王座奪還に向けた大補強
セ・リーグの覇権奪回をめざし、原辰徳監督が4年ぶりに帰ってきた巨人。4年連続のV逸という嫌な流れを止めるべく、オフには久しぶりの大補強を敢行した。
FA市場からはセ・リーグ2年連続MVP男・丸佳浩の獲得に成功。さらに西武から経験豊富な捕手・炭谷銀仁朗も獲得して、戦力を強化した。ほかにもメジャーから復帰の岩隈久志を迎え入れ、オリックスを自由契約になった中島宏之も獲得するなど、実績豊富なベテラン勢も加入。助っ人も昨季メジャーで20本塁打を放っているクリスチャン・ビヤヌエバに守護神候補のライアン・クックとこちらも実力者揃いで、今年にかける意気込みが伝わってくる。
こうなってくると、気になるのはその戦力をどのように使っていくかというところ。素晴らしい材料が揃っていても、料理人に腕がなければ素晴らしい料理はできないわけで、ここから先は原監督の手腕が問われる。
テレビ番組で語られた現時点の構想
その巨人はキャンプインして間もない2月3日に早くも紅白戦を行った。主力組・ベテラン組の出場はなかったが、4番に入った岡本和真をはじめ開幕スタメンに期待がかかる選手も出場している。
▼ 2月3日紅白戦・一軍の打順
1(二)吉川尚
2(中)重信
3(一)田中俊
4(三)岡本
5(左)和田恋
6(遊)山本
7(右)松原
8(捕)小林
9(投)田口 ※打席には立たない
そして紅白戦が行われた3日の夜、NHK『サンデースポーツ2020』にて原監督のインタビューの模様が放送された。興味深かったのは、そこで今季の打順の構想が語られたことだ。
まずは紅白戦でも4番に入った岡本について、「私はそのつもり(4番は岡本)で彼と接している」と断言。実績豊富な選手がチームに加わっても、昨季その才能を開花させた22歳には別格の信頼と期待を寄せているようだ。
さらに、今季のオーダーは「1番バッター」がポイントになる部分と明かし、「理想を言うなら吉川(尚輝)、あるいは田中(俊太)」と2人の名前を挙げている。
吉川尚はプロ3年目の内野手で、昨季は開幕スタメンを勝ち取ってレギュラーに定着。キャリア最多となる92試合に出場を果たすも、調子を上げていた夏場に左手を骨折して戦線離脱、そのままシーズン終了という悔しい想いを味わった。そして、その吉川の離脱後に二塁のポジションを任されたのが田中俊だ。プロ1年目の昨季は開幕一軍入りを果たし、主に内野のバックアップとして活躍。吉川が離脱する前から時には三塁、坂本勇人が離脱して吉川が遊撃に回った時は二塁と地道なアピールを続け、最終的には99試合に出場を果たしている。開幕戦の「1番・二塁」をかけた争いは、今後も要チェックだ。
また、大きな期待がかかる新加入・丸については「2番に置きたい」。続けて、「彼は“新入生”ですから、そこはジャイアンツの生粋のチームリーダーがカバーする」と丸の後ろの3番には坂本を据える構想を披露。岡本の後ろの5番については「松井(秀喜)が良かった時には清原(和博)という5番バッターがいた」と振り返り、相手にプレッシャーをかける意味でも「一番の強打者が来る必要がある」として新加入のビヤヌエバ、もしくは加入2年目のアレックス・ゲレーロの名前を挙げた。
最後に、炭谷の加入と阿部慎之助の復帰で注目される捕手争いについては、「打順だけで言うと8番。固定です」と明言。仮に阿部が入る場合でも8番にするつもりと語り、「言いすぎちゃったかな」と笑みを漏らした。
▼ 原監督が語った打順構想
1(二)吉川・田中
2(中)丸
3(遊)坂本
4(三)岡本
5(?)ビヤヌエバ・ゲレーロ
:
8(捕)小林・炭谷・阿部
9(投)
果たして、3月29日(金)に発表されるラインナップはどんな形になっているのか。キャンプ・オープン戦を含めた約2カ月の争いから目が離せない。