◆ 実践練習で連日のアピール
ついに幕を開けた2019年プロ野球の春季キャンプ。ゴールデンルーキー・根尾昂の入団で1月中から大きな注目を集めていた中日だが、その根尾はキャンプ直前にふくらはぎの故障で離脱。一軍・北谷組でのスタートが決まっていたキャンプも、二軍・読谷組で迎えることとなった。
それでも、根尾は想像を上回る回復力を発揮しており、すでに打撃練習を再開して一軍昇格を目指している一方、同じ読谷組では平田良介や大島洋平、藤井淳志といった外野のベテラン組がマイペース調整を敢行。彼らは志願の二軍スタートで、新シーズンの開幕を見据えている。
主力級が揃って二軍スタートということは、そのポジションを狙う選手たちが一軍にいるということ。なかでも積極的なアピールを見せているのが、プロ5年目の29歳・遠藤一星だ。
3日に行われた今キャンプ初の実践練習。投手陣再建を目指すチームとあって、12投手による“無四球リレー”の方に注目が集まったが、遠藤はここで快音を連発した。第1打席に福谷浩司の速球を中前に弾き返すと、第2打席では柳裕也から右翼線へ二塁打。翌4日にも、育成左腕の浜田智博から右前にクリーンヒットを放ち、この2日で3安打とバットで猛アピールしている。
◆ “即戦力”のはずだった2014年組
駒場学園高から中央大、社会人の東京ガスを経て、2014年のドラフト7位で中日に入団した遠藤。当初は遊撃手としてのプロ入りだった。
ルーキーイヤーから41試合に出場を果たし、打率.271(140-38)で4本塁打、14打点に3盗塁とまずまずの成績をマーク。初スタメンで「1番・遊撃」を任されるなど、その期待値は高かったが、シーズン途中に故障で離脱を強いられてしまう。
すると、2年目は開幕スタメンの座を掴み取りながら不振で二軍降格となり、3年目には外野手へ転向。プロの世界で生き残る道を探った。ところが、4年目の昨季はわずか2試合の出場に終わり、ファームでも87試合で打率.236(292-69)と低迷。出塁率も3割に届かなかった。
振り返ってみると、チームは遠藤を指名した2014年のドラフト会議で“即戦力補強”を前面に打ち出し、社会人・大学生を中心に指名した。本指名では高校生を指名しないという大胆な行動に出たが、1位入団の野村は17年に戦力外で退団。背番号1を託されていた3位入団の友永は通算24試合の出場にとどまり、18年にはプロ入り後初めて一軍出場がなかった。
そのなかで唯一1年目から結果を残したのが7位入団の遠藤だったが、その遠藤も2年目以降は目立った活躍は見せられず。14年ドラフト組は即戦力の期待をかけられながら、期待を裏切る形になってしまっているのが現状だ。
▼ 中日・2014年ドラフト
1位 野村亮介(社・投)※17年に戦力外
2位 浜田智博(大・投)※17年から育成契約
3位 友永翔太(社・外)
4位 石川 駿(社・内)
5位 加藤匠馬(大・捕)
6位 井領雅貴(社・外)
7位 遠藤一星(社・内)
8位 山本雅士(独・投)※18年に戦力外
9位 金子 丈(大・投)※17年に戦力外
育2 石垣幸大(高・投)※16年に戦力外
育3 藤吉 優(高・捕)※17年に退団
育4 近藤弘基(大・外)※16年に支配下契約
※育成1位の佐藤雄偉知(東海大相模・投手)は入団拒否
◆ 12球団屈指の外野陣
“5度目の春”にアピールを続ける遠藤だが、目指すポジションには不動のレギュラー陣が待ち構える。
昨季中日の外野でレギュラーを任されていた平田良介、大島洋平、ソイロ・アルモンテはリーグでもトップクラスの巧打者たち。昨季のポジション別打撃成績を他球団と比較すると、中日の「外野手」は日本シリーズを戦ったソフトバンク(.298)、広島(.297)を上回る「打率.305」をマークしており、打率部門では堂々の12球団1位。今季もレギュラーの3人に何らかのアクシデントが起きない限り、そのポジションが空くことはなさそうだ。
遠藤にとって現実的な目標は4番手争いとなるわけだが、この競争も熾烈。昨季はベテランの藤井が4番手として控え、スティーブン・モヤは少ない機会のなか打撃で結果を残した。また、今季はルーキーの滝野要が新人で唯一実践練習のメンバー入りを果たしており、新たに4番手争いに加わろうとしている。ここ数年思うような成績を残せていない遠藤にとっては、開幕一軍の座を手に入れるのも簡単ではない。
ただし、幸いにも中日は今季から与田剛監督をはじめ、首脳陣の顔ぶれが大幅に変わった。昨季わずか2試合の出場に終わった遠藤にとっては、このキャンプが新首脳陣の“新たな目”にアピールする絶好のチャンスだ。
3月に30歳を迎える男にとって、2019年シーズンは文字通り“勝負の5年目”となる。外野手として開幕一軍の座を掴むことはできるのだろうか。一見地味な“外野手4番手争い”にも注目だ。