5分(.527)=3位

 2度目の登板となった1954年に球団初の優勝・日本一という功績を残している天知氏。3度目の登板では前年3位のチームを引き継いだが、結果は2年連続の3位。順位を上げることはできなかった。

▼ 吉田義男(阪神)
1997年:136試 62勝73敗1分(.459)=5位
1998年:135試 52勝83敗0分(.385)=6位

 吉田氏も2度目の登板となった1985年にリーグ優勝を果たし、球団初となる日本一に輝いている功労者。3度目の登板では4年連続のBクラス、2年連続最下位と低迷したチームの立て直しに期待がかかったが、残念ながら猛虎復活とはならなかった。

 やはり3度も声を掛けられるということは、過去に実績を残している人物に限られてくる。これは今回の原監督も同じだ。

 そして、過去のふたりに共通しているポイントとしては、期待通りに順位を上げることができなかったということと、第3次政権はあまり長く続かなかったということか。

 当然その時のチーム状況や監督本人の年齢、体調面のことも関係してくるところであるが、果たして原監督はどうなるか。今年は新生・原巨人から目が離せない。

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